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長く使える財布の選び方|素材・形・作りで後悔しない一生もの財布の見極め方

財布は毎日持ち歩く道具のため、できるだけ長く使えるものを選びたいと考える方もいるのではないでしょうか。長く使える財布を選ぶには、素材やつくり、形、手入れのしやすさといった複数の観点を押さえておくと判断しやすくなります。この記事では、本革の種類ごとの耐久性や、縫製とコバ処理の見方、経年変化の楽しみ方までを、皮革関連の団体やメーカーの情報に沿って整理します。

長く使える財布を選ぶときに見る5つの観点

長く使える財布かどうかは、ひとつの要素だけで決まるものではありません。素材の丈夫さがあっても、折り曲げる部分の作りが弱ければそこから傷みますし、丈夫な革でも手入れに手間がかかれば使い続けにくくなります。そこで、次の5つの観点に分けて考えると、自分に合う財布を見つけやすくなります。

観点 見るところ
素材 本革の種類となめし方による丈夫さ・扱いやすさ
つくり 縫製の丁寧さ、コバ(革の断面)の処理
長財布か二つ折りかによる革への負担の違い
手入れのしやすさ 日常の手入れにかけられる手間と革の相性
経年変化 使い込むほどの変化を楽しみたいか

以下では、この5つの観点をひとつずつ見ていきます。革の種類ごとの特徴は、なめし方や動物の種類によって変わるため、まず素材から整理します。

素材で選ぶ|本革の種類と耐久性

財布の丈夫さや使い心地を大きく左右するのが素材です。ひとくちに本革といっても、動物の種類やなめし方によって性質が異なります。代表的な革の特徴を、扱いやすさの目安とあわせてまとめました。

革の種類 主な特徴 扱いの目安
ステアハイド(一般的な牛革) 流通量が多く丈夫 比較的扱いやすい
カーフ キメが細かく上質、薄手 傷に注意
ヌメ革(タンニンなめし) 経年変化を楽しめる、素上げに近い 水シミ・傷に注意
コードバン(馬の臀部の革) 繊維が緻密で丈夫、強い光沢 水濡れに弱い
ブライドルレザー ロウを含み丈夫で撥水性がある ブルームは乾拭きで扱う

なめし方による違い|タンニンなめしとクロムなめし

革は、動物の「皮」を腐らない「革」に変える「なめし」という工程を経て作られます。なめし方には大きく分けてタンニンなめしとクロムなめしがあり、財布の性質はここで方向づけられます。

タンニンなめしは、植物から抽出したタンニンを使う古くからの方法です。なめしに数か月を要することもあり、手間と時間がかかります。仕上がった革は伸びや弾性が少なく、成形性がよいのが特徴です。タンニンの発色や日焼けによる色の変化から、経年変化を楽しめる革になります。一方で、耐熱性はいくぶん劣るとされています。

参考:「日本革市 革の基礎知識 5.なめしの種類」|一般社団法人日本タンナーズ協会

クロムなめしは、比較的新しい技術で、短時間で済み大量に生産できます。柔軟性、保存性、耐熱性、染色性がよく、革製品では約85パーセントがクロムベースで製造されているとされています。柔らかく扱いやすい革が多く、色のバリエーションも豊富です。

参考:「日本革市 革の基礎知識 5.なめしの種類」|一般社団法人日本タンナーズ協会

経年変化を楽しみながら長く付き合いたい場合はタンニンなめしの革、扱いやすさを重視する場合はクロムなめしの革というように、求める使い方から選ぶと決めやすくなります。

牛革の種類|カーフ・ステアハイドなど

財布に多く使われるのが牛革です。牛革は、牛の成長段階や性別によって呼び名と性質が変わります。

カーフスキンは生後6か月ほどの子牛の革で、薄手でキメと繊維構造がもっとも細かく、最上質とされています。キップスキンは生後6か月から2年ほどの革で、カーフより厚みがあります。カウハイドは出産を経た雌牛の革で、やや柔らかさを持ちながら丈夫です。ステアハイドは去勢した雄牛の革で、もっとも多く使われる牛革です。ブルハイドは去勢していない雄牛の革で、極めて厚くキメは粗くなります。

参考:「日本革市 革の基礎知識 7.原皮の種類と用途」|一般社団法人日本タンナーズ協会

カーフは上質でなめらかな一方、薄手で傷が目立ちやすい面があります。日常づかいで丈夫さを求めるなら、流通量が多く扱いやすいステアハイドのような革も選択肢になります。

ヌメ革|経年変化を楽しむ革

ヌメ革は、植物タンニンでなめしたあと、表面にオイルなどの仕上げ加工をほとんど施していない革です。革本来の風合いが残るぶん、表面に傷がつきやすいという特徴があります。

参考:「ヌメ革とは?特徴・経年変化・注意点とお手入れ」|HERZ

ヌメ革の魅力は経年変化にあります。革に含まれるタンニンが紫外線と反応して色が少しずつ濃くなり、使い込むほどに深い色合いへと変わっていきます。ただし水には弱く、少し濡れるだけで水シミや水ぶくれになることがあります。濡れてしまったときは、乾いた布で軽く拭いてから日陰で乾かすといった扱いが求められます。

