ワイルドストロベリー|ウェッジウッドの定番柄の歴史と特徴
食器棚を整理していると、いちごの絵柄が入った白いカップが出てくることがあります。結婚祝いや退職記念で受け取ったまま、名前を知らずにしまい込んでいた方も多いはずです。これはウェッジウッドのワイルドストロベリーという柄かもしれません。そこでこの記事では、ワイルドストロベリーがいつ生まれてどんな素材で作られたのか、手元の一点をどう確認すればよいのかを整理します。ウェッジウッド公式とヴィクトリア&アルバート博物館の情報がもとになります。
ワイルドストロベリーとはどんな柄か
ワイルドストロベリーは、ウェッジウッドを代表するパターンのひとつです。公式サイトは、このコレクションについて「最上級のボーンチャイナで作られ、古典的なイングリッシュ・カントリーガーデンの美しさに着想を得た、葉・花・いちごという意匠のモチーフで飾られている」と説明しています。
白地に描かれた小さな実と葉、そして細い蔓が器の縁を回っていく構図は、一度見ると記憶に残ります。マグの公式商品説明では、みずみずしいいちごと絡み合う蔓を特徴とし、縁・底・持ち手に金彩のバンドが入ることが紹介されています。素材は「strong fine bone china」と表記されています。
参考:Wild Strawberry Gold Mug|Wedgwood
なお、22カラットの金で手作業のラインを引く仕様は、公式サイトではルネッサンスという別のコレクションの説明として記載されています。ワイルドストロベリーの金彩については、公式の商品説明が示す範囲で理解しておくのが正確です。
1965年の登場から60年
ワイルドストロベリーの誕生年は、公式サイトに明記されています。パターンの背景を紹介するページには「ワイルドストロベリー コレクションは1965年に初めて登場して以来、人々の想像力をとらえてきた」と記されています。
参考:Behind the pattern: Wild Strawberry|Wedgwood
コレクションページでも「2025年は象徴的なワイルドストロベリー パターンの60年を記念する年」と説明されており、1965年という起点で一致しています。半世紀以上にわたって作られ続けているという事実は、この柄を考えるうえでの土台になります。
長く続いているということは、市場に出回っている品の年代に幅があるということでもあります。1970年代に購入されたものと、近年の製品が同じ「ワイルドストロベリー」として並びます。この点は後述する確認手順にも関わってきます。
年代の手がかりとなる陶器の裏印の調べ方については、別の記事で手順を整理しています。
ウェッジウッドという窯の成り立ち
パターンの背景を理解するには、窯そのものの歴史を押さえておくと見通しがよくなります。
ウェッジウッドは1759年、陶工であり起業家でもあったジョサイア・ウェッジウッドによって、イングランドのストーク・オン・トレントで創業しました。公式サイトは、同社が260年以上にわたってセラミックデザインの流れを形づくってきたと記しています。ジャスパーウェア、クイーンズウェア、ブラックバサルトといった素材の名前が並びます。
ジャスパーウェアについては、長年の実験を経て1774年にジョサイア・ウェッジウッドが完成させたと説明されています。クイーンズウェアはもともとシャーロット王妃のために作られたもので、英国陶磁器の新しい基準を打ち立てたと記されています。
ヴィクトリア&アルバート博物館の解説は、この経緯をより具体的に伝えています。同館によれば、ジョサイア・ウェッジウッド1世(1730年〜1795年)はクリームウェアを完成させるために約5,000回にのぼる釉薬と素地の試験を重ねました。1765年にシャーロット王妃へ茶器一式を納め、1766年にこの製品は「クイーンズウェア」と名づけられ、ジョサイアは「Her Majesty’s Potter」の称号を得ています。
参考:Wedgwood: an introduction|Victoria and Albert Museum
