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逆光のカメラ設定|露出補正・測光モード・HDRの使い分け

逆光で撮ったら人物の顔だけ真っ黒になってしまった、というのはカメラを使い始めた誰もが通る場面だと思います。ただ、これはカメラの故障でも腕の問題でもなく、露出の決まり方を知っていれば設定で解決できることがほとんどです。この記事では、キヤノン・ニコン・ソニーの公式解説をもとに、逆光時に何がどう働いているのかを整理し、露出補正・測光モード・HDR・フラッシュという順で具体的な設定を解説します。

逆光で被写体が暗くなる仕組み

まず、なぜ暗くなるのかを押さえておきます。原因はカメラの測光にあります。

カメラは画面内の明るさを測って露出を決めています。逆光の場面では、被写体の背後に空や太陽といった非常に明るい光源があるため、画面全体としては「明るいシーン」と判断されます。その結果、カメラは露出を絞る方向に働き、被写体である人物や物体は暗く写ってしまいます。

ニコンは公式のQ&Aで、この現象について「マルチパターン測光は画面の広い領域を測光するため、逆光時や明暗差の大きい被写体を撮影した場合、被写体が暗く映ることがあります」と説明しています。標準の測光方式が画面全体を見ているからこそ起きる、いわば仕様どおりの結果だということです。

参考:「Z5 で画像が暗いとき、明るくする方法はありますか」|ニコンイメージング

つまり逆光対策とは、「カメラが自動で出した判断を、こちらの意図に合わせて修正する作業」だと言えます。修正の手段は大きく分けて三つ、明るさそのものを補正する、測る場所を変える、明暗差を圧縮する、です。加えて、光を足すという物理的な方法もあります。

露出補正で明るさを取り戻す

もっとも手早いのが露出補正です。キヤノンは写真用語集で「露出補正とは、写真がアンダーやオーバーにならないように補正することをいいます」と説明しています。ソニーのヘルプガイドでも「自動露出で設定された露出値を基準に、+側に補正すると画像全体を明るく、-側に補正すると画像全体を暗くできます」と記載されています。

逆光で被写体が暗いなら、プラス側に補正します。目安としては+0.7EVから+1.7EV程度の範囲で試すと、被写体の明るさが実感に近づくことが多いはずです。ただし補正量は光の強さや背景の明るさで変わるため、一つの数字で決め打ちできるものではありません。

そこで有効なのが、キヤノンが初心者向けに勧めている段階露光です。同社は「露出補正のコツを覚えるまでは、+1、0、-1と段階的に露出を変えて撮影する『段階露光撮影』を行いましょう」と案内しています。同じ構図で数枚撮っておけば、あとから最適なものを選べます。デジタルであればコストもかかりません。

参考:「露出補正:写真用語集」|キヤノン

参考:「露出補正」|ソニー ヘルプガイド

注意点として、プラス補正は画面全体を明るくする操作です。被写体が適正になる代わりに、背景の空は白く飛びます。空の色も残したい場合は、後述するHDRや、レフ板・フラッシュで光を足す方法が向いています。

なお、ソニーのヘルプガイドには、露出補正ダイヤルが0以外の位置にある場合はダイヤルの設定が優先される旨が記載されています。メニューで補正したのに反映されないと感じたときは、ダイヤルの位置を確認してみてください。

測光モードを切り替える|どこを測るかを変える

露出補正が「全体の明るさをずらす」操作なのに対して、測光モードの変更は「どこを基準に測るか」を変える操作です。

キヤノンの写真用語集では、測光方式が次のように説明されています。評価測光(分割測光)は「画面を細かく分割してひとつひとつで露出を測定」する方式で、極端に明るい被写体が入っても自動的に補正されるとされています。平均測光は「画面を平均的に測光すること」で、明るい太陽が入ると写真が暗くなるため細かな露出補正が必要になります。スポット測光は「画面中央の数パーセントを測光する方式」で、被写体のどの位置を測光するかで露出が大きく変わるため、ベテラン向きの方式とされています。

そのうえで同社は、強い夕日の逆光での撮影について、暗い被写体の部分をスポット測光することで、写真が明るくなるように補正できると説明しています。逆光でスポット測光が効くのは、明るい背景を測光対象から外し、暗い被写体だけを基準にできるためです。

参考:「測光:写真用語集」|キヤノン

測光モード 測る範囲 逆光での使い方
評価測光(マルチパターン測光) 画面全体を分割して測定 標準設定。逆光では被写体が暗くなりやすいため、露出補正と組み合わせる
中央部重点測光 画面中央を重視しつつ全体も参照 被写体が中央に大きく写る場合に扱いやすい
スポット測光 画面のごく一部(数パーセント) 被写体の明るくしたい部分を狙って測光する。露出の振れ幅が大きい
平均測光 画面を平均的に測定 明るい光源が入ると暗くなるため、逆光では補正が前提

