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シルバー(銀製品)はなぜ売れるのか|刻印・ホールマーク・銀相場から仕組みを解説

布の上に並べられた銀のアクセサリー

引き出しの奥にあるシルバーのアクセサリーや、贈答品でもらったまま使っていない銀食器。これらが売れるのか、売れるとしたら何を見られるのかが気になる方もいるのではないでしょうか。銀製品の評価は、素材としての銀の価値と、製品としての価値の2つに分けて考えると整理しやすくなります。この記事では、造幣局や田中貴金属工業が公表している情報をもとに、シルバーが売れる仕組みを解説します。

シルバー(銀製品)が売れる仕組み|地金価値と製品価値

銀製品が売れるのは、銀そのものが取引価格のついた金属だからです。銀は金・白金(プラチナ)とならぶ貴金属のひとつで、ほかにパラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、オスミウムを含めた計8種類が貴金属とされています。

参考:「貴金属って他の金属と何が違うの?」|田中貴金属

銀製品の評価は、次の2つの要素に分けられます。

1つ目は、素材としての価値(地金価値)です。 製品に含まれている銀の量に、そのときの銀相場をかけたものが基礎になります。傷んでいても、変色していても、デザインが古くても、銀そのものは残っているため、この部分の価値は失われません。銀製品が「壊れていても売れることがある」と言われるのは、この仕組みによるものです。

2つ目は、製品としての価値です。 ブランドのアクセサリーや、作家がつくった銀器、意匠に価値のある品などは、地金価値とは別に評価されることがあります。この部分は需要によって決まるため、状態やデザイン、付属品の有無が関わってきます。

手元のシルバーがどちらの評価になりやすいかは、品物によって異なります。ノーブランドのアクセサリーや銀の食器類は地金としての評価が中心になりやすく、ブランド品や作家ものは製品としての評価が加わることがあります。まずはこの2つを分けて考えるところから始めると、判断しやすくなります。

銀相場と買取価格の関係

地金としての価値は、銀相場によって変わります。銀相場は国際的な取引や為替の影響を受けて日々動くため、同じ品物でも売る時期によって金額が変わります。

田中貴金属工業が公表している貴金属価格を見てみます。2026年8月6日17時公表の店頭価格は、次のとおりです。

貴金属 店頭小売価格(税込・1gあたり) 店頭買取価格(税込・1gあたり)
24,042円 23,493円
プラチナ 9,980円 9,431円
361.57円 328.57円

参考:「貴金属価格情報」|田中貴金属工業

この表からわかることが、いくつかあります。

ひとつは、銀は金と比べると1グラムあたりの単価がかなり低いということです。金の買取価格が1グラムあたり23,493円なのに対し、銀は328.57円です。同じ重さであれば、銀の地金価値は金より大きく下回ります。銀製品を売る場合、ある程度の重さがまとまらないと金額が伸びにくいのは、このためです。

もうひとつは、小売価格と買取価格に差があることです。これはどの貴金属でも同じで、取引にかかるコストが反映されたものです。

なお、この価格はあくまで田中貴金属工業が公表している地金の店頭価格であり、買取店で銀製品を売却したときの金額とは異なります。買取店の価格は、製品の純度、加工の手間、店舗ごとの方針などによって決まります。地金価格は、あくまで水準を知るための目安として見ておくとよいでしょう。

また、価格は毎営業日更新されます。「今日いくらか」を知りたいときは、その時点の公表値を確認するのが確実です。

刻印と純度|SV925・SV1000などの表記

銀製品の純度は、多くの場合、製品のどこかに刻印されています。ネックレスの留め具の近く、リングの内側、食器の裏面などを見ると、小さな数字が打たれていることがあります。

一般的に見られる表記には、次のようなものがあります。

  • 925 / SV925 / STERLING … 銀の含有率が92.5%であることを示す表記。スターリングシルバーと呼ばれます
  • 1000 / SV1000 / SILVER1000 … 純銀に近い水準であることを示す表記
  • 950 / SV950 … 銀の含有率が95%であることを示す表記
  • 800 / SV800 … 銀の含有率が80%であることを示す表記

造幣局は、貴金属製品の品位について、千分率で表す数字を用いると説明しています。銀に「925」とあれば、銀の品位が92.5%であることを意味します。

参考:「貴金属製品の品位区分と証明記号」|造幣局

銀が925という中途半端に見える数字で使われることが多いのは、純度の高い銀が柔らかく、そのままでは食器やアクセサリーとして実用に耐えにくいためです。残りの7.5%に銅などを加えることで、強度を確保しています。