参考:「ヌメ革とは?特徴・経年変化・注意点とお手入れ」|HERZ

変化を楽しみながら育てたい方に向く革ですが、水濡れや傷への配慮が必要なため、扱いに手間をかけられるかどうかも選ぶときの目安になります。

コードバン|繊維が緻密で丈夫な革

コードバンは、主に農耕馬の臀部の皮膚から取れる革です。原皮そのものが希少なうえ、コードバンになるのはその中の緻密な層だけのため、限られた量しか作れません。繊維が緻密なため丈夫で、長く愛用しやすい革とされています。磨き込むと奥行きのある光沢が出るのも特徴です。

参考:「コードバンの素材の魅力・製品紹介」|土屋鞄製造所

一方で、コードバンは水が染みやすく、水や油分が付着すると染みや水ぶくれ、色落ち、形崩れなどを起こすことがあります。使い込むほど光沢に柔らかみが加わり、味わいが増していく革ですが、水濡れには気を配りながら使う革といえます。

参考:「コードバンの素材の魅力・製品紹介」|土屋鞄製造所

ブライドルレザー|ロウを含んだ丈夫な革

ブライドルレザーは、もともと馬具に使われてきた英国の伝統的な革です。丈夫なヌメ革にロウや油脂を何度も擦り込んで堅牢に仕上げたもので、完成まで長い時間をかけて作られます。表面に浮き出る白い粉は「ブルーム」と呼ばれるロウの成分で、カビではありません。

参考:「ブライドルの素材の魅力・製品紹介」|土屋鞄製造所

ロウを含むことで、ある程度の耐水性が期待できます。使い込むうちにロウがなじみ、色味が深まって琥珀のような光沢へと変化していきます。丈夫さと経年変化の両方を求める方に向く革のひとつです。ブルームは乾いた布で拭くとなじみ、ツヤが出てきます。

参考:「ブライドルの素材の魅力・製品紹介」|土屋鞄製造所

つくりで選ぶ|縫製とコバの処理

同じ革を使っていても、仕立ての丁寧さによって長持ちの度合いは変わります。財布を手に取ったときに確認したいのが、縫製とコバの処理です。

縫製は、糸目がまっすぐそろっているか、ほつれや飛びがないかを見ます。財布は開け閉めやカードの出し入れで力がかかるため、縫い目が乱れている箇所は将来的にほつれの起点になりやすい部分です。ステッチが均一で、要所が補強されているものは、つくりの面で安心しやすくなります。

コバとは、革を裁断した端の断面のことです。革製品は複数の革を縫い合わせて作るため、切り口が生じます。この断面をそのままにすると繊維がむき出しになり、摩擦や水濡れに弱く、手触りも粗くなります。

参考:「皮革製品におけるコバ磨き、コバ種類のお話」|com-ono

コバの処理には、何もしない切りっぱなし、革の端を折り返すヘリ返し、塗料で固める塗り仕上げ、ヤスリで整えてロウなどを塗り重ねて磨く切り目本磨きなどがあります。切り目本磨きは手間がかかるぶん、断面が引き締まって美しく仕上がります。財布を選ぶときは、コバがなめらかに整えられ、めくれや割れがないかを見ておくと、傷みにくさの目安になります。

参考:「皮革製品におけるコバ磨き、コバ種類のお話」|com-ono

形で選ぶ|長財布と二つ折り

財布の形も、長く使ううえで関わってくる要素です。長財布と二つ折りでは、革へのかかり方が異なります。

二つ折りの財布は、中央で折りたたむ構造のため、その折り目の部分に曲げる力が繰り返しかかります。折り曲げる箇所は革やコバに負担が集まりやすく、使い込むうちに変化が現れやすい部分です。コンパクトで持ち運びやすい一方、折り目のつくりがしっかりしているかを見ておくとよいでしょう。

長財布は紙幣を折らずに収められ、本体を大きく折りたたまない形が多いため、革への曲げの負担は二つ折りより穏やかになりやすい形です。ただしサイズが大きく、収納するポケットを選ぶ面があります。どちらが長持ちするかは形だけで決まるものではなく、革の種類やコバ・縫製の作り、日ごろの手入れとあわせて考えるのが現実的です。

手入れのしやすさで選ぶ

長く使える財布を選ぶうえで見落としやすいのが、手入れのしやすさです。丈夫な革でも、日ごろの扱い方で寿命は変わってきます。

日本皮革産業連合会によると、革製品の手入れの基本は汚れを落とすことにあります。革は汚れが内部に入り込むと取り除きにくくなるため、汚れたときはできるだけ早く取り除くのがよいとされています。

