五百円札の価値|今も使えるのかと記番号の見分け方
岩倉具視が描かれた五百円札が出てきたとき、まず気になるのは「これは今も使えるのか」ではないでしょうか。結論から言えば使えます。そのうえで、額面を超える価値がつくかどうかは、券種と記番号、そして状態で判断することになります。この記事では日本銀行が公表している資料をもとに、五百円札の有効性、B号券とC号券の見分け方、記番号の読み方、額面を超える条件を順に整理します。
五百円札は今も有効な銀行券
日本銀行が公表している「現在有効な銀行券」の一覧に、岩倉具視の五百円券は2種類とも掲載されています。発行は終わっていますが、有効な銀行券として扱われています。
日本銀行によると、1885年(明治18年)の設立以来これまでに56種類の銀行券が発行され、そのうち25種類が現在も有効です。残る31種類は、過去3回の特別な措置によって通用力を失っています。3回の措置とは、1927年の関東大震災後の焼失兌換券の整理、1946年の新円切り替え、1953年の1円未満の小額通貨の整理を指します。
参考:「これまでに発行されたお札のうち、現在使えるお札はどれですか?」|日本銀行
岩倉具視の五百円券は、これらの措置の対象に含まれていません。そのため額面どおり500円として通用します。
しかも紙幣は硬貨と扱いが違います。日本銀行券は日本銀行法第46条第2項により無制限に通用すると定められており、枚数の上限がありません。硬貨(貨幣)が「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」第7条で同じ額面につき20枚までとされているのとは対照的です。五百円札が何枚あっても、支払いに使う枚数の法律上の制限はないことになります。
参考:「お金には使用できる枚数の制限があるのですか」|財務省
ただし現実には、自動販売機やATM、セルフレジは五百円札を読み取れないのが通常です。長く流通から離れているため、店頭で出しても受け取り側が判断に迷うこともあります。有効であることと、どこでもすんなり使えることは別だと考えておくのが実際的です。
B号券とC号券|寸法と発行時期で見分ける
岩倉具視の五百円札には2種類あります。日本銀行の一覧では、発行開始日と寸法で区別されています。
| 券種 | 肖像 | 寸法 | 発行開始日 | 発行停止日 |
|---|---|---|---|---|
| 五百円券(B号) | 岩倉具視 | 76×156mm | 昭和26年4月2日 | 昭和46年1月4日 |
| 五百円券(C号) | 岩倉具視 | 72×159mm | 昭和44年11月1日 | 平成6年4月1日 |
参考:「五百円券」|日本銀行
見分け方のポイントは寸法です。B号券は縦76mm・横156mmで、縦が長く横が短い。C号券は縦72mm・横159mmで、縦が短く横が長い。縦横の比率が逆転しています。定規で縦を測って76mmならB号、72mmならC号と判断できます。
発行期間も参考になります。B号券は昭和26年から昭和46年まで、C号券は昭和44年から平成6年まで発行されました。昭和44年から46年の約2年間は両方が並行して発行されていた時期にあたります。
先に発行されたB号券のほうが発行停止から時間が経っており、流通量として残っている数はC号券より少ないと考えられます。ただし日本銀行は券種ごとの現存枚数を公表していないため、どれだけ残っているかを数字で示すことはできません。
なお、五百円が紙幣から硬貨に置き換わったのは、昭和57年(1982年)に500円貨(白銅)の発行が始まったためです。硬貨が登場した後もC号券の発行はしばらく続き、平成6年4月1日に発行が停止されました。
記番号の見方|色と桁数から何がわかるか
記番号とは、お札に印刷されているアルファベットと数字の組み合わせです。五百円札の価値を見るときによく話題になる部分でもあります。
日本銀行は記番号について、頭と末尾にアルファベット、あいだにアラビア数字を組み合わせた構成だと説明しています。現在発行中の銀行券のうち令和6年発行分は、頭2文字・数字6桁・末尾2文字で、使われるアルファベットはIとOを除く24文字です。それ以前の券種は、頭に1〜2文字、末尾に1文字という構成になっています。
