モナリザ金貨とは|種類の見分け方と手放す前の確認手順
引き出しの奥から、モナリザが刻まれた金色のコインが出てくることがあります。ただ、調べても発行元がはっきりせず、扱いに困る方も多いようです。そこでこの記事では、モナリザ金貨と呼ばれる品にどのような種類があるのかを整理します。手元の一枚を自分で確かめる手順と、手放す前に押さえておきたい点もまとめます。
モナリザ金貨とは|呼び名が指す範囲を整理します
「モナリザ金貨」は、どこかの国が定めた正式な貨幣名ではありません。モナリザの図像を用いた金色の円形の品を、まとめてそう呼んでいる通称です。
この呼び方でくくられるものには、性格の異なる品が混ざっています。国が通貨として発行した記念金貨がひとつ。民間の企業や団体が製造した記念メダルがもうひとつです。さらに、コインやメダルに枠を付けてペンダントに加工した製品も流通しています。
見た目は似ていても、法律上の位置づけと評価の物差しは別物です。額面が刻まれ、発行国が公告を出しているものは通貨として扱われます。民間のメダルは通貨ではなく、金属製品として評価されるのが一般的です。
したがって最初にやるべきことは、手元の品がどの種類にあたるかの切り分けになります。金貨の価値一覧で純度や量目から価値が決まる仕組みを押さえておくと、切り分けの精度が上がります。この作業を飛ばして相場だけを追いかけても、確かな答えは出ません。
なお本記事では、特定の品の発行年・発行枚数・品位・重量といった数値を扱いません。理由は後の見出しで説明します。
モナリザという作品の基礎知識
図案のもとになった作品そのものを押さえておくと、刻印を読み解くときに役立ちます。
ルーヴル美術館が公開しているコレクションのデータベースによると、この絵の正式な名称は「Portrait de Lisa Gherardini, épouse de Francesco del Giocondo, dit La Joconde ou Monna Lisa」です。日本語にすると「フランチェスコ・デル・ジョコンドの妻リザ・ゲラルディーニの肖像、通称ラ・ジョコンドまたはモナ・リザ」という意味になります。
制作時期は1503年から1519年、つまり16世紀の第1四半期です。作者はレオナルド・ダ・ヴィンチとされ、所蔵は絵画部門にあたります。管理番号はINV 779およびMR 316です。
参考:Portrait de Lisa Gherardini, dit La Joconde|Musée du Louvre
ルーヴル美術館の館内案内では、この作品はサル・デ・ゼタと呼ばれる展示室に置かれています。館内でも特に来館者の集まる場所です。
この作品が図案に選ばれやすい理由は、知名度の高さにあります。顔の向きや背景の構図が広く共有されているため、小さな円形の面に彫っても何が描かれているか伝わります。記念性を持たせやすい題材といえるでしょう。
その分だけ、同じ図案を使った品が複数の作り手から出回っています。モナリザが刻まれているという理由だけで、同じ種類の品だと考えないほうが安全です。
ここで押さえておきたいのは、作品名の表記が言語によって変わる点です。「LA JOCONDE」と刻まれていればフランス語、「MONA LISA」であれば英語やイタリア語の系統になります。刻印の言語は、発行元を推測する手がかりのひとつになるでしょう。
発行枚数や品位を本記事に書かない理由と、確認する手順
記念貨幣の仕様は、発行国の官報や中央銀行、造幣機関の公表資料によって確定します。逆にいえば、それ以外の情報源に書かれた数値は、根拠をたどれない限り確認済みとはいえません。
今回、モナリザを図案とする金貨について、発行国の公的機関が公開している資料から仕様を確認することができませんでした。そのため、発行年・発行枚数・品位・重量といった数値はこの記事に記載していません。
代わりに、読者ご自身で確認していただく手順を示します。順を追って進めてください。
1つ目は、刻印を丁寧に読み取る作業です。国名・通貨単位・額面の数字・西暦の年号が入っていないかを確認します。ルーペがあると読み取りやすくなります。
