その他買取

モントリオールオリンピック記念銀貨の価値|地金価値からの見方

自宅の整理をしていて、カナダの5ドル・10ドルと書かれた大きな銀貨が出てきた、という方もいるのではないでしょうか。1976年のモントリオールオリンピックに合わせて発行された記念銀貨は、日本国内にもまとまった数が残っています。この記事では、カナダ王室造幣局(Royal Canadian Mint)が公表している仕様をもとに、シリーズの構成、含まれる銀の量、そして価値がどのように組み立てられているのかを整理します。

モントリオールオリンピック記念銀貨とは

1976年にカナダのモントリオールで開催された夏季オリンピックに合わせ、カナダ王室造幣局は記念の銀貨シリーズを発行しました。シリーズ名は公式サイト上で「Sterling Silver Coin Series, Montreal Summer Olympic Games(モントリオール夏季オリンピック競技大会 スターリングシルバー貨シリーズ)」とされています。

このシリーズは全部で28種類あり、各コインの公式ページには「Coin 1/28」から「Coin 28/28」までの通し番号が付されています。発行は1973年から1976年にかけて、大会に向けて段階的に行われました。

参考:「$5 – Sterling Silver Coin, Montreal Summer Olympic Games, Olympic Flame (1976) – Coin 28/28」|The Royal Canadian Mint

日本国内で見かけるのは、5ドル銀貨や10ドル銀貨が単体で残っているケースのほか、4枚組のケース入り、あるいは複数の年をまとめた大型のセットケースに収まっているケースです。大会当時、オリンピックの資金調達を兼ねた記念貨として広く販売されたため、現存数は多く、いわゆる「超希少なコイン」という位置づけではありません。オリンピック記念硬貨の価値も、発行枚数の多さが評価に影響します。

シリーズ28種の構成|10ドル銀貨と5ドル銀貨

28種の内訳は、額面10ドルの銀貨が14種、額面5ドルの銀貨が14種です。カナダ王室造幣局の公式ページで各コインの通し番号と額面を照合すると、奇数番号が10ドル、偶数番号が5ドルという規則になっています。

発行年ごとに整理すると、次のような構成です。

発行年 コイン番号 枚数 公式ページで確認できる図柄の例
1973年 1〜4 4枚 世界地図(10ドル)、北米地図(5ドル)、モントリオールの街並み(10ドル)、キングストンとヨット(5ドル)
1974年 5〜12 8枚 ゼウス(10ドル)、聖火を持つ選手(5ドル)、ゼウス神殿(10ドル)、ラクロス(10ドル)、カヌー(5ドル)、自転車競技(10ドル)、ボート競技(5ドル)
1975年 13〜20 8枚 男子ハードル(10ドル)、マラソン(5ドル)、女子砲丸投げ(10ドル)、パドリング(10ドル)、セーリング(10ドル)
1976年 21〜28 8枚 ホッケー(10ドル)、フェンシング(5ドル)、サッカー(10ドル)、ボクシング(5ドル)、オリンピックスタジアム(10ドル)、選手村(5ドル)、自転車競技場(10ドル)、聖火(5ドル)

参考:「$10 – Sterling Silver Coin, Montreal Summer Olympic Games, Field Hockey (1976) – Coin 21/28」|The Royal Canadian Mint

図柄は、開催地に関する地図や風景から始まり、古代オリンピックにちなむ意匠、各競技の場面、そして大会施設へと展開していきます。手元のコインがどの年のどの図柄なのかを確認しておくと、後で照合するときに役立ちます。

仕様|純度925・量目・発行枚数

価値を考えるうえで押さえておきたいのが、素材と重さです。カナダ王室造幣局の公式ページに掲載されている仕様は、次のとおりです。

項目 5ドル銀貨 10ドル銀貨
素材(公式表記) 92.5% silver, 7.5% copper 92.5% silver, 7.5% copper
量目(総重量) 24.3g 48.6g
純銀量(量目×92.5%で計算) 約22.48g 約44.96g
serrated(ギザ付き) serrated(ギザ付き)
仕上げ proof(プルーフ) proof(プルーフ)
発行枚数の例 1,887,629枚(Coin 28/28 聖火) 1,985,257枚(Coin 21/28 ホッケー)

参考:「$5 – Sterling Silver Coin, Montreal Summer Olympic Games, Olympic Flame (1976) – Coin 28/28」|The Royal Canadian Mint

