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イッタラとアラビアの違い|素材・成り立ち・現在の資本関係を公式情報で整理

イッタラ(iittala)とアラビア(Arabia)は、どちらもフィンランドを代表する食器ブランドです。店頭で並んで置かれていることも多く、「違いがよく分からない」「同じ会社なのか」と迷う方も少なくありません。結論から言えば、出発点となった素材も、創業の経緯も別々で、現在は同じフィスカースグループに属しています。この記事では、両ブランドの公式情報をもとに、違いと関係を整理します。

イッタラとアラビアは、現在どちらもフィスカースグループのブランド

まず現在の関係から押さえておきます。イッタラとアラビアは、いずれもフィンランドのフィスカースグループ(Fiskars Group)が展開するブランドです。

この関係ができたのは2007年です。フィスカースは同年、イッタラグループの買収を発表しました。当時のイッタラグループには、イッタラのほか、アラビア、ハックマン(Hackman)、ロールストランド(Rörstrand)、ホガナスケラミック(Höganäs Keramik)、ボダノヴァ(BodaNova)、ホイヤンポラリス(Høyang-Polaris)といったブランドが含まれていました。

参考:「Fiskars acquires Iittala Group」|Fiskars Group

つまりアラビアは、イッタラグループの一員としてフィスカースの傘下に入ったという経緯です。現在、フィスカースグループの公式サイトでは、イッタラとアラビアはそれぞれ独立したブランドとして紹介されています。

参考:「Iittala」|Fiskars Group

参考:「Arabia」|Fiskars Group

ヘルシンキには両ブランドを扱う「Iittala & Arabia Design Centre」があり、ツアーや講座、ワークショップが行われています。ブランドとしては別でありながら、同じグループの資産として一体的に紹介される場面もある、という関係です。

出発点が違う|ガラスの工場と、陶磁器の工場

両ブランドのいちばん大きな違いは、そもそも何を作る工場として始まったかです。

イッタラ|ガラス工場として1881年に創業

フィスカースグループの公式サイトによれば、イッタラは1881年、フィンランドのイッタラ村でガラス工場として創業しました。色ガラスと前衛的なデザインを切り開いてきたブランドとして紹介されています。

参考:「Iittala」|Fiskars Group

代表作としてよく挙げられるのが、アルヴァ・アアルトが1936年にデザインした「アアルトベース(Aalto vase)」です。1937年のパリ万国博覧会で初めて披露されたもので、当時のアートガラスとは異なる波打つ形が特徴とされています。

アラビア|1873年、ヘルシンキの陶磁器工場として

一方のアラビアは、1873年にヘルシンキで設立された陶磁器工場が起点です。フィスカースグループの公式サイトは、この工場がスウェーデンのロールストランドによって設立され、数十年のうちにフィンランドデザインの中核のひとつへ発展したと説明しています。

参考:「Our destinations」|Fiskars Group

現在のフィスカースグループの紹介でも、アラビアは「テーブルウェアと磁器の器」を手がけるブランドとして位置づけられています。

なお、陶器・磁器・ボーンチャイナといった素材そのものの区別については、当サイトの「陶器 磁器 ボーンチャイナ 違い」の記事で扱っています。素材の見分け方から知りたい場合はそちらを参照してください。

主な違いを表で整理する

ここまでの内容を、比較の形でまとめます。

項目 イッタラ(iittala) アラビア(Arabia)
起点となった年 1881年 1873年
創業地 フィンランド・イッタラ村 フィンランド・ヘルシンキ
出発点の素材 ガラス 陶磁器
設立の経緯 ガラス工場として創業 ロールストランドにより陶磁器工場として設立
現在の資本関係 フィスカースグループのブランド フィスカースグループのブランド
グループ入りの経緯 2007年にフィスカースがイッタラグループを買収 イッタラグループの一員として同時に傘下入り

「アラビアのほうが古い」「イッタラはガラスから始まった」という2点を押さえておけば、店頭でどちらのブランドかを取り違えることは少なくなります。

生産地の違い|イッタラ村の工場と、アラビアの委託生産

現在の作られ方にも違いがあります。ここは中古品を扱う際に関わってくる部分でもあるため、分けて見ておきます。

イッタラ|イッタラ村のガラス工場は現在も稼働

フィスカースグループの公式サイトによれば、イッタラのガラス工場は見学が可能で、職人がガラスを吹いてアアルトベースやバードシリーズを作る様子を見ることができるとされています。

参考:「Our destinations」|Fiskars Group

アラビア|ヘルシンキ工場での生産は移管された

アラビアについては、生産体制が変わっています。フィスカースは2015年9月9日付の発表で、ヘルシンキの陶磁器工場での製品製造を2016年中にフィンランド国外のパートナー網へ移管する計画を明らかにしました。同時に、製品開発、ポートフォリオ管理、デザインとブランドに関する意思決定は引き続きフィンランドで行うとしています。

参考:「Fiskars plans changes in the ceramics production in Finland」|Fiskars Group

現在のフィスカースグループの公式サイトでは、アラビアの製品は「主にタイとルーマニアにある、長期的な関係を築いた委託製造先」で作られていると説明されています。

参考:「Arabia」|Fiskars Group

つまり、フィンランド国内のアラビア工場で作られた製品には、製造時期の区切りがあるということです。ヘルシンキのアラビア工場跡地にはアラビア博物館が置かれ、陶磁器産業・デザイン・陶芸の観点から同ブランドの歩みを紹介しています。