実践的には、スポット測光にしてから被写体の顔(あるいは明るさの基準にしたい部分)で測光し、そのままAEロックをかけて構図を決め直す、という手順が使いやすい方法です。スポット測光は測る場所が数パーセントしかないため、狙いが少しずれるだけで結果が大きく変わります。慣れるまでは評価測光+露出補正のほうが安定します。

白とびを抑える|HDRとアクティブD-ライティング

被写体も背景も両方残したい場合に使うのが、明暗差そのものを圧縮する機能です。

ニコンは白とびを抑える方法として、アクティブD-ライティングとHDRの二つを案内しています。アクティブD-ライティングについては、撮影前に設定することで「ハイライト部の白とびを抑えて撮影でき、見た目のコントラストに近い画像に仕上がります」と説明されており、同時に暗部の黒つぶれも軽減するとされています。HDRについては「1回の撮影で露出が異なる画像を2コマ撮影して合成することにより、輝度範囲の広いシーンでも白とびの少ない画像を記録します」と記載されています。どちらの機能も、測光モードをマルチパターン測光に設定して撮影することが推奨されています。

参考:「Z シリーズやデジタル一眼レフカメラで、白とびをおさえて撮影する方法」|ニコンイメージング

ソニーのオートHDRは合成の枚数が異なります。同社のヘルプガイドでは「露出の異なる3枚の画像を撮影し、適正露出の画像とアンダー画像の明るい部分、オーバー画像の暗い部分を合成することにより階調豊かな画像にします」と説明されており、適正露出画像と合成画像の2枚が記録される仕様です。

同時に、いくつかの制約も明記されています。「動きや点滅発光などがない被写体のときに設定する」必要があること、RAW形式では使用できないこと、「撮影後、処理が終わるまで次の撮影はできません」、そして「フラッシュ発光時は、効果がほとんど得られません」という点です。動く被写体や、フラッシュを併用したい場面では向かないということになります。

参考:「オートHDR」|ソニー ヘルプガイド

使い分けとしては、風景など動かない被写体で背景まで残したいならHDR、人物のように動きがある被写体ならアクティブD-ライティングや露出補正、と考えると整理しやすくなります。

光を足す|レフ板と日中シンクロ、場面別の設定早見表

ここまでは撮影後の明るさをカメラ側で調整する方法でしたが、被写体そのものに光を当ててしまえば、そもそも明暗差が縮まります。

レフ板は、太陽光を反射させて被写体の陰になっている側に光を返す道具です。白は自然で柔らかい光、銀はより強い光になります。人物撮影であれば、被写体の斜め下や斜め前に構えて、顔に光が回るように角度を調整します。専用品がなくても、白い紙や布で代用は可能です。

フラッシュを日中に使う「日中シンクロ」も有効な手段です。背景の明るさに合わせて露出を決めたうえで、フラッシュで被写体側を照らすことで、空の色を残したまま人物を明るく写せます。ソニーは、フラッシュのハイスピードシンクロ機能を使えば同調速度を超える速いシャッタースピードでも撮影できるため、背景の夕景を残しながら人物を美しく写せると案内しています。明るい屋外で絞りを開けたい場合に効いてくる機能です。

場面ごとの設定の出発点をまとめると、次のようになります。あくまで目安ですので、実際は段階露光で微調整してください。

場面 測光モード 露出補正の目安 併用したい機能
屋外・人物のポートレート 評価測光またはスポット測光 +0.7〜+1.7EV レフ板/日中シンクロ
窓際の人物・室内から屋外を背景に スポット測光(顔で測光) +1.0〜+2.0EV 日中シンクロ
夕景を背景にした人物 評価測光 背景基準のまま 日中シンクロ/ハイスピードシンクロ
逆光の風景(明暗差が大きい) マルチパターン測光 ±0EV前後 HDR/アクティブD-ライティング
葉や花の透過光を撮る スポット測光(葉の明るい部分) -0.3〜+0.7EV
シルエットにしたい 評価測光または背景で測光 -0.7〜-2.0EV

参考:「逆光の人物をハイスピードシンクロで美しく撮る」|ソニー

逆光を活かす撮り方

逆光は避けるべき条件と思われがちですが、順光では出せない表現ができる光でもあります。

透過光

葉や花びら、グラスの中の液体など、光を通す被写体は逆光で撮ると内側から発光しているように写ります。この場合は被写体全体を明るくするのではなく、透けている部分の明るさを基準にするとよい結果になります。スポット測光で透けている箇所を測るか、露出補正を控えめにして色が飽和しないようにします。

輪郭光(リムライト)

人物の髪や動物の毛に光が当たると、輪郭が細い光の線として浮かび上がります。背景が暗ければ暗いほど際立つため、背景に日陰を選ぶと効果的です。

シルエット

被写体を意図的に黒く落とし、形だけで見せる撮り方です。この場合はマイナス補正を使い、背景の空の色が濃く出るように調整します。逆光で暗くなるという「失敗」を、そのまま狙いにする発想です。

