軍用手票の価値と買取相場|種類別に解説
古い箱や蔵の整理で「軍用手票」と書かれた紙片が出てきて、価値があるのか気になっている方もいるのではないでしょうか。軍用手票は軍票とも呼ばれ、戦地や占領地で軍が発行した紙幣状の証票です。この記事では、軍用手票とは何か、現在の通用力、主な種類、そして価値がどのように決まるのかを、公的機関や事典の資料に沿って整理します。買取相場の目安もあわせて紹介するため、手元の軍票を確かめる手がかりが見つかります。
軍用手票(軍票)とは
軍用手票とは、戦争にあたって主に占領地で軍の物資調達や給与の支払いなどにあて、政府または軍が発行した特殊な紙幣です。軍票、軍用手形、軍用切手などとも呼ばれます。
参考:コトバンク「軍票」(日本大百科全書・ブリタニカ国際大百科事典ほか)
発行の目的のひとつは、占領地の経済と本国の経済を切り離すことにあったとされています。占領地での支払いに本国の通貨をそのまま使うと、本国の通貨が増発され、インフレを招くおそれがあります。この弊害を避けるために、本国の通貨とは別の証票として発行された、と説明されています。
軍票は本来、終戦後に本国の通貨で精算される決まりでしたが、発行した国が敗戦したときには無価値になることがあったとされています。日本が発行した軍票も、終戦後はその大部分が紙幣としての価値を失い、占領地の住民が影響を受けたと記録されています。
つまり、現在手元にある軍用手票は、お金として使えるものではありません。額面どおりに通用させることはできず、価値があるとすれば、それは古い紙幣としての収集価値になります。この点をふまえたうえで、種類や相場を見ていきます。
軍用手票は今も使えるのか
まず気になるのが、軍用手票を今も通貨として使えるのかという点ではないでしょうか。結論からいえば、通貨としての通用力はありません。
軍票は占領地での一時的な支払い手段として発行されたもので、日本銀行券のような法定通貨とは性格が異なります。前述のとおり、日本が発行した軍票は終戦後にその大部分が価値を失ったとされ、現在は銀行などで額面と引き換えることはできません。
軍用手票の価値を考えるときは、通貨としてではなく、歴史的な資料や収集の対象として見ることになります。発行された時期や地域、券種の希少性によって、収集家の関心を集めるものがあります。
軍用手票の主な種類
日本が関わった軍用手票は、発行された戦争や時期によっていくつかに分けられます。古銭・古紙幣の分野で挙げられる代表的な種類を整理すると、次のとおりです。
| 種類 | 時期の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 西郷札 | 1877年(西南戦争) | 西郷軍が発行したとされる軍票。日本の軍票の初期の例 |
| 日清戦争軍票 | 1894〜1895年ごろ | 日清戦争に伴い発行されたとされる |
| 日露戦争軍票 | 1904〜1905年ごろ | 銀円単位が用いられ、朝鮮語の表記もあるとされる |
| 青島出兵軍票 | 1914年ごろ | 第一次世界大戦期の出兵に伴うもの |
| シベリア出兵軍票 | 1918年ごろ | シベリア出兵に伴い発行されたとされる |
| 日華事変軍票 | 1937年以降 | 甲号・乙号・丙号など多くの券種があるとされる |
| 大東亜戦争軍票 | 1941年以降 | ペソ・ルピー・グルデン・海峡ドルなど現地通貨建てが発行された |
軍票の始まりは、西南戦争の際に西郷隆盛の軍が用いた西郷札とされ、その後の日露戦争以後に盛んに発行されたと説明されています。日中戦争や太平洋戦争では、中国や東南アジアの占領地で、現地の通貨単位に合わせた軍票が各地で使われました。
奈良県立図書情報館に残る資料では、中国方面の50銭・1円・5円・10円のほか、マレー方面の1セント、フィリピン方面の1センタボス、オセアニア方面の1シリングなど、地域ごとに通貨単位の異なる軍票が確認できます。占領した地域に合わせて、多様な券種が発行されたことがうかがえます。
同じ「軍用手票」でも、こうして種類は幅広く分かれています。手元のものがどの種類にあたるかによって、収集価値の見方も変わってきます。
軍用手票の価値の決まり方
軍用手票の価値は、いくつかの要素の組み合わせで決まると考えられます。古銭・古紙幣を扱う買取業者の解説を総合すると、主に次の点が挙げられます。
ひとつは、希少性です。発行された枚数や、現在まで残っている数が少ないものほど、収集の対象として評価されやすい傾向があります。逆に、発行数や現存数が多い券種は、価値が控えめになりやすいとされています。
もうひとつは、保存状態です。折れやシミ、破れ、変色などが少なく、発行当時に近い状態のものほど評価が高くなりやすいと説明されています。湿気や直射日光、虫食いなどは紙を傷める原因となり、価値を下げる要因になります。
加えて、券種や額面も関わります。同じ種類のなかでも、額面の高い券や、発行数の限られた希少な券種は、より注目されやすい傾向があるとされています。鑑定書や当時の封筒などの付属品がそろっている場合、査定の参考になることもあります。
