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レコードの音が出ない原因と確認手順|針・接続・アンプを切り分ける

久しぶりにレコードをかけたのに、スピーカーから何も聞こえないことがあります。ターンテーブルは回っているのに、無音のままです。故障を疑いたくなりますが、実際には接続や設定の行き違いというケースが少なくありません。そこでこの記事では、レコードの音が出ないときに何をどの順番で確認すればよいかを、メーカー公式の資料をもとに整理します。

まず確認したい「故障ではない」原因

音が出ないと感じたとき、道具も知識も要らずに確認できるところから見ていきます。ここで解決することが多いため、順番に潰していくのが近道です。

針カバー(カートリッジプロテクター)が付いたままになっている

新品や、長く仕舞っていたプレーヤーでよくある状態です。針先を守る透明のカバーが装着されたままだと、当然ながら針は溝に触れません。オーディオテクニカは、音が出ないときや音量が小さいときの確認項目として、カートリッジプロテクターを外すことを先頭に挙げています。

トーンアームが降りていない

オートリフト機構やアームリフターが上がったままだと、針は溝の上で浮いています。レバーを下げて、針先が盤面に接しているかを目で確かめてください。

アンプの入力切替が合っていない

プレーヤーをつないだ端子と、アンプで選んでいる入力が一致していないと無音になります。CDやチューナーが選ばれたままになっていないかを確認しましょう。

ケーブルの挿し込みが浅い、または断線している

デノンの取扱説明書は、音がまったく出ないときの対処をいくつか挙げています。すべての機器の接続を確認すること、接続ケーブルを奥まで挿し込むこと、入出力端子の誤接続やケーブルの破損がないか確かめることなどです。抜き挿しを繰り返した端子は接触が甘くなりがちです。

参考:音がまったく出ない DP-450USB|デノン

アンプ側を疑う|PHONO入力とフォノイコライザー

上記で解決しない場合、次に疑うのは信号経路です。レコード再生は、CDやスマートフォンをつなぐのとは前提が違います。

カートリッジが発電する信号は非常に小さく、しかも溝に刻む段階で音の特性が加工されています。オーディオテクニカは、フォノイコライザーの役割を二つに整理しています。ひとつはカートリッジで発電した小さな信号を十分な出力電圧まで増幅すること、もうひとつは溝に刻まれた信号を元の状態へ復元・補正することです。

出力電圧の差は具体的に示されています。MM型やVM型カートリッジの出力は3〜10mV、MC型は0.1〜0.5mV程度で、CD再生の200〜500mV程度とは桁が違います。この差があるため、フォノイコライザーを通さずにライン入力へつなぐと無音になります。音が出たとしても、ごく小さく痩せた音にしかなりません。

参考:フォノイコライザーとは? レコード再生に欠かせない仕組みと役割を徹底解説|オーディオテクニカ

フォノイコライザーは、プレーヤーとアンプのどちらかに入っていれば足ります。近年のプレーヤーは内蔵しているものが多く、その場合はPHONO出力とLINE出力を切り替えるスイッチが背面に付いています。

このスイッチの位置が、音が出ない原因になることがあります。オーディオテクニカは、PHONOはイコライジングや増幅を経ていない信号がそのまま出力されるため、単体のフォノイコライザーかプリメインアンプのフォノ入力へつなぐものだと説明しています。一方のLINEは、処理を経た信号が出るのでライン入力へそのままつなげます。

参考:PHONO?LINE?レコードを有線で再生するために知っておきたいこと|オーディオテクニカ

デノンの取扱説明書にも同趣旨の記載があり、フォノイコライザーを内蔵していないアンプを使う場合は、プレーヤー側のEQUALIZER ON/OFFスイッチをONにする必要があるとされています。

プレーヤー側の出力 信号の状態 つなぐ先
PHONO イコライジングも増幅もされていない微小な信号 アンプのPHONO入力、または単体のフォノイコライザー
LINE イコライジングと増幅を経た信号 アンプのライン入力(AUX、CDなど)

なお、LINEレベルの信号をPHONO入力へつなぐのは避けてください。オーディオテクニカは、PHONO入力がフォノイコライザーを通す前の極めて小さな信号を受ける前提の端子であり、大きな信号が入るとアンプやスピーカーにダメージを与えることがあると注意を促しています。無音ではなく異常な大音量が出た場合は、すぐに音量を下げて接続を見直しましょう。

プレーヤー側を疑う|針・カートリッジ・配線

アンプ側に問題がなさそうなら、プレーヤーの先端側を見ていきます。オーディオテクニカは、プラッターが回るのに音が出ないときや音量が小さいときの確認項目として、次の点を挙げています。

  • カートリッジプロテクターを外す
  • トーンアームを降ろす
  • アンプなど接続機器の設定を確認する
  • 針が損傷していないかを確認し、必要なら交換する
  • 交換針がカートリッジに正しく装着されているかを確認する
  • PHONO/LINE切換スイッチの設定を確認する
  • 針圧を調整する

