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アンプのノイズはなぜ出る?|原因の切り分けと安全にできる対処法

アンプの電源を入れたら「ブーン」「ジー」「サー」といった音が混じるようになった。ギターをつないでいないのに鳴っている。そんなときに、まず何を確認すればよいのか分からず困っている方は多いのではないでしょうか。アンプのノイズは、原因が電源側にあるのか、ケーブル側にあるのか、機器の内部にあるのかで対処がまったく変わります。この記事では、音の種類から見当をつける方法と、メーカーやメーカー団体が公表している手順にもとづいた切り分け方を整理します。

アンプのノイズは「音の種類」で見当がつく

まず、鳴っている音の性質を言葉にしてみると、原因の範囲を絞り込みやすくなります。よく使われる呼び名と、あわせて疑われる原因を整理します。

音の印象 一般的な呼び方 疑われる主な原因
ブーン、ボーンという低い持続音 ハムノイズ 交流電源に由来する誘導、アースの取り方、周辺機器の影響
サー、シューという広い帯域の音 ホワイトノイズ(ヒスノイズ) 増幅回路そのものが持つ残留ノイズ、ゲインの上げすぎ
ジー、ビーという耳につく高めの音 高周波系のノイズ 照明の調光器、スイッチング電源、無線機器などの影響
ガサガサ、ザリザリという不連続な音 接触不良系のノイズ プラグや端子の汚れ、ケーブルの断線、ボリュームの汚れ
つまみを回したときだけ出るガリ音 ガリ ボリュームやトーンの可変抵抗の汚れ・摩耗

このうち、何も接続していない状態で「サー」という音がわずかに聞こえるのは、増幅回路を持つ機器では珍しいことではありません。ローランドは、モニタースピーカーやアンプについて、増幅回路を内蔵しているため何も接続していなくてもノイズが聞こえることがあり、それ自体は故障ではないと案内しています。音量を上げたときにだけ聞こえる程度であれば、正常な範囲であることも多いと考えられます。

参考:「修理サービス-ノイズが出る」|ローランド

ノイズの原因は大きく5つに分けられる

原因は、おおむね次の5つの層に分けて考えると整理しやすくなります。

1. 電源環境

アンプは交流100Vから電気をとります。同じコンセントや同じ屋内配線に、モーターやスイッチング電源を持つ機器がつながっていると、その影響を受けることがあります。たこ足配線も影響します。ヤマハは取扱説明書のなかで「たこ足配線をしない」と明記し、その理由として「音質が劣化したり、コンセント部が異常発熱して火災の原因になることがあります」と説明しています。ノイズと安全の両面で避けたほうがよい配線です。

参考:「THR Series Guitar Amplifier 取扱説明書」|ヤマハ

2. ケーブルと接点

シールドケーブルの断線、外皮の傷み、プラグの汚れや酸化は、ノイズの発生源になります。ローランドの診断手順でも、接続プラグの清掃で改善する場合があると案内されています。

3. 設置環境・周辺機器

照明器具、パソコン、電源アダプター、無線機器などが近くにあると、その影響を拾うことがあります。特にギターのシングルコイル・ピックアップは構造上ノイズを拾いやすいとされ、ギターの向きを変えるだけで音量が変わることがあります。

4. インピーダンスの不整合

エレキギターやエレキベースの出力はインピーダンスが高く、ミキサーなどのロー・インピーダンス入力に直接つなぐと、適正な出力が得られずノイズが発生するとヤマハは説明しています。この場合はDI(ダイレクト・ボックス)でインピーダンスを変換することで、ノイズの影響を受けにくくなります。

参考:「PA虎の巻」|ヤマハプロオーディオ

5. アンプ内部の経年劣化

長く使ったアンプでは、電源部の電解コンデンサーが劣化してくることがあります。オーディオテクニカが公開している解説記事では、アンプの故障原因としてもっとも一般的なものが電源コンデンサーの劣化であり、「年月の経過とともに内部が劣化して、必要な電気容量を溜められなくなってくる」と説明されています。劣化が進んだコンデンサーが膨れて破裂すると、電解液が漏れて基板に回復不能なダメージを与えることがあるとも記されています。