裏印についての記述も見逃せません。同館は「この時代のスタッフォードシャーの陶器は製作者による銘が入るのが一般的ではなかったが、ジョサイア1世は真正性と品質のしるしとして自身の器の底に刻印を始めた」と説明しています。今日わたしたちがバックスタンプを手がかりに製造元をたどれるのは、この習慣の延長にあります。
現在の製造については、ストーク・オン・トレントのバーラストンにある工場で、ろくろ成形、モデリング、装飾の技能が受け継がれていると公式サイトに記されています。
素材のボーンチャイナを理解する
ワイルドストロベリーの素材はボーンチャイナです。公式のガイドによれば、ボーンチャイナはチャイナクレイ、チャイナストーン、ボーンアッシュ(骨灰)から作られます。これらを磁土と混ぜ、磁器よりわずかに低い温度で焼成することで、独特の強度、軽さ、透光性が生まれると説明されています。
配合についても具体的な記載があります。伝統的なボーンチャイナの配合はカオリンが約25%、コーニッシュストーンが約25%、ボーンアッシュが約50%とされ、業界での骨灰含有量の最低基準は30%以上と示されています。
参考:A guide to bone china|Wedgwood
ファインチャイナとの違いも明快です。ボーンアッシュを含むボーンチャイナはクリーミーで柔らかな色合いになり、骨灰を含まないファインチャイナはより白く硬質な色調になると説明されています。光に透かすと、ボーンチャイナは光を多く通して半透明に見え、ファインチャイナは光を完全に遮ります。
| 比較項目 | ボーンチャイナ | ファインチャイナ |
|---|---|---|
| 原料 | チャイナクレイ、チャイナストーン、骨灰 | 骨灰を含まない |
| 色調 | クリーミーで柔らかい | より白く硬質 |
| 光にかざしたとき | 半透明で光を多く通す | 光を完全に遮る |
| 手に取った印象 | 軽く繊細 | 素材によって異なる |
ボーンチャイナの起源についても記載があります。最初の開発は1748年、ロンドン東部のボウにあったボウ磁器工場のトーマス・フライによるものでした。工場はロンドン・イーストエンドの家畜市場と食肉処理場の近くにあり、骨灰の原料となる動物の骨を入手しやすい立地でした。その後1789年から1793年にかけてストーク・オン・トレントのジョサイア・スポードが概念を発展させ、1796年に「ストークチャイナ」を発表しています。初代スポードの急逝後、息子のジョサイア2世が製品名を「ボーンチャイナ」に改めました。
素材の分類そのものについては、陶器・磁器・ボーンチャイナの違いもあわせて確認してください。
配色違いのコレクションもある
ワイルドストロベリーには、絵柄の構成を保ったまま配色を変えたコレクションが存在します。公式サイトには「ワイルドストロベリー インキーブルー」というコレクションページが用意されています。
参考:Wild Strawberry Inky Blue|Wedgwood
手元の品を確認するときは、コレクション名まで特定できると情報の精度が上がります。同じいちごの絵柄でも、地色や金彩の有無で別のコレクションとして扱われるためです。箱やしおりに記載があれば、そこに書かれた表記をそのまま控えておきましょう。
使い方と手入れで気をつけること
ボーンチャイナの取扱いについて、公式ガイドはいくつかの案内を出しています。まず、ボーンチャイナは電子レンジ対応であり、食器洗浄機にも対応し、オーブンにも対応すると記載されています。
洗い方の注意も具体的です。酸性や粘着性のある食べ物の残りを取り除くため、使用後はすぐ洗うことがすすめられています。手洗いの際は、中性の液体洗剤と研磨性のない布で一枚ずつ洗うよう案内されています。
食器洗浄機を使う場合の注意はとくに重要です。ラックに詰め込みすぎないこと、そして金属製品をファインボーンチャイナから離しておくことが挙げられています。軽く触れただけでも、傷、欠け、ひび割れの原因になると明記されています。