参考:故障かな?と思ったら(AT-LP3XBT)|オーディオテクニカ

交換針の装着は、うまくはまっていないと音が出ません。オーディオテクニカの公式サポートは、装着の手順を次のように案内しています。針の後端にある突起の爪をカートリッジ本体の下側の溝へ斜め下方向から差し込み、その部分を支点にしてカチッという音が出るまで押し上げます。装着後は、交換針とカートリッジの隙間が均一になっているかを確かめてください。隙間が不均一なら、いったん外して付け直します。

参考:レコードプレーヤー(ターンテーブル)の針を交換する方法を知りたい|オーディオテクニカ

もうひとつ見落としやすいのが、ヘッドシェルとトーンアームの接点です。オーディオテクニカは、接点不良が疑われる場合にヘッドシェルの4つの端子を磨く方法を紹介しています。デニムで磨く簡易な方法のほか、無水アルコールや接点復活剤を綿棒に含ませて磨く方法も挙げられています。フォノケーブルの端子もこまめに掃除しておくとよいでしょう。

ターンテーブルが回らない・片方だけ音が出ない

プラッターが回らないとき

そもそも回転していなければ音は出ません。オーディオテクニカは、まずACアダプターの接続を確認するよう案内しています。次に見るのがベルトです。プラッターから外れていないか、モータープーリーに正しくかかっているかを確かめ、切れていないかも見てください。

ベルトドライブ機は、ベルトが消耗品です。デノンの取扱説明書でも、ターンテーブルが回転しない原因として電源プラグの差し込みとベルトの装着状態が挙げられ、ターンテーブルを裏返して内円部の外周にベルトを掛け直す手順が示されています。

参考:ターンテーブルが回転しない DP-400|デノン

交換ベルトは、家電量販店やメーカーの公式サイトから購入できます。適合する型番があるため、機種名を控えてから探してください。

参考:レコードプレーヤー(ターンテーブル)の交換ベルトの購入と交換方法を知りたい|オーディオテクニカ

左右どちらか一方だけ音が出ないとき

片チャンネルだけ無音になるのは、どこかで信号が途切れているサインです。オーディオテクニカは、原因の場所を特定する手順として、接続を左右入れ替えながら症状の移り方を見る方法を紹介しています。

まずフォノケーブルをアンプ側で左右逆に挿し替えます。音の出ない側が入れ替わればプレーヤー側、変わらなければより上流に原因があります。次にプレーヤー側でも左右を逆にして、症状が移ればケーブル自体の問題だと切り分けられます。スピーカーケーブルの片端を入れ替えて、症状が移るかどうかを見る方法も示されています。

参考:音が出ないときのチェックポイント——オーディオトラブルの対処法|オーディオテクニカ

症状 主に疑う場所 確認すること
完全に無音 接続・入力切替・フォノイコライザー 入力切替、PHONO/LINEスイッチ、ケーブルの挿し込み
音が極端に小さい フォノイコライザーの経路 PHONO出力をライン入力へつないでいないか
片側だけ無音 ケーブル・ヘッドシェル接点 左右を入れ替えて症状が移るか
プラッターが回らない 電源・ベルト 電源プラグ、ベルトの外れや切れ
音は出るが歪む・音飛びする 針・盤面・針圧 針先の汚れと摩耗、盤面の汚れ、針圧の設定

盤面と針先の汚れが関わるケース

完全な無音ではなく、音は出るものの途切れる・歪む・片側が弱いといった症状もあります。この場合に疑いたいのが、盤面と針先の状態です。

オーディオテクニカは、針先が傷んだと考える前に、まず針先をしっかりクリーニングすべきだと述べています。針先や盤面に付いた汚れは磨き砂のようにはたらき、針と音溝の両方を削っていくためです。音飛びが起きるときは、まずレコードを丹念に掃除することが先だとも案内されています。

参考:カートリッジが故障する原因について知ろう|オーディオテクニカ

カンチレバーの折損にも注意が必要です。カートリッジのカンチレバーは華奢に作られており、何かが触れると簡単に折れてしまいます。針を交換するときはカートリッジをいったん外すか、針カバーを装着した状態で作業するとよいでしょう。

ダンパーの劣化も避けられません。ゴム状のダンパーは年月とともに劣化し、同じ音を保ち続けるのは難しくなります。長期間しまい込んでいたプレーヤーで音のバランスが崩れている場合、この可能性を考えます。

なお、針そのものの摩耗についてはレコードの寿命と劣化の原因・保管環境で詳しく触れています。針や盤の寿命の考え方は、そちらもあわせてご覧ください。

分解はしない|メーカーが案内している相談先

ここまでの確認で改善しない場合、内部の不具合が疑われます。このとき、自分でキャビネットを開けて配線を触るのはおすすめできません。

理由は三つあります。第一に、カートリッジの内部やトーンアームの配線は極細で、素手で扱えば断線や短絡を招きます。第二に、分解した痕跡があると、メーカーの点検や修理を受けられなくなる場合があります。第三に、症状を悪化させてしまえば、その後の選択肢そのものが狭まります。

