中国の旧紙幣の価値|人民元5シリーズの一覧と日本での換金可否
遺品整理や旅行の残りで、古い中国の紙幣が出てきたという方もいるのではないでしょうか。中国の紙幣は「人民元」といっても、1948年から現在までに5つのシリーズが発行されており、すでに使えなくなった券種も少なくありません。この記事では、中国人民銀行の公表情報をもとに第一套から第五套までを整理し、日本国内で換金できるのかという実務的な点、買取業者が公開している2026年9月時点の相場の目安、そしてコレクター市場で価値が付きやすい条件を説明します。
中国の旧紙幣は「人民元の第何套か」で整理する
中国の現在の通貨である人民元は、1948年12月1日、中国人民銀行の設立と同じ日に発行が始まりました。以来、紙幣は5つのシリーズに分けて発行されており、中国語ではそれぞれ「第一套人民币」「第二套人民币」……と呼ばれます。日本語では「第一次」「第一シリーズ」などと訳されることもありますが、指しているものは同じです。
手元の紙幣がどのシリーズかを知ることが、価値を考える出発点になります。というのも、シリーズによって発行された年代・流通していた期間・現存する枚数がまったく違うためです。1955年に流通が終わった第一套と、いま財布に入っている第五套では、置かれている状況がまるで異なります。
なお、中国の紙幣にはこの5シリーズ以前の、清朝期や中華民国期に発行された紙幣もあります。ただしそれらは発行主体も制度も別のもので、人民元とは切り分けて考える必要があります。この記事では、中国人民銀行が発行してきた人民元を中心に扱います。
第一套〜第五套人民元の一覧【表】
中国人民銀行の各分行が公表している資料をもとに、5つのシリーズを整理すると次のようになります。
| シリーズ | 発行開始 | 流通停止 | 面額・版別 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 第一套人民币 | 1948年12月1日 | 1955年5月10日 | 12種の面額、62種の版別 | 中国人民銀行の設立と同日に発行開始。最大面額は5万元 |
| 第二套人民币 | 1955年3月1日 | 1973年8月15日(一部) | 11種の面額、16種の版別 | 第一套との交換比率は1対10,000。硬貨(硬分币)を初めて発行 |
| 第三套人民币 | 1962年 | 2000年 | 7種の面額、13種の版別 | 中国が完全に自主設計・自主印刷した最初のシリーズ |
| 第四套人民币 | 1987年4月27日 | 2018年5月1日(一部券種) | 9種の面額、17種の版別 | 構想開始は1967年1月、図案確定は1985年5月。準備期間が歴代でもっとも長い |
| 第五套人民币 | 1999年10月1日 | 流通中 | 1元〜100元 | 現行シリーズ。100元券に毛沢東の肖像を採用 |
第四套は、9種の面額・17種の版別で構成されています。内訳は1角・2角・5角・1元(3版)・2元(2版)・5元・10元・50元(2版)・100元(2版)の紙幣と、1角・5角・1元の硬貨です。設計の構想が始まったのは1967年1月で、図案が確定したのは1985年5月でした。構想から発行まで18年をかけた、歴代でもっとも準備期間の長いシリーズとされています。
すでに流通が停止している券種と、その扱い
中国では、新しいシリーズが行き渡ると、古いシリーズの流通を公告で停止する運用がとられてきました。日本の旧札には今も有効なものがあるのに対し、流通停止となった券種は、法定通貨としての支払い効力を失います。つまり、中国国内でも買い物には使えません。
第一套は1955年5月10日、第二套は1973年8月15日(一部券種)、第三套は2000年に流通が停止されています。
もっとも新しい流通停止は、第四套の一部券種です。中国人民銀行は国務院の承認を得て、公告〔2018〕第6号により、2018年5月1日から第四套人民元の100元・50元・10元・5元・2元・1元・2角の紙幣と、1角硬貨の市場流通を停止しました。あわせて、2018年5月1日から2019年4月30日までを「集中兑换期」とし、この期間は各銀行の営業窓口で交換できるとされました。
ここで注意したいのは、第四套のすべてが使えなくなったわけではない点です。第四套のうち5角紙幣、5角硬貨、1元硬貨は流通停止の対象外とされ、引き続き使用できるとされています。
