お札の番号「記番号」の仕組み|アルファベットと数字・色の意味を解説
お札の表面には、アルファベットと数字を組み合わせた番号が印刷されています。手元のお札を見比べて、桁数が違ったり色が違ったりすることに気づいた方もいるのではないでしょうか。この番号は「記番号」と呼ばれ、印刷される文字も数字の範囲も決まった仕組みで振られています。この記事では、記番号の構成や使われない文字、色が変わる理由を、国立印刷局と日本銀行の公表資料に沿って整理します。
お札の番号は「記番号」と呼ばれる
お札の表面にあるアルファベットと数字の組み合わせは、正式には「記番号(きばんごう)」といいます。国立印刷局は記番号を「お札の背番号のようなもの」と説明しており、同じ種類のお札には、すべて違う記番号が印刷されています。
つまり記番号は、1枚1枚を区別するための固有の番号です。製造や流通の管理に使われるほか、番号の並びが珍しいお札が収集の対象になることもあります。
なお、昔のお札には通し番号を省略し、数字記号だけを印刷したものがありました。国立印刷局によれば、同じ数字記号のお札が500万枚存在するケースもあり、同じ番号のお札が複数見つかること自体は珍しくなかったとされています。手元の古いお札で番号が重複していても、それだけで偽造を疑う根拠にはなりません。
記番号の構成|アルファベットと数字の並び方
記番号は「アルファベット+6桁の数字+アルファベット」という形をとります。前後に置かれるアルファベットの文字数は、時代とともに増えてきました。
国立印刷局によると、最初は「アルファベット1文字+6桁の数字+アルファベット1文字」でした。発行量が増えて組み合わせを使い切ったため、「アルファベット2文字+6桁の数字+アルファベット1文字」へと桁を増やしています。
そして2024年7月3日に発行が始まった現在のお札(F券)では、頭と末尾にそれぞれアルファベット2文字を置く「AA123456BB」型となり、記番号は10桁になりました。日本銀行は、それ以外の現行銀行券については、頭に1〜2文字、末尾に1文字のアルファベットが使われていると説明しています。
参考:「お札に印刷されているアルファベットと数字は何ですか?」|日本銀行
| 記番号の形式 | 例 | 使われ方 |
|---|---|---|
| アルファベット1文字+数字6桁+アルファベット1文字 | A123456B | もっとも古い形式。組み合わせを使い切って次の形式へ移行 |
| アルファベット2文字+数字6桁+アルファベット1文字 | AB123456C | 2024年より前の券種で広く使われている形式 |
| アルファベット2文字+数字6桁+アルファベット2文字 | AA123456BB | 2024年7月発行開始のF券で採用された10桁の形式 |
形式が変わったのは、デザインの都合ではなく、番号を使い切ったことへの対応です。記番号は無限にあるわけではなく、決まった範囲のなかで振られている、という点が出発点になります。
記番号に使われない文字と数字の範囲
記番号には、アルファベット26文字のうち「I(アイ)」と「O(オー)」が使われません。数字の「1」や「0」と紛らわしいためです。結果として、使えるのは24文字ということになります。
数字の部分も、000001から900000までしか使いません。000000から999999までのすべてを使うわけではないため、6桁の数字は90万通りです。
この前提で組み合わせを数えると、F券の記番号は「24文字×24文字×90万通り×24文字×24文字」となります。日本銀行は、この組み合わせにより記番号は2,985億9,840万枚で一巡すると説明しています。
参考:「お札に印刷されているアルファベットと数字は何ですか?」|日本銀行
数字が900000で止まることは、番号を眺めるうえで見落とされやすい点です。たとえば999999という記番号は、この仕様のもとでは存在しません。手元のお札の番号が珍しいかどうかを考えるときは、まずこの「使われない範囲」を押さえておくと判断を誤りにくくなります。
記番号の色が変わる理由
同じ券種のお札でも、記番号の色が違うことがあります。国立印刷局は、色が違う理由を2つ挙げています。ひとつは記番号の組み合わせをすべて使い切ったため、もうひとつは部分改刷による仕様変更のためです。
日本銀行も、2004年発行開始のお札は当初は黒色で記番号を印刷していたが、記番号が一巡したため色を変えたと説明しています。そのうえで、アルファベットと数字の色が他と異なっていても、ただちに偽札であるということではない、と明記しています。
色の変遷がもっとも細かく記録されているのが千円券です。日本銀行が公表している「現在有効な銀行券」の資料では、券種ごとに記番号の色と発行開始日が示されています。
| 千円券(肖像) | 記番号の色 | 発行開始日 |
|---|---|---|
| 伊藤博文 | 黒色 | 1963(昭和38)年11月1日 |
| 伊藤博文 | 青色 | 1976(昭和51)年7月1日 |
| 夏目漱石 | 黒色 | 1984(昭和59)年11月1日 |
| 夏目漱石 | 青色 | 1990(平成2)年11月1日 |
| 夏目漱石 | 褐色 | 1993(平成5)年12月1日 |
| 夏目漱石 | 暗緑色 | 2000(平成12)年4月3日 |
| 野口英世 | 黒色 | 2004(平成16)年11月1日 |
| 野口英世 | 褐色 | 2011(平成23)年7月19日 |
| 野口英世 | 紺色 | 2019(平成31)年3月18日 |
| 北里柴三郎 | 黒色 | 2024(令和6)年7月3日 |