参考:「お札に印刷されているアルファベットと数字は何ですか?」|日本銀行
つまり記番号の頭が1文字なのか2文字なのかで、印刷された時期のおおよその前後関係がわかります。番号を使い切ると次の組み合わせへ進むため、頭が1文字のものは早い時期、2文字のものは後の時期に印刷されたという関係になります。
色についても日本銀行の説明があります。記番号の組み合わせが一巡したときに、インクの色を変えて次の一巡に入る運用がとられています。色が違っても偽札ではなく、印刷された時期の違いを示すものです。
五百円札についても、記番号が黒色のものと青色のものがあるとされ、青色は後の時期に印刷されたものと説明されることがあります。ただし日本銀行の「現在有効な銀行券」の一覧では、千円券(伊藤博文)については記番号が黒色・青色それぞれの発行開始日が明記されている一方、五百円券には記番号の色ごとの記載がありません。五百円札の黒色・青色の切り替え時期を公的資料で確認することはできませんでした。この記事では、色の違いが印刷時期の違いを示すという一般的な仕組みまでを述べるにとどめます。
額面の500円を超える価値がつく条件
五百円札が額面を超えて評価されるとしたら、次のような条件が関わってきます。買取価格は買取店や時期によって変わるため、以下は考え方の整理であり、金額を保証するものではありません。
未使用に近い状態であること。 折り目、汚れ、破れ、書き込みがなく、印刷の角が立っている状態は評価されやすくなります。逆に、財布に長く入っていた紙幣は折り目が固定され、評価が下がりやすくなります。
券種がB号券であること。 B号券は発行停止が昭和46年で、C号券より20年以上早く市場から消えています。相対的に見かける機会が少ない券種です。
記番号に特徴があること。 ゾロ目や連番、キリのよい数字、頭のアルファベットが1文字のものなど、記番号の並びに特徴があると収集の対象になることがあります。
印刷や裁断に通常と異なる点があること。 印刷のずれや裁断のずれがある紙幣は、通常の流通品とは別に扱われることがあります。ただし本物かどうかの判断が難しい領域でもあり、実物を扱う専門家の確認が前提になります。
まとまった枚数があること。 連番で複数枚残っている場合や、他の旧札とあわせて保管されている場合は、まとめて査定に出したほうが評価しやすいことがあります。
多くの五百円札が額面どおりにとどまる理由
一方で、手元の1枚が額面の500円前後にとどまることも珍しくありません。理由は3つあります。
1つ目は、有効な銀行券であることそのものです。誰にとっても500円として使えるため、価値の下限が額面に張り付きます。同時に、その500円という基準を超えるには、収集品としての需要という別の要素が必要になります。
2つ目は、C号券が平成6年まで発行され続けていたことです。硬貨への切り替え後も発行が続いたため、手元に残している人が多く、市場で見かける機会も比較的多い券種です。
3つ目は、状態の問題です。実際に使われていた紙幣には折り目や汚れが残ります。額面を超える評価は未使用に近い状態が前提になることが多く、日常的に流通していた1枚がその条件を満たすことは多くありません。
つまり五百円札は、「使えば確実に500円、売るなら状態次第」という性質の紙幣です。額面を大きく下回ることは通常ありませんが、大きく上回るのも簡単ではありません。
使う・引き換える・売る|3つの出口
手元の五百円札には3つの出口があります。
そのまま使う。 有効な銀行券なので支払いに使えます。ただし機械では扱えないため、有人のレジで出すことになります。相手が判断に迷う場面も想定しておいたほうがよいでしょう。
日本銀行で引き換える。 日本銀行は、発行が終わって流通に不便な銀行券について、本支店で現在発行されている銀行券と引き換えることができると案内しています。この場合は額面どおりの500円です。手元の紙幣が有効かどうか判断がつかないときも、日本銀行に問い合わせるのが確実です。
参考:「これまでに発行されたお札のうち、現在使えるお札はどれですか?」|日本銀行
買取に出す。 状態がよい、B号券である、記番号に特徴があるといった条件にあてはまるなら、査定を受けてみる価値があります。額面と査定額を比べたうえで、どの出口を選ぶか決めるのが確実です。