「92.5%の銀と7.5%の銅」という配合は、いわゆるスターリングシルバー(silver 925)です。シルバーコインは、こうした品位と量目から価値を見ていきます。銀製品の刻印で見かける「925」と同じ品位で、純銀(999)ではありません。残りの7.5%の銅は、硬さを出して摩耗を防ぐために加えられています。

発行枚数は、公式ページに掲載されている2種を見るかぎり、いずれも180万枚から200万枚近くにのぼります。記念硬貨の価値は、額面どおりにとどまるものと額面を超えるものに分かれます。オリンピックの資金を集める目的も兼ねて大量に発行されたため、現存数が多いことは、価値を考えるうえで前提として押さえておきたい点です。

なお、直径については公式ページに記載がなかったため、この記事では触れていません。

価値の土台は地金(銀)価値|計算の考え方

モントリオールオリンピック記念銀貨の価値を考えるとき、出発点になるのは「含まれている銀そのものの価値」です。この銀貨は現存数が多く、コインとしての希少性で大きく上乗せされるタイプではないため、実際の評価はおおむね地金価値を基準に組み立てられます。エリザベスコインの価値も、同じく地金価値から見ていく考え方です。

計算の手順は次のとおりです。

  1. コインの量目に品位(92.5%)を掛けて、純銀の重さを求める
  2. 純銀の重さに、その時点の銀の買取価格(1gあたり)を掛ける

田中貴金属工業が公表している2026年8月21日の銀価格は、店頭小売価格が394.79円/g(税込)、店頭買取価格が377.74円/g(税込)でした。この買取価格を使って計算すると、次のようになります。

対象 総重量 純銀量 地金価値の目安(377.74円/gで計算)
5ドル銀貨 1枚 24.3g 約22.48g 約8,490円
10ドル銀貨 1枚 48.6g 約44.96g 約16,980円
28種すべてそろった場合 1,020.6g 約944.06g 約35万6,600円

参考:「日次銀価格推移」|田中貴金属工業

ここで示した金額は、あくまで「その日の地金価格で単純計算した理論値」です。実際の買取では、精錬にかかるコストや手数料が差し引かれるため、この計算値がそのまま支払われるわけではありません。地金価値は上限の目安であり、そこからどれだけ近い水準で評価されるかは業者や時期によって変わる、と考えておくのが実態に近いといえます。

また、銀の価格は日々変動します。上の計算は特定の日の価格を使ったものなので、実際に売却を検討するときは、その時点の価格を確認してください。

地金価値に上乗せされる要素・されない要素

地金価値が土台になるといっても、そこから評価が動く要素はあります。整理すると次のようになります。

上乗せにつながりやすい要素

  • 28種すべてがそろっている、あるいは年ごとの4枚組がそろっている
  • 発行時のケース、証明書(COA)、外箱などの付属品が残っている
  • 表面が曇っておらず、プルーフ特有の鏡面が保たれている
  • 保護カプセルに入ったまま、素手で触れられていない

上乗せにつながりにくい要素

  • 額面の5ドル・10ドルという数字そのもの。カナダの法定通貨ではありますが、額面をそのまま円換算した金額が価値になるわけではありません
  • 「オリンピック記念」という名目。記念貨は世界中で数多く発行されており、それだけで希少性が生まれるわけではありません
  • 発行から50年近く経過しているという年数。古さと希少性は別の話です

評価を下げる要素

  • 指紋、傷、こすり跡
  • 磨いてしまった痕跡。銀は空気中で自然に黒ずみますが、研磨剤や布で磨くと表面の鏡面が失われ、評価が下がることがあります
  • ケースや証明書の欠落

同時期に発行された100ドル金貨について

モントリオールオリンピックに際しては、銀貨のほかに額面100ドルの金貨も発行されています。カナダ王室造幣局の公式ページによると、次の2種類があります。

  • 14金タイプ:素材は「58.33% gold, 41.67% silver」、重量13.34g、発行枚数650,000枚、仕上げはcirculation
  • 22金タイプ:素材は「91.67% gold, 8.33% silver」、重量16.97g、発行枚数350,000枚、仕上げはproof

参考:「$100 – 14kt Gold Coin, Montreal Olympic Commemoratives (1976)」|The Royal Canadian Mint

金貨も考え方は同じで、含まれる金の重さが価値の土台になります。田中貴金属工業が公表している2026年8月21日の金の店頭買取価格は25,215円/g(税込)でした。この価格で単純計算すると、14金タイプに含まれる金は約7.78g、22金タイプは約15.56gとなり、金部分だけで見た理論値はそれぞれ約19万6,000円、約39万2,000円になります。