2019年3月18日からの紺色への変更について、日本銀行は褐色の記号・番号の組み合わせがすべて使用されることになったためと発表しており、あわせて、流通している千円券は従来どおり使用できると案内しています。
参考:「日本銀行券千円券の記号・番号の印刷色変更」|日本銀行
色は、そのお札がいつ製造された流れに属するかの手がかりになります。黒色は各券種の初期、そのあとに別の色が続くという順序で理解しておくと整理しやすくなります。
記番号はいつ・どこで印刷されるのか
記番号は、お札のデザインとは別の工程で印刷されます。国立印刷局が公開している製造工程の説明では、表裏の模様を検査したうえで、表面の印章と記番号を印刷するとされています。
その後、断裁機で決められたサイズに切り分け、断裁されたお札を機械で1枚ずつ検査し、枚数確認と帯かけを行って1000枚ずつの束に仕上げる、という流れです。
図柄が先で、記番号は後から加えられます。同じ図柄のお札に1枚ずつ異なる番号を割り当てるためには、この順序である必要があります。記番号の位置が券種によって微妙に違うのも、この独立した工程で刷られているためです。
記番号が注目されるのはなぜか
記番号は本来、管理のための番号です。それでも注目されるのは、数字の並びに偏りが生まれるからです。数字が000001から900000までと決まっているため、そろった並びや切りのよい番号は、出てくる割合が限られます。
収集の場で話題になりやすいのは、次のような並びです。
| 呼び方 | 記番号の例 | 特徴 |
|---|---|---|
| ゾロ目 | 777777 | 6桁がすべて同じ数字 |
| キリ番 | 100000・900000 | 末尾が0で切りがよい |
| 階段 | 123456・654321 | 数字が順に並ぶ |
| サンドイッチ | 100001 | 前後が同じ数字で中が同一 |
| 若番 | 000001など | 数字が小さい |
| 連番 | 続き番号の複数枚 | 番号が連続した状態でそろっている |
これらは収集家の間で使われている呼び方であり、公的機関が価値づけをしているものではありません。額面を超える金額で取引されることはありますが、券種や状態、そのときの需要によって評価は変わります。並びが珍しいというだけで、必ず高い評価になるわけではない点は押さえておきたいところです。
なお、ゾロ目の細かい価値の考え方については別記事で扱っています。この記事では、記番号そのものの仕組みに絞って整理しています。
記番号を確認するときに気をつけたいこと
記番号を見るときに、誤解しやすい点がいくつかあります。
まず、色が違っていても偽札ではありません。日本銀行が明記しているとおり、記番号の色の違いは組み合わせを使い切ったことなどによるものです。ただし、お札そのものに不審な点がある場合は、最寄りの警察または日本銀行の本店もしくは支店へ届けるよう案内されています。
次に、特定の記番号を狙って手に入れることはできません。日本銀行は、記番号順に支払うといった取扱いは行っていないため、特定の記番号の銀行券を入手することはできないとしています。
参考:「新券発行開始後の引換えに関する留意事項について」|日本銀行
また、珍しい番号かもしれないと思っても、お札に書き込みをしたり、テープで補強したりするのは避けたほうが無難です。紙幣は状態が評価に影響するため、折り目やシワが増えないよう、そのままの形で保管しておくのが基本になります。価値が気になる場合は、古紙幣を扱う専門店に現物を見てもらうと判断しやすくなります。
よくある質問
お札の番号は何と呼びますか
「記番号」といいます。アルファベットと数字を組み合わせたもので、同じ種類のお札にはすべて違う記番号が印刷されています。国立印刷局は、お札の背番号のようなものと説明しています。
記番号にIとOが使われないのはなぜですか
数字の「1」や「0」と紛らわしいためです。アルファベット26文字のうちIとOを除いた24文字が使われます。
記番号の数字が999999のお札はありますか
数字は000001から900000までしか使われないため、900001以降の番号は存在しません。999999という記番号も同様です。
記番号の色が周りのお札と違います。偽札でしょうか
色が異なっていても、ただちに偽札ということではありません。日本銀行は、記番号が一巡したことなどにより色を変えていると説明しています。不審な点がある場合は警察または日本銀行に届けてください。
記番号は全部で何通りありますか
2024年7月発行開始のF券は「24文字×24文字×90万通り×24文字×24文字」の組み合わせで、日本銀行によると2,985億9,840万枚で一巡します。それ以前の券種は、頭のアルファベットが1〜2文字、末尾が1文字のため、組み合わせの数は異なります。
まとめ
お札の番号は「記番号」と呼ばれ、アルファベットと6桁の数字の組み合わせで1枚ずつを区別しています。アルファベットはIとOを除く24文字、数字は000001から900000までと決まっており、組み合わせを使い切るたびに桁を増やしたり色を変えたりして対応してきました。
記番号の色が違っても偽札ではなく、発行された時期の手がかりになります。千円券のように、黒色から青色、褐色、暗緑色、紺色へと変わってきた記録が公表されている券種もあります。
並びが珍しい記番号は収集の対象になることがありますが、評価は券種や状態、需要によって変わります。手元のお札の番号が気になったら、まずは仕組みに照らして確認し、そのうえで専門店に相談してみるのがよいでしょう。