参考:「人民银行珠海中支做好第四套人民币部分券别即将停止流通的宣传指引」|中国人民银行广州分行
集中交換期はすでに終了しています。現在は、中国人民銀行が各地の分行を通じて交換を担う銀行の営業拠点を選定し、そこで対応する形になっています。交換は中国国内の指定拠点で行われるもので、日本国内の金融機関では扱われません。
参考:「关于第四套人民币部分停止流通券别后续兑换工作的公告」|中国人民银行重庆市分行
日本国内で中国の旧紙幣は換金できるのか
ここが、手元に旧紙幣がある方にとってもっとも実務的な論点です。結論から言えば、日本国内の銀行や両替商での外貨両替は、現在流通している紙幣が対象です。
たとえば中国銀行(Bank of China)の日本国内における個人向け外貨両替では、現金の両替は日本円・人民元・米ドルに限られ、硬貨の両替は取り扱わないと案内されています。
参考:「外貨両替」|中国銀行(Bank of China)日本
外貨両替の専門業者でも、取り扱う人民元紙幣として案内されているのは1元・5元・10元・20元・50元・100元です。いずれも現行の第五套人民元にある券種です。
つまり、次のように整理できます。
- 第五套人民元(現行紙幣):日本国内の銀行・両替商で日本円に両替できます。ただしレートや手数料は取扱先によって異なります。硬貨は基本的に対象外です。
- 第四套以前の流通停止券種:法定通貨としての支払い効力を失っているため、日本国内では両替の対象になりません。中国国内の指定拠点であれば交換の対象となる券種もありますが、現地に出向く必要があります。
- 流通停止券種を日本で現金化する場合:外貨両替ではなく、古銭・古紙幣として買取業者に査定を依頼するという方法になります。この場合の金額は為替レートではなく、コレクター市場での需要で決まります。
「昔の中国出張で余った紙幣が出てきた」というケースでは、まず第五套かどうかを確認するのが先決です。第五套であれば銀行等で両替でき、それ以前のものであれば買取査定という別のルートを考えることになります。
中国旧紙幣の買取相場の目安
金額の話に入ります。以下はいずれも買取業者が自社サイトで公開している相場・実績で、2026年9月時点の調査によるものです。公的機関が発表した数字ではないため、時期・状態・業者によって変わります。
シリーズ別の目安
| シリーズ | 相場の目安 | 高値が付きやすいとされる券種 |
|---|---|---|
| 第一套人民元(1948年〜1955年) | 数万円。未使用品では数十万円、場合によっては数百万円を超える査定額が示されることもある | 伍仟圓、壹萬圓 |
| 第二套人民元(1955年〜) | 状態がよいものや未使用品で数万円から数十万円 | 大黒拾と呼ばれる拾圓券 |
| 第三套人民元(1962年〜) | 一部の券種は状態がよければ数千円から数万円 | 棗紅壹角、背緑壹角 |
| 第四套人民元(1987年〜) | 一般的な券種は大きな上乗せを期待しにくい | ― |
| 第五套人民元(現行) | 額面どおりの外貨として扱われるのが基本 | ― |
福ちゃんは、第一套の未使用品について数十万円から数百万円を超える査定額が提示されることもあるとし、第二套の大黒拾は数万円から数十万円、第三套の棗紅壹角・背緑壹角は数千円から数万円単位で取引されることがあると説明しています。日晃堂も、第一套の買取相場を数万円とし、伍仟圓や壹萬圓は数百万円で取引されることもあるとしています。
参考:中国紙幣の価値はどれくらい|高額買取が期待できる種類の買取相場と見分け方|買取福ちゃん、中国紙幣一覧|種類別の特徴や価値を解説|骨董・古美術 日晃堂(2026年9月時点の調査)
実際に公開されている買取価格の例
シリーズ別の目安は「数万円」「数十万円」といった幅で示されることが多く、具体的な数字が公開されているのは個別の買取実績のほうです。中国の旧紙幣として公開されている実績を挙げると、次のようになります。人民元シリーズそのものの実績は数字入りで公開されているものが少なく、清朝期・中華民国期・満洲国期の紙幣(軍用手票と同じく戦前期に発行されたもの)が中心である点に留意してください。
| 品目 | 買取価格 | 業者・時期 |
|---|---|---|
| 信義儲蓄銀行 伍元(光緒34年) | 270,000円 | 福ちゃん・2025年10月 |