注意したいのは、刻印があるからといって、それが公的に証明されたものとは限らないという点です。製造業者が自社の判断で打った刻印もあれば、次に説明する造幣局の品位証明を受けたものもあります。この2つは別のものです。

造幣局のホールマーク(貴金属製品の品位証明)とは

日本には、貴金属製品の純度を公的な第三者が証明する制度があります。造幣局が行っている「貴金属製品の品位証明」です。

造幣局は、公的な第三者として、貴金属製品の製造または販売をしている事業者からの依頼に応じて品位試験を行い、合格したものには証明記号を打刻して品位を証明しています。この証明記号が、通称「ホールマーク」と呼ばれるものです。

参考:「貴金属製品の品位証明」|造幣局

ホールマークについて、押さえておきたいポイントは3つあります。

1つ目は、任意の制度であることです。 造幣局は「このマークは任意の制度として設けられています。そのため、市販されている貴金属製品にはマークのない製品もあります」と説明しています。つまり、ホールマークがないから偽物、ということにはなりません。

2つ目は、デザインの意味です。 ホールマークは、日本の造幣局の証明であることを示す日の丸と、千分率で品位を表すひし形の中の数字などで構成されています。銀にひし形の「925」があれば、銀の品位が92.5%であることを示します。

3つ目は、品位区分の数です。 造幣局は、白金製品は4区分、金製品は6区分、銀製品は5区分、白金及び金を接合した製品は5区分で品位証明を行っています。

参考:「貴金属製品の品位区分と証明記号」|造幣局

なお、造幣局は2012年(平成24年)4月から、国際標準規格(ISO 9202)および日本工業規格(JIS H6309)に準拠した表示方法に変更しています。変更の理由は、貴金属製品の国際取引での信頼性向上と、消費者にとってわかりやすくするためとされています。この変更にあたって、銀の「835」「625」「500」の品位区分は廃止されました。ただし造幣局は、これらのホールマークが入った製品についても、平成24年4月以降も品位が証明されたものとして扱ってよいとしています。

参考:「造幣局のホールマークの品位表示の変更について」|造幣局

古い銀器に見慣れない数字が打たれている場合、こうした過去の区分にあたることがあります。数字が今の表記と違っていても、それだけで価値がないということにはなりません。

地金として売れるもの/製品として評価されるもの【比較表】

銀製品を大きく分けて整理します。

地金としての評価が中心になりやすいもの 製品としての評価が加わりやすいもの
具体例 ノーブランドのアクセサリー、銀のカトラリー・食器、インゴット、銀メダル、切れたチェーンなど ブランドのシルバーアクセサリー、作家・工房の銀器、記念銀貨など
評価の中心 含まれている銀の量と純度、そのときの銀相場 デザイン、ブランド、作者、状態、付属品、需要
状態の影響 変色や傷があっても地金価値は残る 状態が評価に大きく関わる
相場との連動 銀相場に連動して変動する 地金価値を上回る評価がつくことがある

このうち記念銀貨については、造幣局が仕様を公表しています。たとえば記念貨幣として発行されている千円銀貨幣は、品位が純銀、量目31.1グラムと定められています。額面は1,000円ですが、純銀31.1グラム分の地金価値を計算すると、銀相場によっては額面を上回る水準になります。

参考:「記念貨幣一覧」|造幣局

このように、同じ「銀」でも、地金として見るのか製品として見るのかで評価の考え方が変わります。手元の品物がどちらに近いかを分けておくと、どこに相談すべきかも判断しやすくなります。ノーブランドの銀器やアクセサリーは貴金属を扱う買取店、ブランド品はブランド買取に対応した店、記念銀貨は古銭・コインを扱う店、といった具合です。

値が付きにくいケース|銀メッキ・洋白など

「シルバーに見えるのに値が付かない」というケースもあります。代表的なものを整理します。

銀メッキ製品

表面に薄く銀をかぶせただけの製品です。刻印に「SILVER PLATED」「EP」「EPNS」などの表記があるものがこれにあたります。含まれている銀の量がごくわずかなため、地金としての評価にはつながりにくいのが実情です。贈答品の銀食器には、この銀メッキのものが少なくありません。

洋白(ニッケルシルバー)

銅・ニッケル・亜鉛の合金で、名前に「シルバー」と付きますが銀は含まれていません。「NS」「ニッケルシルバー」といった表記が見られます。

極端に軽いもの・小さいもの

銀は1グラムあたりの単価が金と比べて低いため、重さがないと金額になりにくい傾向があります。細いチェーン1本では、地金価値としてはごくわずかにとどまります。まとめて査定に出したほうが、結果として扱いやすくなります。