なお、五百円札全体の相場感や、硬貨への切り替えの経緯については昔の500円札の価値|今も使えるかと買取相場の目安でも整理しています。
価値を落とさない扱い方
査定に出す前提なら、手を加えないことが原則です。
洗わない・拭かない。 水や洗剤を使うと紙が波打ち、印刷のインクが落ちることがあります。汚れを取ろうとして評価を下げるのは避けたい失敗です。
折り目を伸ばさない。 アイロンをあてたり重しを乗せたりすると、繊維がつぶれて風合いが変わります。元の状態に戻るわけではありません。
破れをテープで補修しない。 粘着剤は時間が経つと変色し、紙に跡が残ります。破れがあってもそのまま出すほうが無難です。
直射日光と湿気を避ける。 日光は退色の原因になり、湿気はカビやシミにつながります。乾燥した冷暗所で、クリアポケットなどに入れて平らに保管するのが基本です。
真偽の判断は自分で完結させない。 日本銀行は五百円券(岩倉具視)の偽造防止技術として、すかし、細密画線、凹版印刷を挙げています。すかしの有無や、指で触れたときの盛り上がりは自分でも確かめられますが、最終的な判断は日本銀行や実物を扱う専門家に委ねるのが確実です。
参考:「銀行券の偽造防止技術について―一万円券(聖徳太子)・五千円券(聖徳太子)・千円券(伊藤博文)・五百円券(岩倉具視)―」|日本銀行
よくある質問
五百円札はコンビニやスーパーで使えますか
法律上は有効な銀行券なので使えます。ただし自動販売機やセルフレジ、ATMは対応していないのが通常で、有人のレジで出すことになります。受け取り側が判断に迷う場合もあるため、確実に額面で処理したいときは日本銀行の本支店で引き換えるのが確実です。
参考:「これまでに発行されたお札のうち、現在使えるお札はどれですか?」|日本銀行
B号券とC号券はどちらが価値がありますか
一般に、発行停止が早いB号券のほうが市場で見かける機会は少なくなります。ただし評価は状態や記番号によって変わるため、券種だけで決まるわけではありません。まず縦の寸法(76mmならB号、72mmならC号)で券種を確かめたうえで、状態を見るのが順序です。
記番号が青色だと価値が高いのですか
記番号の色は、番号の組み合わせが一巡したときに変更されるもので、印刷された時期の違いを示します。日本銀行は色が違っても偽札ではないと説明しています。ただし五百円券について、色ごとの発行開始日は日本銀行の一覧に記載がありません。色だけで価値の高低が決まると断定できる公的な根拠は確認できませんでした。
五百円札はいつまで発行されていましたか
B号券は昭和26年4月2日に発行が始まり昭和46年1月4日に発行停止、C号券は昭和44年11月1日に発行が始まり平成6年4月1日に発行停止となっています。500円貨(白銅)の発行開始は昭和57年で、硬貨が出た後もC号券の発行はしばらく続きました。
参考:「五百円券」|日本銀行
折り目や汚れがある五百円札はきれいにしてから売るべきですか
手を加えないほうが無難です。洗浄やアイロン、テープでの補修は、紙の状態を元に戻すものではなく、かえって評価を下げる要因になります。そのままの状態で査定に出してください。
まとめ
岩倉具視の五百円札は、日本銀行の「現在有効な銀行券」に掲載されている有効な紙幣です。日本銀行券は日本銀行法第46条第2項により無制限に通用するため、枚数の制限もありません。ただし機械では扱えないため、実際に使うなら有人のレジ、確実に額面で処理したいなら日本銀行の本支店での引換になります。
券種はB号券(76×156mm・昭和26年〜46年)とC号券(72×159mm・昭和44年〜平成6年)の2種類で、縦の寸法で見分けられます。記番号は、頭のアルファベットの文字数や色から印刷時期のおおよその前後関係がわかりますが、五百円券の色ごとの発行開始日は日本銀行の一覧には記載がありません。
額面の500円を超えて評価されるのは、未使用に近い状態であること、B号券であること、記番号に特徴があることなどが重なった場合です。買取価格は買取店や時期によって変わるため目安として捉え、洗浄や補修などの手を加えずに、そのままの状態で査定を受けるのが基本になります。