| 満洲中央銀行 舊紙幣見本帖 | 180,000円 | 緑和堂・2026年6月 |
| 清銀行兌換券 壹圓札(漢口通用銀圓、光緒三十年印) | 169,000円 | 福ちゃん・2025年11月 |
| 裕商業銀行 銅元壹百枚(民国十四年印) | 122,000円 | 福ちゃん・2025年9月 |
| 大清銀行兌換券 壹圓 漢口通用銀圓 | 87,000円 | 緑和堂・2026年6月 |
| 満州中央銀行 壹百圓 | 70,000円 | 緑和堂 |
| 外貨兌換券 1979年・1988年 おまとめ計20点 | 19,000円 | 福ちゃん・2026年5月 |
参考:中国紙幣買取|買取福ちゃん、中国紙幣の買取|緑和堂(2026年9月時点の調査)
数字を並べて分かるのは、金額が動くのは「どのシリーズか」よりも「どの券種か」と「どんな状態か」だという点です。外貨兌換券20点で19,000円という実績と、1枚で270,000円という実績が同じ表に並ぶのは、そのためです。相場表の数字は目安であり、査定額を保証するものではありません。
価値が付きやすい旧紙幣の条件
流通停止となった券種は使えなくなる一方で、収集の対象としての市場が成立しています。買取業者が公開している情報を見ると、価値が付きやすい条件はおおむね次のように整理されます。
発行年代が古く、現存数が少ないこと
第一套は1948年から1955年までのわずか6年半ほどしか流通していません。当時の中国は物資が乏しく、紙幣が使い切られてしまったこともあり、状態のよいものはきわめて少ないとされています。買取業者のコラムでは、第一套の未使用品について「数十万円、場合によっては数百万円を超える査定額」という説明がなされています。
参考:「中国紙幣の価値はどれくらい?高額買取が期待できる種類の買取相場と見分け方」|買取福ちゃん
特定の版別・図柄であること
同じシリーズでも、版別によって残存数が大きく違います。第二套の10元券や、第三套の一部の券種は、コレクターの間で人気があるとされています。福ちゃんのコラムでは、第二套の「大黒拾」と呼ばれる10元券について「数万円から数十万円にもなることがある」、第三套の特定券種について「数千円~数万円単位で取引される」と説明されています。
参考:「中国紙幣の価値はどれくらい?高額買取が期待できる種類の買取相場と見分け方」|買取福ちゃん
保存状態がよいこと
折れ・破れ・シミ・書き込みがないものほど評価は上がります。紙幣は硬貨以上に状態の影響を受けやすく、同じ券種でも状態によって数倍の差が出ることがあります。
逆に、価値が付きにくいのはどんなものか
第四套の1元・5元・10元などは、発行枚数が多く現存数も豊富です。中国国内では2018年に流通停止となりましたが、日本の買取市場でも高額になることは期待しにくい部類です。第五套の現行紙幣は、額面どおりの外貨として扱われるのが基本で、コレクター価値が上乗せされることは通常ありません。手元にあるものの大半がこの範囲に収まる、という前提で考えておくと、期待とのずれが小さくなります。
参考:「中国紙幣はいくらで売れる?買取相場と高く売るポイントをご紹介」|バイセル
なお、ここに挙げた金額はいずれも買取業者が公開している目安であり、公的な定価ではありません。実際の査定額は、状態・版別・時期・業者によって変わります。
買取に出す前に確認しておきたいこと
そのままの状態で持ち込む
古銭の洗浄を避けたほうがよい理由と同じく、汚れやシワが気になっても、水に濡らしたり、アイロンをかけたりするのは避けたほうがよいとされています。紙の繊維が傷み、かえって評価を下げることがあります。折り目を伸ばそうとして裂けてしまうケースもあります。
シリーズと券種をメモしておく
査定の前に、額面・発行年の表示・シリーズが分かる範囲で控えておくと、話が早く進みます。第一套から第三套は流通停止から時間が経っており、手元の1枚がどれなのか判別しにくい場合もあります。
複製品・模造品が流通している点に注意する
中国の古い紙幣は、収集目的の複製品や、土産物として売られたレプリカも存在します。判断が難しい場合は、自己判断で価値を決めつけず、古紙幣の取り扱い実績がある業者に見てもらうのが確実です。
複数の見積もりを比べる
古紙幣の買取価格に定価はありません。同じ品でも業者によって評価が分かれることがあるため、複数社に見てもらったうえで判断すると納得しやすくなります。