2つ目は、発行元への確認です。国名が読み取れたなら、その国の造幣機関や中央銀行の公表資料をたどってください。官報に相当する公報で仕様が定められている国もあります。
3つ目は実測になります。デジタルスケールで重量を、ノギスで直径と厚みを測っておきましょう。付属書類の記載と実測値が食い違う場合は、扱いを慎重にしてください。
4つ目として、複数の買取事業者に実物を見てもらう方法があります。書類だけでは分からない部分を、実際に手に取れる人に確認してもらう形です。
数値の裏が取れないまま売買の判断をすると、後で認識のずれが生じかねません。確認できた事実と、そうでない情報は分けて考えてください。
通貨として発行されたコインか、記念メダルかを見分ける
切り分けの目安を表に整理します。すべての品に当てはまるわけではありませんが、判断の入り口として使えます。
| 確認する項目 | 通貨として発行されたコイン | 民間発行の記念メダル |
|---|---|---|
| 額面の表示 | 通貨単位と数字が刻まれている | 額面がない、または純度表記のみ |
| 発行主体 | 発行国の政府・中央銀行など | 企業・団体・販売会社 |
| 国名の表記 | 発行国の国名が刻まれている | 国名がない場合が多い |
| 公的な公表資料 | 官報や造幣機関の資料に仕様がある | 公表資料は存在しない |
| 付属する書類 | 発行機関の名で仕様が示される | 販売元が発行した証明書 |
額面の有無がもっとも分かりやすい手がかりです。表面か裏面に通貨単位と数字が並んでいれば、通貨として発行された可能性を検討してください。
反対に、額面がなく純度表記だけであれば、メダルや装飾品として作られた品と考えられます。どちらであっても価値がないという意味ではありません。評価の基準が変わるだけです。
ペンダント加工されている場合は、枠を外さないでください。枠を外す作業で本体に傷が付くことがあり、元には戻せません。加工されたままの状態で相談するほうが安全です。
金の純度をどう確かめるか|刻印と造幣局のホールマーク
金製品では、純度の確認が価値の判断に直結します。ここで基準になるのが、造幣局が行っている品位証明の制度です。
造幣局は、公的な第三者として、貴金属製品の製造や販売をしている事業者からの依頼に応じて品位試験を行っています。合格したものには証明記号が打刻され、これが通称「ホールマーク」と呼ばれます。
デザインは、日本の国旗と、ひし形の中に千分率で純度を示す数字を組み合わせたものです。任意の制度であるため、市販の貴金属製品にマークがないことも多くあります。
見落とされやすいのは、K18やPt900といった刻印が造幣局の証明記号ではないという点です。造幣局はカラット表示の刻印を行っていません。
造幣局が公表している金製品の品位証明区分と、カラット表示の対応は次のとおりです。
| 造幣局の品位証明区分(千分率) | カラット表示 |
|---|---|
| 999 | K24 |
| 916 | K22 |
| 750 | K18 |
| 585 | K14 |
| 416 | K10 |
| 375 | K9 |
海外で製造された品に日本の造幣局のホールマークが入っていることは、基本的にありません。金の刻印がないときの見分け方でも触れているとおり、刻印だけで純度を確定させることは難しく、実測や専門的な検査と組み合わせる必要があります。
24金メッキと純金の違いのように、表面が金色でも内部が別の金属という製品もあります。重量と直径から求めた密度が金の値と大きく離れている場合は、めっきや金張りの可能性を検討してください。
日本国内での扱いと、日本の記念金貨との違い
日本の記念貨幣については、財務省が明快に説明しています。記念貨幣は「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」において貨幣と定められているため、すべて通常の貨幣と同じように使えます。
素材や大きさが通常の貨幣と異なるため、自動販売機では使えないことがあります。使いたい場合は、金融機関の窓口で通常の貨幣と引き換える形になります。
参考:過去に発行された記念貨幣は、現在でもお金として使えますか|財務省