参考:「Our destinations」|Fiskars Group

デザインの傾向と代表作

両ブランドの公式紹介からは、方向性の違いも読み取れます。

イッタラは「フィンランドデザインの先駆者として、現代の文化・アート・クラフトを称える」と自らを説明しており、ガラスの色を用いた表現を軸に据えています。アアルトベースのように、器そのものの形で個性を出す製品が代表例として挙げられています。

アラビアは、日常使いと祝いの席の両方に向けたテーブルウェアを手がけるブランドとして紹介され、「美しく、実用的で、長く使えるもの」という表現が使われています。代表的なコレクションとしては、ビルゲル・カイピアイネンがデザインした「パラティッシ(Paratiisi)」が挙げられており、大胆で色彩豊かな絵付けが特徴とされています。

参考:「Arabia」|Fiskars Group

ガラスの造形で見せるイッタラと、絵付けを含む器の表現で見せるアラビア、という整理は、公式の紹介文からも読み取れる傾向です。ただし両ブランドとも幅広いシリーズを展開しているため、あくまで大まかな傾向として捉えてください。

手元の器がどちらのブランドか確かめる方法

家にある器がどちらのものか分からない場合は、次の順で確認していくと整理しやすくなります。

確認する箇所 見るポイント
器の裏面(バックスタンプ) ブランド名の表示。デザイナー名やシリーズ名が併記されている場合もある
素材 ガラス製か、陶磁器(土もの・石もの)か
シリーズ名 箱や保証書、付属の紙類に記載が残っていることがある
付属品 化粧箱、ラベル、シールが残っているか

裏印(バックスタンプ)の読み方全般については、当サイトの「陶器 裏印 調べ方」の記事で詳しく扱っています。表示が薄くなっている場合の確認手順もそちらにまとめています。

なお、ブランド名の表示は年代によって書式が変わることがあります。裏印だけで製造時期を断定するのは難しいため、判断に迷う場合は写真を用意して専門の窓口に確認するのが確実です。

売却を考えるときに見られやすいポイント

イッタラやアラビアの器を手放す場合、査定で確認されやすいのは次のような点です。

  • シリーズ名:廃番になったシリーズかどうかで扱いが変わることがあります
  • 点数と組み合わせ:プレート、ボウル、マグなどが揃っているか
  • 状態:欠け、ひび、貫入、金彩のすり減り、絵付けの色あせ
  • 付属品:化粧箱、ラベル、シールの有無
  • 製造時期の手がかり:裏面表示や付属の紙類

とくにアラビアについては、前述のとおりフィンランド国内での製造に区切りがあるため、製造時期の手がかりが残っているかどうかが確認されることがあります。

なお、査定額はシリーズ・状態・時期によって変動します。ここで挙げているのは見られやすい項目であり、金額を保証するものではありません。

また、業者が自宅を訪ねて買い取る「訪問購入」には、特定商取引法によるクーリング・オフの定めがあります。法律で定められた書面を受け取った日から数えて8日以内であれば、書面または電磁的記録により契約を解除できるとされ、その期間内は物品の引渡しを拒むことができるとされています。

参考:「訪問購入」|特定商取引法ガイド(消費者庁)

中古品の売買を業として行うには、古物営業法に基づく都道府県公安委員会の許可が必要です。依頼先を選ぶ際は、古物商許可番号が明示されているかを確認しておくとよいでしょう。

参考:「古物営業法」(第二条・第三条)|e-Gov 法令検索

よくある質問

イッタラとアラビアは同じ会社ですか

現在はどちらもフィスカースグループのブランドです。2007年にフィスカースがイッタラグループを買収し、その中にアラビアが含まれていました。ただし、もともとは別々に設立された会社で、ブランドとしては現在も区別されています。

どちらが古いブランドですか

アラビアです。アラビアは1873年にヘルシンキで設立された陶磁器工場が起点で、イッタラは1881年にイッタラ村でガラス工場として創業しています。

イッタラはガラス、アラビアは陶磁器という理解でよいですか

出発点としてはそのとおりです。ただし現在はどちらも幅広い製品を展開しているため、「ブランド名=素材」と一対一で対応するわけではありません。手元の品については、素材そのものを確認するのが確実です。

アラビアの器は今もフィンランドで作られていますか

フィスカースは2015年の発表で、ヘルシンキの陶磁器工場での製造を2016年中にフィンランド国外のパートナー網へ移管する計画を示しました。現在の公式サイトでは、アラビアの製品は主にタイとルーマニアの委託製造先で作られていると説明されています。デザインやブランドに関する意思決定はフィンランドで行われるとされています。

廃番のシリーズは価値が高いのですか

一概には言えません。廃番であることは供給が止まっていることを意味しますが、評価は需要と状態にも左右されます。欠けやひびがある場合、揃いの点数が少ない場合は、廃番であっても扱いが変わります。

まとめ

イッタラとアラビアは、出発点の異なる2つのフィンランドブランドです。アラビアは1873年にヘルシンキで設立された陶磁器工場が起点、イッタラは1881年にイッタラ村で創業したガラス工場が起点で、扱う素材も違いました。

現在は、2007年のフィスカースによるイッタラグループ買収を経て、どちらもフィスカースグループのブランドとして展開されています。ヘルシンキには両ブランドを扱うデザインセンターとアラビア博物館が置かれています。

生産面では違いがあり、イッタラのガラス工場はイッタラ村で稼働している一方、アラビアの製造はフィンランド国外の委託製造先へ移管されました。手元の器を整理する際は、裏面の表示、素材、シリーズ名、付属品を確認しておくと判断がしやすくなります。