参考:「日次金価格推移」|田中貴金属工業

こちらも、精錬コストや手数料を含まない上限の目安です。銀貨と金貨がまとめて保管されているケースもあるため、手元のセットに金貨が含まれていないか確認しておくとよいでしょう。

売却前に確認しておきたいこと

査定に出す前に、次の点を確認しておくと話がスムーズです。

まず、枚数と額面を数えることです。5ドルが何枚、10ドルが何枚あるのかを把握しておけば、含まれる銀の総量をおおよそ見積もれます。前述のとおり、5ドルは1枚あたり約22.48g、10ドルは約44.96gの純銀を含んでいます。

次に、付属品をそろえることです。発行当時のケース、証明書、外箱がある場合は、コインと一緒に持参してください。セットとしての完全性は評価に関わります。

そして、表面を磨かないことです。銀貨が黒ずんでいると価値が下がったように見えますが、この変色(トーン)は銀の自然な性質によるものです。磨くとかえって表面を傷める場合があるため、そのままの状態で査定に出すことをおすすめします。指紋が付かないよう、扱うときは縁を持つか、手袋を使うとよいでしょう。

インターネット上で見かける「◯円で売れた」という情報は、その時点の銀相場と個別の条件によるものです。銀の価格は日々動くため、金額は目安として受け止め、実際の評価は現物を見てもらったうえで確認するのが確実です。

よくある質問

モントリオールオリンピック記念銀貨について、よく寄せられる質問をまとめました。

額面の5ドル・10ドルで換金したほうが得ですか

一般的にはそうなりません。カナダ王室造幣局の公式仕様のとおり、5ドル銀貨には約22.48g、10ドル銀貨には約44.96gの純銀が含まれています。銀の地金価値だけを見ても、額面をそのまま円に換算した金額を上回るのが通常です。額面で処理してしまう前に、地金としての価値を確認しておくことをおすすめします。記念硬貨の換金は、銀行と買取業者で扱いが変わります。

28種すべてそろっていないと価値がありませんか

そろっていなくても、含まれる銀の分の価値はあります。ただし、フルセットや年ごとの4枚組がそろっている場合は、コレクションとしての評価が加わることがあります。ばらばらに保管している場合は、まとめて査定に出すほうが判断してもらいやすいでしょう。

銀貨が黒ずんでいますが、磨いたほうがよいですか

磨かないほうが無難です。銀は空気中の成分と反応して自然に黒ずみます。研磨剤や布でこすると表面の細かな仕上げが失われ、プルーフ貨の場合は特に評価に影響することがあります。汚れが気になるときも、査定を受けてから相談するほうが安全です。

本物かどうかはどこで見分けられますか

まずは重さを量ってみてください。カナダ王室造幣局の公式仕様では、5ドル銀貨が24.3g、10ドル銀貨が48.6gです。ここから大きく外れる場合は、確認が必要です。ただし重量だけで断定はできないため、最終的には専門の査定を受けることをおすすめします。

買取価格は銀相場でどのくらい変わりますか

地金価値が土台になるため、銀相場の変動はそのまま評価に反映されます。たとえば1gあたりの価格が10円動けば、10ドル銀貨1枚では約450円分の差になります。まとまった枚数がある場合、相場の動きが結果に与える影響はさらに大きくなります。売却を検討する際は、その時点の銀価格を確認しておくとよいでしょう。

まとめ

モントリオールオリンピック記念銀貨は、1976年の大会に向けて1973年から1976年にかけて発行された28種のシリーズです。カナダ王室造幣局の公式情報によると、10ドル銀貨が14種、5ドル銀貨が14種で、いずれも銀92.5%・銅7.5%のスターリングシルバー製、量目はそれぞれ48.6gと24.3gです。発行枚数は1種あたり180万枚を超えるものもあり、現存数は多く残っています。

そのため、価値の土台になるのは含まれている銀そのものの価値です。純銀量に、その日の銀の買取価格を掛けることで、おおよその上限が見えてきます。ここに、セットの完全性や付属品の有無、表面の状態といった要素が加わって、実際の評価が決まります。

手元にモントリオールオリンピック記念銀貨がある場合は、枚数と額面を数え、付属品をそろえたうえで、磨かずにそのままの状態で査定に出すのがよいでしょう。当店でも記念銀貨の査定を承っています。銀相場は日々動くため、まずは現時点での価値を無料査定で確かめてみてはいかがでしょうか。

買取に関する記事の一覧を見る