これらの要素は単独ではなく、組み合わさって価値を形づくります。希少で、状態がよく、需要のある券種ほど、収集の対象として評価されやすいという整理になります。
軍用手票の買取相場の目安
軍用手票の買取相場には、公的に定められた価格はありません。ここで示すのは、複数の古銭・古紙幣買取業者が公開している情報を総合した、おおよその目安です。券種や状態によって大きく変わる点にご注意ください。
| 種類 | 買取価格の目安 |
|---|---|
| 西郷札 | 数万円〜数十万円(状態のよい高額面で10万円前後の例も) |
| 日露戦争軍票 | 数千円〜数十万円 |
| 青島出兵軍票 | 数万円〜数十万円 |
| シベリア出兵軍票 | 数万円〜数十万円 |
| 日華事変軍票 | 数百円〜数千円程度が中心(希少な券種はより高値の例も) |
| 大東亜戦争軍票 | 数百円〜数千円程度が中心(一部の希少券種は数万円以上の例も) |
| 在日米軍軍票 | 数千円〜数万円程度 |
(※複数の古銭・古紙幣買取業者の公開情報をもとにした目安です。2026年7月時点。公的な定価ではなく、種類・状態・需要によって大きく変わります)
日華事変軍票や大東亜戦争軍票は、現存する数が比較的多いとされ、多くは数百円から数千円程度で取引される傾向があります。一方で、発行数の少ない券種や状態のよい高額面のものは、これより高く評価されることがあります。相場に幅があるため、目安として受け止めておくとよいでしょう。
軍用手票を売る前に知っておきたいこと
軍用手票を手放すことを考えている場合、査定に出す前に押さえておきたい点がいくつかあります。
まず、偽物や、当時つくられた謀略用の軍票が紛れている場合があります。軍票は種類が多く、真贋の見分けは専門的な知識を必要とします。手元のものが本物かどうか、自分だけで判断するのはむずかしいため、専門の買取業者に見てもらうのがひとつの方法です。
次に、保存状態を保つことです。軍票は古い紙のため、湿気や直射日光に弱く、放置すると変色やカビ、虫食いが進むことがあります。価値が気になる場合は、無理に汚れを落としたり、折り目を伸ばそうとしたりせず、そのままの状態で保管しておくほうが安心です。透明なホルダーなどに入れておくと、状態を保ちやすくなります。
そのうえで、価値を知りたい場合は、古銭・古紙幣の買取に対応した専門店で査定を受けるのがひとつの方法です。種類や状態、券種の希少性を専門的に見てもらえます。複数の専門店で見比べると、納得して手放しやすくなります。付属品がある場合は、あわせて査定に出すとよいでしょう。
よくある質問
軍用手票は今もお金として使えますか。
通貨としての通用力はありません。軍票は占領地での一時的な支払い手段として発行されたもので、日本が発行した軍票は終戦後にその大部分が価値を失ったとされています。銀行などで額面と引き換えることはできず、価値があるとすれば古い紙幣としての収集価値になります。
軍票にはどのような種類がありますか。
西郷札や日清戦争軍票、日露戦争軍票、青島出兵軍票、シベリア出兵軍票、日華事変軍票、大東亜戦争軍票などが挙げられます。日中戦争や太平洋戦争では、中国や東南アジアの占領地で、現地の通貨単位に合わせた軍票が使われました。
軍用手票の価値はどのように決まりますか。
希少性、保存状態、券種や額面などの組み合わせで決まると考えられます。発行数や現存数が少なく、状態のよいものほど、収集の対象として評価されやすい傾向があります。相場は種類や状態で大きく変わるため、専門店での査定で確認するのがひとつの方法です。
日華事変軍票や大東亜戦争軍票は高く売れますか。
これらは現存する数が比較的多いとされ、多くは数百円から数千円程度で取引される傾向があります。ただし、発行数の少ない券種や状態のよい高額面のものは、これより高く評価される場合があります。目安として受け止め、専門店で確認するとよいでしょう。
手元の軍票が本物か分かりません。どうすればよいですか。
軍票には偽物や当時の謀略用のものが紛れている場合があり、真贋の判断には専門知識が必要です。自分だけで判断せず、古銭・古紙幣の買取に対応した専門店で見てもらうのがひとつの方法です。
まとめ
軍用手票(軍票)は、戦地や占領地で軍の物資調達などのために発行された特殊な紙幣で、日本が発行したものは終戦後にその大部分が価値を失ったとされています。現在は通貨として使えず、価値があるとすれば古い紙幣としての収集価値になります。西郷札や日露戦争軍票、日華事変軍票、大東亜戦争軍票など種類は幅広く、希少性・保存状態・券種によって評価が変わります。買取相場は種類や状態で大きく異なり、数百円程度のものから、状態のよい希少な券種では数十万円になる例もあるとされています。価値が気になる軍用手票をお持ちの場合は、無理に手を加えず、そのままの状態で古銭・古紙幣の買取に対応した専門店の査定を受けてみてはいかがでしょうか。