フレアとゴースト

太陽光がレンズに直接入ると、画面全体が白っぽくなるフレアや、光源と対称の位置に光の玉が並ぶゴーストが発生します。本来は避けたい現象ですが、柔らかい雰囲気や光の存在感を出す表現として使われることもあります。逆に抑えたい場合は、次に触れるレンズフードが効きます。

機材の見直し|レンズフードと、使っていないカメラの扱い

設定の話とあわせて、機材側でできることにも触れておきます。

まずレンズフードです。逆光でのフレアやゴーストは、画角の外から入ってくる不要な光が原因になっていることが多く、フードを付けるだけで軽減されます。純正フードを外したまま使っている方は、一度付けて撮り比べてみてください。フードがない場合でも、手や帽子で光源側を軽く覆う(ハレ切り)だけで効果があります。レンズの前玉に指紋や汚れが付いていると、光が乱反射してフレアが出やすくなるため、清掃も有効です。

逆光の弱点は、レンズのコーティングや設計によっても差が出ます。古いレンズはコーティングの世代が古く、フレアが出やすい傾向があります。これは欠点である一方、その独特の写りを目的に使われることもあり、カメラのブランド一覧で挙げられるメーカーのオールドレンズも含め、中古市場では一定の需要があります。

機材を整理する場面についても触れておくと、使わなくなったカメラやレンズは、動かないカメラでも値が付く条件を踏まえつつ、状態が保たれているうちに手放すかどうかを検討する価値があります。レンズは湿気の多い場所に置いているとカビが発生し、キヤノンの赤レンズ買取でも評価を分ける要素になるように、いったん発生すると清掃しても跡が残ることがあります。ボディも電池を入れっぱなしにすると液漏れによる腐食の原因になり、フィルムカメラのシャッターが切れない不具合につながることもあります。防湿庫や乾燥剤入りのケースで保管し、定期的に取り出して動作を確認しておくのが基本です。

売却を考える場合は、買取で高く売るコツのとおり、箱・説明書・純正フード・キャップなどの付属品を揃えておくと評価につながりやすくなります。買取価格は機種や状態、市場の需給によって変動しますので、金額はあくまで目安として、複数社で査定を比較するのが確実です。

よくある質問

Q. 逆光で顔が暗いとき、まず何を変えればいいですか

露出補正をプラス側に振るのがもっとも手早い方法です。+0.7EVから試し、足りなければ段階的に上げます。キヤノンは+1、0、-1と段階的に露出を変えて撮る段階露光を勧めています。

Q. スポット測光と露出補正はどちらを使うべきですか

まずは評価測光(マルチパターン測光)のまま露出補正を使うほうが安定します。スポット測光は測る範囲が画面の数パーセントしかなく、狙う位置によって露出が大きく変わるため、キヤノンもベテラン向きの方式と説明しています。被写体の一部を確実に狙える場面で使うと効果的です。

Q. HDRを使えば逆光は全部解決しますか

明暗差の大きい風景には有効ですが、制約もあります。ソニーのヘルプガイドでは、動きや点滅発光のない被写体に設定すること、RAW形式では使えないこと、フラッシュ発光時は効果がほとんど得られないことが記載されています。動く被写体には向きません。

Q. スマホでも同じ考え方でいいですか

基本的な考え方は共通です。多くのスマートフォンでは、画面をタップして明るさの基準を決め、そのまま指を上下にスライドして明るさを調整できます。これは測光位置の指定と露出補正に相当する操作です。

Q. 空の色も人物の明るさも両方残したいときは

露出補正だけでは片方が犠牲になります。この場合は、レフ板で人物側に光を返すか、日中シンクロでフラッシュを使うのが確実です。背景を基準に露出を決め、被写体側は光を足して持ち上げる、という考え方になります。

まとめ

逆光で被写体が暗くなるのは、カメラが画面全体の明るさを見て露出を決めているためです。ニコンも、マルチパターン測光では逆光時や明暗差の大きい場面で被写体が暗く写ることがあると説明しています。

対処の順番としては、まず露出補正をプラス側に振ること。次に、測る場所を変えたいならスポット測光や中央部重点測光に切り替えること。背景まで残したいなら、HDRやアクティブD-ライティングで明暗差を圧縮すること。そして、被写体そのものを明るくしたいならレフ板や日中シンクロで光を足すこと。この四つを場面に応じて使い分けるのが基本になります。

同時に、逆光は透過光や輪郭光、シルエットといった表現を可能にする光でもあります。避けるのではなく、どう見せたいかを先に決めてから設定を選ぶと、判断が早くなります。機材面ではレンズフードの有無だけでも結果が変わりますので、あわせて確認してみてください。

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