一方、外国が発行した記念金貨は、その国の通貨制度のもとで通用するものです。日本国内の店舗で額面のまま支払いに使えるわけではありません。収集を前提に作られるプルーフ金貨と地金型金貨の違いも知っておくと、種類の整理がしやすくなります。
日本の記念貨幣にあたるかどうかを調べたいときは、財務省と造幣局が公開している一覧が使えます。ここに掲載されていなければ、日本が発行した記念貨幣ではないと判断できます。
参考:記念貨幣一覧|財務省
参考:記念貨幣一覧|造幣局
売却を検討するときの準備と税金
手放すと決めたら、先に用意しておくものがあります。
まず本人確認書類です。犯罪による収益の移転防止に関する法律により、古物である貴金属等の売買を行う古物商は特定事業者として、本人特定事項の確認義務や疑わしい取引の届出義務を負っています。
次に、付属品をそろえてください。ケース・証明書・外箱・購入時の書類は、いずれも判断材料になります。
そのうえで、磨いたり洗ったりしないでください。古銭の洗浄を避けたほうがよい理由と同じく、表面の傷は元に戻せず、評価を下げる原因になり得ます。
税金についても確認しておきましょう。貴金属や宝石、書画骨とうなどのうち1個または1組の価額が30万円を超えるものは、生活用動産の非課税から除かれます。これらを譲渡した所得は譲渡所得の課税対象です。
参考:No.3105 譲渡所得の対象となる資産と課税方法|国税庁
金地金を売ったときの所得は、原則として譲渡所得となり、他の所得と合わせて総合課税の対象になります。所有期間が5年を超える場合は長期譲渡所得として扱われ、譲渡益から特別控除50万円を差し引いた金額の2分の1が課税対象です。
取り扱いは、その品が貨幣なのか金地金なのか、あるいは骨とう品なのかによって変わります。金額が大きくなりそうであれば、事前に税務署や税理士へ相談しておくと安心でしょう。
取得したときの価格が分かる書類が残っていれば、譲渡所得の計算で取得費として使えます。相続で受け継いだ品なら、被相続人が取得したときの資料をたどれるかどうかが鍵になります。処分を急ぐ前に、家のなかを一度探してみてください。
保管についても触れておきます。金は変質しにくい金属ですが、表面の傷は避けられません。硬貨やアクセサリーと同じ袋にまとめて入れると、こすれて細かい傷が付きます。1点ずつ分けて保管するほうが状態を保てます。
湿気の多い場所も向きません。ケースの内側に湿気がこもると、付属の紙資料が傷んでしまいます。書類は本体と分けて、乾いた場所に置いておくとよいでしょう。
よくある質問
モナリザ金貨は日本の店で使えますか
外国が発行した記念金貨であれば、日本国内で額面のまま支払いに使えるものではありません。日本で貨幣として通用するのは、日本の法律に基づいて発行された貨幣と日本銀行券です。
額面がないものは価値がないのですか
そうとは限りません。額面がなければ通貨ではありませんが、金属としての価値や、製品としての需要は別に存在します。純度と重量、状態が評価の軸になります。
発行枚数はどこで調べればよいですか
刻まれている国名を手がかりに、その国の造幣機関や中央銀行の公表資料をたどってください。公表資料が見つからない場合、発行枚数は確定していないものとして扱うのが安全です。
ペンダントの枠は外したほうがよいですか
外さないでください。枠を外す作業で本体に傷が付くことがあり、元には戻せません。加工されたままの状態で相談したほうが、判断材料が多く残ります。
汚れているので磨いてから持ち込みたいのですが
磨かないでください。表面には製造時の仕上げが残っており、研磨するとその状態が失われます。汚れて見えても、そのまま持ち込むほうが無難です。
まとめ
モナリザ金貨と呼ばれる品には、通貨として発行された記念金貨・民間の記念メダル・ペンダント加工品が混在しています。まずは額面と国名の刻印を確認し、どれにあたるのかを切り分けてください。発行枚数や純度は、公的な資料で裏が取れる範囲だけを判断材料にするのが安全です。当社では刻印と付属書類の両方を拝見したうえで判断していますので、磨かず、加工も外さない状態でご相談ください。