石やほかの素材が多く含まれるもの

宝石やガラス、樹脂などが組み合わされている製品では、銀の部分の重さだけが地金として評価されます。全体の重さがそのまま銀の重さになるわけではありません。

いずれの場合も、自分で判断がつかないときは、そのまま査定に出して見てもらうのが確実です。刻印が読み取れないほど摩耗していることもあり、専門的な検査でなければ純度がわからない品もあります。

売る前に知っておきたいこと|手入れ・本人確認・税金

無理に磨かない

銀は空気中の硫黄分と反応して黒く変色します。見た目が気になっても、研磨剤で強くこすると表面に傷が入り、製品としての評価を下げることがあります。とくにブランド品や作家ものは、そのままの状態で見てもらうほうが無難です。地金として評価されるものについては、変色は評価に影響しません。

本人確認書類を用意する

買取店で売却する際は、本人確認書類の提示が必要です。古物商には、古物を買い受ける際に相手方の住所、氏名、職業、年齢を確認する義務があります。

参考:「非対面取引における確認の方法」|警視庁

金額によっては税金が関わる

貴金属の地金を売却して利益が出た場合、原則として総合課税の譲渡所得として扱われます。国税庁は、金地金の譲渡による所得について、その年のほかの総合課税の譲渡益と合わせて、譲渡所得の特別控除50万円を差し引いて計算すると説明しています。所有期間が5年を超える場合は、譲渡所得の金額が2分の1になります。

また、金地金等の売買を業として行う者が、200万円を超える対価を支払う場合には、税務署に支払調書を提出することが義務づけられています。

参考:「No.3161 金地金の譲渡による所得」|国税庁

個人が使っていたアクセサリー数点を売却する程度であれば、利益が特別控除の範囲に収まることが多いと考えられます。ただし、まとまった量の地金を売却する場合は、事前に確認しておくと安心です。【YMYL:要監修】

複数の店で比べる

銀製品の買取価格には、公的に定められた基準がありません。同じ品物でも、店舗によって金額が異なることがあります。複数のところで見てもらってから判断すると、納得して進めやすくなります。

よくある質問

シルバーのアクセサリーは売れますか。

銀が含まれていれば、地金としての評価につながる可能性があります。ただし銀は1グラムあたりの単価が金と比べて低く(2026年8月6日時点の店頭買取価格で328.57円)、細いチェーン1本などでは金額が伸びにくいのが実情です。まとめて査定に出すと扱いやすくなります。

刻印がない銀製品は売れませんか。

刻印がなくても、査定を受けることはできます。造幣局の品位証明(ホールマーク)は任意の制度であり、市販されている貴金属製品にはマークのない製品もあると説明されています。刻印が摩耗して読めない場合も、専門的な検査で純度を確かめられることがあります。

黒く変色しているのですが、磨いてから売ったほうがよいですか。

無理に磨かないほうが無難です。研磨剤で強くこすると表面に傷が入り、製品としての評価を下げることがあります。地金として評価されるものについては、変色は金額に影響しません。

SV925とSV1000ではどちらが高く売れますか。

同じ重さであれば、含まれている銀の量が多いSV1000のほうが地金価値は高くなります。ただし実際の買取価格は、純度だけでなく重量、製品としての価値、そのときの銀相場によって決まります。

銀食器はどこで売ればよいですか。

品物によって適した売り先が変わります。ノーブランドの銀のカトラリーや食器は貴金属を扱う買取店、ブランドや作家がわかるものはブランド・骨董に対応した店が向いています。なお「SILVER PLATED」などの表記がある銀メッキ製品は、含まれる銀の量がごくわずかなため、地金としての評価にはつながりにくい点に注意が必要です。

まとめ

シルバーが売れるのは、銀そのものが取引価格のついた貴金属だからです。評価は、含まれている銀の量と相場から決まる地金価値と、ブランドやデザインによる製品価値の2つに分けて考えると整理しやすくなります。

純度は「925」「1000」などの刻印で示され、造幣局は千分率で品位を表す方式を説明しています。造幣局が行う貴金属製品の品位証明(ホールマーク)は、日の丸とひし形の中の数字で構成され、銀製品は5区分で証明が行われています。ただしこれは任意の制度であり、マークがないことが問題を意味するわけではありません。

銀の地金価格は日々変動します。2026年8月6日時点で、田中貴金属工業が公表している銀の店頭買取価格は1グラムあたり328.57円でした。金と比べると単価が低いため、ある程度の重さがまとまらないと金額が伸びにくい点は、あらかじめ知っておくとよいでしょう。

売る前は、無理に磨かないこと、本人確認書類を用意すること、まとまった額になる場合は税金の扱いを確認しておくことがポイントです。そのうえで複数の店舗で比べると、納得のいく判断につながります。