参考:「皮革製品の手入れ」|日本皮革産業連合会

避けたい扱いもいくつかあります。ベンジンやシンナーなどの有機溶剤は、革の塗装膜を溶かしたりしみになったりするため使わないほうがよいとされています。家庭での水洗いも、色落ちや型くずれ、風合いの低下が起こりやすいため避けるのが無難です。革が濡れた場合も、直火やアイロン、ドライヤーで高温乾燥させず、風通しのよい所での陰干しが原則とされています。手入れ剤を使うときは、目立たない部分で試してから使うと安心です。

参考:「皮革製品の手入れ」|日本皮革産業連合会

手入れにあまり手間をかけたくない場合は、柔軟性や保存性にすぐれ扱いやすいクロムなめしの革や、表面が仕上げ加工された革が向いています。反対に、ヌメ革やコードバンのように水濡れや傷に配慮が必要な革は、手入れを楽しめる方に向いています。自分がかけられる手間と革の相性を見ておくと、無理なく長く使えます。

参考:「日本革市 革の基礎知識 5.なめしの種類」|一般社団法人日本タンナーズ協会

経年変化(エイジング)を楽しめるか

革財布を長く使う楽しみのひとつが、経年変化です。使い込むほどに色やツヤが変わっていく過程を楽しめるかどうかも、選ぶときの視点になります。

経年変化がとくにわかりやすいのは、タンニンなめしの革です。ヌメ革はタンニンが紫外線と反応して色が濃くなり、時間をかけて深い色合いへと育っていきます。コードバンは磨くほどに光沢が増し、ブライドルレザーはロウがなじんで奥行きのある光沢へと変化していきます。こうした変化は月単位、年単位でゆっくり進むため、長く付き合うほど自分の使い方が刻まれた表情になっていきます。

参考:「ヌメ革とは?特徴・経年変化・注意点とお手入れ」|HERZ

一方で、経年変化が少なく、買ったときの状態を保ちやすい革を好む方もいます。クロムなめしの革や表面加工された革は、色やツヤの変化が穏やかで安定しています。どちらが良いというものではなく、変化を育てたいか、状態を保ちたいかという好みで選ぶとよいでしょう。

参考:「日本革市 革の基礎知識 5.なめしの種類」|一般社団法人日本タンナーズ協会

よくある質問

長く使える財布に向いているのはどんな革ですか。

本革は手入れ次第で長く使える素材です。なかでもコードバンやブライドルレザーは繊維が緻密でロウを含むなど丈夫さがあり、ヌメ革は経年変化を楽しみながら育てられます。ただし、これらは水濡れや傷に配慮が必要な面もあるため、丈夫さと扱いやすさの両方を見て選ぶとよいでしょう。

参考:「コードバンの素材の魅力・製品紹介」|土屋鞄製造所

手入れの手間が少なくて済むのはどんな財布ですか。

柔軟性や保存性にすぐれたクロムなめしの革や、表面が仕上げ加工された革は、比較的扱いやすい傾向があります。反対に、素上げに近いヌメ革などは、水シミや傷への配慮が必要です。かけられる手間から逆算して革を選ぶと、無理なく使い続けやすくなります。

参考:「日本革市 革の基礎知識 5.なめしの種類」|一般社団法人日本タンナーズ協会

コードバンやヌメ革の財布は雨に濡れても平気ですか。

どちらも水が染みやすく、シミや水ぶくれ、色落ちなどが起こることがあります。濡れてしまったときは、乾いた布で軽く拭き取り、風通しのよい所で陰干しをします。直火やドライヤーでの高温乾燥は避けたほうがよいとされています。

参考:「皮革製品の手入れ」|日本皮革産業連合会

長財布と二つ折りではどちらが長持ちしますか。

形だけで一概にはいえません。二つ折りは折り目に曲げの力が繰り返しかかりやすく、長財布は本体を大きく折らない形が多いという違いはあります。実際の持ちは、革の種類やコバ・縫製の作り、日ごろの手入れによって変わります。

革財布はどのくらいで手入れをすればよいですか。

決まった頻度があるわけではありませんが、日常的には汚れを早めに拭き取り、乾拭きやブラッシングでほこりを落とすのが基本です。革が乾いてきたと感じたら、目立たない部分で試したうえで革用のクリームを使う方法もあります。革の種類によって適した手入れが異なるため、購入時に確認しておくと安心です。

参考:「皮革製品の手入れ」|日本皮革産業連合会

まとめ

長く使える財布を選ぶには、素材、つくり、形、手入れのしやすさ、経年変化という5つの観点で見ると判断しやすくなります。革はなめし方や動物の種類によって丈夫さや扱いやすさが変わり、コードバンやブライドルレザーのように丈夫な革、ヌメ革のように育てて楽しむ革など、それぞれに向き不向きがあります。縫製やコバの処理、財布の形もあわせて確認し、自分がかけられる手入れの手間と相性のよいものを選ぶと、無理なく使い続けやすくなります。役目を終えたブランド財布などは、状態によっては買取査定で評価されることもあるため、手放すときは専門業者に相談してみてはいかがでしょうか。