メーカー自身も、切り分けの先は販売店や相談窓口へつなぐよう案内しています。デノンの取扱説明書には、どの症状にも該当しない場合は本機の故障とも考えられるため、購入した販売店へ相談するよう記載があります。販売店でも分からない場合は、お客様相談センターまたは最寄りの修理相談窓口へ連絡するよう案内されています。

参考:故障かな?と思ったら DP-450USB|デノン

カートリッジも同様です。オーディオテクニカは、ほとんどのMC型カートリッジについて、本体を販売店へ持ち込んで新品と交換するしくみになっていると説明しています。MM型やVM型は交換針を自分で装着できますが、MC型は針だけを付け替える構造ではありません。手持ちのカートリッジがどちらの型式なのかを、まず取扱説明書で確認してください。

修理に出すときは、症状を具体的に記録しておくと話が早く進みます。オーディオテクニカも、他のソース機器から音を出して同じ症状が起きるかを確かめ、症状を具体的に記録してから修理に出すことを勧めています。

音が戻らないときの選択肢|修理と手放すこと

原因が電源基板やモーター、トーンアームの配線といった内部にある場合、修理費用と製造からの年数を見比べる場面が出てきます。生産が終了して長い機種では、補修部品の保有期間が過ぎていることもあります。まずは販売店や相談窓口に、修理を受け付けてもらえるかどうかを問い合わせるのが第一歩です。

使わないまま置いておくと、状態は少しずつ落ちていきます。ベルトは伸び、ダンパーは硬くなり、端子は酸化します。手放す可能性があるなら、判断は早いほうが選択肢は広く残ります。

買取を検討する場合、査定では次のような点が見られます。動作の可否はもちろん、外装のキズや日焼け・ダストカバーの割れ・付属品の有無などです。アンプのノイズなど不具合があっても値がつく条件と、見られる箇所の考え方は共通しています。純正のヘッドシェルやカートリッジ・取扱説明書・元箱がそろっていれば、そのまま一緒に出しておくとよいでしょう。

音が出ない状態でも、原因を伝えられれば話は進めやすくなります。どこまで確認して、何をしても改善しなかったのかをメモにしておいてください。買取の査定前にやってはいけないことでも触れているとおり、分解や自己流の修理を試みる前に相談したほうが、結果的に扱いやすい状態を保てます。

盤のほうを整理する場合は、レコードにプレミアが付く条件を先に知っておくと選別がしやすくなります。

よくある質問

プレーヤーもアンプも新しいのに音が出ません

フォノイコライザーの経路を確認してください。プレーヤー側にPHONO/LINEの切換スイッチがある場合、その位置とアンプ側でつないでいる端子の組み合わせが合っていないと、無音や極端な小音量になります。PHONO出力はアンプのPHONO入力へ、LINE出力はライン入力へつなぎます。

アンプにPHONO入力がありません。どうすればよいですか

プレーヤーにフォノイコライザーが内蔵されていれば、LINE出力に切り替えてアンプのライン入力へつなげます。内蔵されていない場合は、単体のフォノイコライザーを間に入れる方法があります。手持ちの機器がどれにあたるかはアンプの種類を方式別に整理した記事で確認できます。フォノイコライザーは、プレーヤーかアンプのどちらかにあれば足ります。

針を交換したのに音が出ません

装着が不完全な可能性があります。交換針とカートリッジの隙間が均一になっているかを見て、不均一なら付け直してください。あわせて針圧の設定と、ヘッドシェルの端子の接触も確認しましょう。

片方のスピーカーだけ音が出ないときは、どこが悪いのですか

接続を左右入れ替えて、症状が移るかどうかで切り分けます。フォノケーブルをアンプ側で逆に挿して症状が移ればプレーヤー側、移らなければより上流が疑わしくなります。同じ手順をプレーヤー側、スピーカーケーブル側でも試すと、原因の場所を絞り込めます。

自分で中を開けて直しても大丈夫ですか

おすすめできません。配線が細く、断線や短絡のリスクがあるうえ、分解した痕跡があると正規の修理を受けられなくなる場合があります。メーカーの取扱説明書でも、症状が解消しないときは販売店や相談窓口へ連絡するよう案内されています。

まとめ

レコードの音が出ないときは、針カバーとトーンアーム・入力切替・PHONO/LINEの経路という順で確認すると、多くの場合は原因にたどり着きます。それでも改善しないなら、内部の不具合が疑われます。分解はせず、販売店や修理相談窓口へつないでください。修理を見送る場合でも、状態が落ちきる前であれば選べる道は残ります。確認した内容を書き留めたうえで、まずはご相談ください。

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