参考:「中国紙幣はいくらで売れる?買取相場と高く売るポイントをご紹介」|バイセル
古紙幣は、中国切手や古銭、記念硬貨などとまとめて出てくることも多いものです。整理をまとめて進めたい場合は、幅広い品目に対応した買取店に相談してみてはいかがでしょうか。
よくある質問
中国の旧紙幣は日本の銀行で両替できますか。
現在流通している第五套人民元であれば、外貨両替を扱う銀行や両替商で日本円に両替できます。一方、中国人民銀行が流通停止を公告した第四套以前の券種は、支払い効力を失っているため両替の対象になりません。硬貨も基本的に取り扱い対象外とされています。
参考:「外貨両替」|中国銀行(Bank of China)日本
第四套人民元はいつ使えなくなりましたか。
中国人民銀行の公告〔2018〕第6号により、2018年5月1日から100元・50元・10元・5元・2元・1元・2角の紙幣と1角硬貨の市場流通が停止されました。2018年5月1日から2019年4月30日までが集中交換期とされ、この期間は各銀行窓口で交換できました。なお、第四套の5角紙幣・5角硬貨・1元硬貨は停止の対象外です。
参考:「人民银行珠海中支做好第四套人民币部分券别即将停止流通的宣传指引」|中国人民银行广州分行
第一套人民元はどのくらい珍しいのですか。
第一套は1948年12月1日から1955年5月10日までの流通で、12種の面額・62種の版別が発行されました。流通期間が短く、当時の状況から状態のよいものが残りにくかったため、収集の対象としては希少とされています。
手元の紙幣がどのシリーズか分かりません。
まず額面と、紙幣に印刷されている年号を確認します。第五套は1角・5角・1元・5元・10元・20元・50元・100元の8種で構成されています。20元券は第二套から第四套には存在しないため、20元券であれば第五套と判断できます。それでも分からない場合は、古紙幣の取り扱いがある買取店で見てもらうのが確実です。
中国の旧紙幣はいくらくらいで売れますか。
2026年9月時点の調査では、買取業者が公開している目安として、第一套人民元は数万円、未使用品では数十万円から数百万円を超える査定額が示されることもあるとされています。第二套の大黒拾は数万円から数十万円、第三套の棗紅壹角・背緑壹角は数千円から数万円単位です。数字入りの買取実績としては、信義儲蓄銀行の伍元が270,000円、満洲中央銀行の舊紙幣見本帖が180,000円、外貨兌換券20点のおまとめが19,000円といった例が公開されています。いずれも買取業者の公開情報であり、査定額を保証するものではありません。
参考:中国紙幣の価値はどれくらい|高額買取が期待できる種類の買取相場と見分け方|買取福ちゃん、中国紙幣の買取|緑和堂(2026年9月時点の調査)
旧紙幣を高く売るコツはありますか。
状態を保つことが第一です。洗浄やアイロンがけはせず、そのままの状態で査定に出します。付属のケースやアルバムがあれば一緒に持ち込むとよいでしょう。そのうえで、複数の業者に見積もりを取って比べることをおすすめします。
まとめ
中国の旧紙幣は、人民元の第一套から第五套までのどれにあたるかで、置かれている状況が変わります。第一套は1948年12月1日発行・1955年5月10日流通停止、第二套は1955年3月1日発行、第三套は1962年発行で2000年に流通停止、第四套は1987年4月27日発行で一部券種が2018年5月1日に流通停止、第五套は1999年10月1日発行の現行シリーズです。
買取相場の目安は、第一套が数万円(未使用品では数十万円から数百万円を超える例も)、第二套の大黒拾が数万円から数十万円、第三套の一部券種が数千円から数万円とされています(2026年9月時点の調査、いずれも買取業者の公開情報)。
日本国内の銀行や両替商で両替できるのは、現行の第五套人民元の紙幣に限られます。それ以前の流通停止券種は、外貨両替ではなく古紙幣としての買取査定という別の道になります。価値が付きやすいのは、発行年代が古く現存数が少なく、状態のよいものです。一方、第四套の一般的な券種や現行紙幣は、大きな上乗せは期待しにくいのが実情といえます。
手元の紙幣がどれにあたるか分からない場合は、無理に手を加えず、そのままの状態で古銭・古紙幣の買取に対応した専門店に相談してみてはいかがでしょうか。