金彩が入った器については、この注意がそのまま当てはまります。金属のカトラリーと重ねて洗うことは避け、収納時も器同士が直接触れないようにしておくと安心です。布のケースや薄紙を挟んで保管する方法も、公式ガイドで紹介されています。
手放すときに確認される点
使わなくなったワイルドストロベリーを整理する場合、次の点を自分で確認しておくと話が早く進みます。
1. コレクション名と品目
「ワイルドストロベリー」なのか「ワイルドストロベリー インキーブルー」なのか、また、ティーカップなのかマグなのかを控えます。箱やしおりがあれば一緒に出しましょう。
2. 組数
カップ&ソーサーであれば、両方が同数そろっているかを数えます。欠けている場合は本数を申告してください。
3. 金彩の摩耗
縁や持ち手の金彩は、使用と洗浄によってすり減ります。明るい場所で角度を変え、薄くなった箇所がないかを見てください。
4. 欠け・ひび・貫入の汚れ
口元と高台は欠けやすい箇所です。貫入に茶渋が入り込んでいる場合、洗浄では戻らないことがあります。
5. 元箱と付属品
外箱、しおり、保証書、ギフト用の包装がそろっていると、商品としての完成度が上がります。
| 確認項目 | 見るところ | 事前にできること |
|---|---|---|
| コレクション名 | 箱、しおり、裏印 | 表記をそのまま書き写す |
| 組数 | カップとソーサーの数 | 数えて記録する |
| 金彩 | 縁、底、持ち手 | 角度を変えて摩耗を確認する |
| 欠け | 口元、高台 | 指の腹でなぞって確かめる |
| 付属品 | 外箱、しおり、包装 | 押し入れや納戸を確認する |
なお、買取価格は品物の状態、市場の需要、事業者の在庫状況によって変動します。事前に金額を断定することはできないため、実際の評価は査定で確認してください。割れ物を送る場合は、食器の宅配買取の手順とクーリング・オフも先に読んでおくと安心です。
売る以外の選択肢も含めて考えたい場合は、いらない食器はリサイクルショップで買取できるかで手放し方を比較しています。
よくある質問
ワイルドストロベリーはいつから作られていますか
公式サイトは、ワイルドストロベリー コレクションが1965年に初めて登場したと記しています。あわせて、2025年がこのパターンの60年を記念する年であるとも説明されています。
電子レンジや食器洗浄機で使えますか
公式ガイドは、ボーンチャイナが電子レンジ対応であり食器洗浄機にも対応すると記載しています。ただし食器洗浄機を使う際は、ラックに詰め込みすぎないこと、金属製品をファインボーンチャイナから離しておくことが案内されています。軽い接触でも傷や欠けの原因になるためです。
似たいちご柄の食器は、すべてワイルドストロベリーですか
いちごをモチーフにした食器は他のメーカーにもあります。公式サイトの掲載内容と手元の品の絵柄を照らし合わせ、あわせて裏印の表記を確認してください。箱やしおりが残っていれば、そこに書かれたコレクション名がもっとも確実な手がかりです。
一客だけ欠けてしまいました。残りは売れますか
残りの数がそろっていれば、対象になる場合があります。ただし完全なセットに比べれば商品としての完成度は下がります。欠けている事実は事前に伝えておきましょう。
金彩がすり減っています。磨けば戻りますか
戻りません。金彩は表面に焼き付けられた層であり、削れた部分を自分で補うことはできません。研磨剤入りのスポンジや漂白剤を使うと、残っている部分まで傷めるため避けてください。
まとめ
ウェッジウッドのワイルドストロベリーは1965年に登場し、60年にわたって作られてきたパターンです。素材はボーンチャイナで、金彩の摩耗と欠けの有無が状態を判断する要になります。まずはコレクション名と組数を控え、箱や付属品を探しておくと整理が進みます。弊社では一点ずつ状態を確認したうえでご説明いたしますので、書類が残っていない品もそのままお持ちください。