参考:「アンプが故障する原因について知ろう」|オーディオテクニカ

まず試したい切り分けの手順

原因を推測するより、順番に確かめて範囲を狭めるほうが確実です。ローランドが公開している診断の考え方をもとに、家庭でも試せる手順に整理しました。

手順1:ノイズが「どこまで」出るか確認する

アンプ単体(何も接続しない状態)で出るのか、楽器やプレーヤーをつないだときだけ出るのかを分けます。単体で出るならアンプ側または電源側、つないだときだけならケーブルや接続機器側の可能性が高くなります。

手順2:音量つまみとの関係を見る

音量を絞ってもノイズが変わらないのか、音量に比例して大きくなるのかを見ます。比例するなら、音量つまみより前段(入力側)に原因がある可能性が高いと考えられます。

手順3:ケーブルを替えてみる

別のシールドケーブルに交換して変化を見ます。ケーブルの断線や外皮の傷みは、見た目では分かりにくいことがあります。

手順4:プラグと端子を清掃する

プラグの汚れを乾いた布で拭き、端子に差し直します。ローランドの診断手順でも、接続プラグの清掃が項目として挙げられています。

手順5:コンセントを替えてみる

別の部屋のコンセントに挿し替えて、症状が変わるか確認します。電源の位置によって症状が変わることがあるとされています。

手順6:周囲の機器を止めてみる

近くの照明や家電の電源を一時的に切って、変化があるかを見ます。

手順7:グラウンドリフトの設定を確認する

機器にグラウンドリフトのスイッチがある場合は、その設定を確認します。

参考:「修理サービス-ノイズが出る」|ローランド

ここまでで改善しない場合、原因が機器の内部にある可能性が出てきます。その先は、次章のとおり自分で開けずに窓口へ相談するのが原則です。

【重要】自分でアンプの内部を開けてはいけない理由

アンプの中には、電源を切ったあとも危険な電圧が残っていることがあります。特に真空管アンプでは高い電圧が扱われており、内部に触れることは感電の危険と直結します。

メーカーの取扱説明書には、この点が明確に書かれています。ヤマハのギターアンプの取扱説明書は「警告」の区分で、次のように記載しています。

> この製品の内部を開けたり、内部の部品を分解したり改造したりしない。感電や火災、けが、または故障の原因になります。

参考:「THR Series Guitar Amplifier 取扱説明書」|ヤマハ

同じ取扱説明書では、次の状態が起きた場合はすぐに電源スイッチを切り、電源プラグをコンセントから抜いたうえで、販売店またはメーカーの修理窓口に点検を依頼するよう案内されています。

  • 電源コードやプラグが傷んだ場合
  • 製品から異常なにおいや煙が出た場合
  • 製品の内部に異物が入った場合
  • 使用中に音が出なくなった場合

これらは、そのまま使い続けると感電や火災、故障のおそれがあるとされています。ノイズの原因を探ることよりも、まず安全の確保が優先されます。

なお、電子機器の業界団体であるJEITA(電子情報技術産業協会)も、長期間使用した製品について同様の注意を促しています。電源スイッチを入れても動作しない、異臭や煙が出る、動作時の音や振動が大きくなった、電源コードが傷んでいる・プラグが異常に熱いといった症状は、劣化のサインとされ、危険な症状が見られる場合はスイッチを切り、コンセントから電源プラグを抜いて販売店またはメーカーの修理相談窓口に相談するよう案内されています。

参考:「長期使用製品の安全」|JEITA 一般社団法人 電子情報技術産業協会

内部のコンデンサー交換や配線の手直しは、電気の知識と適切な工具、放電の手順を前提とした作業です。ノイズを消すために自分で開ける、という判断はしないでください。

電源まわりでできる安全な対処

内部に触れずにできる対処のうち、電源に関するものを整理します。

たこ足配線をやめる

延長タップに機器を集中させている場合は、アンプを壁のコンセントに直接つなぎ替えて変化を見ます。ヤマハの取扱説明書でも、たこ足配線は音質の劣化とコンセント部の異常発熱の両面から避けるよう案内されています。

同じ系統につながる機器を減らす

モーターや調光器を持つ機器が同じ系統にあると、影響を受けることがあります。使っていない機器の電源を落として様子を見ます。

接続の順番を守る

ヤマハの取扱説明書には「すべての機器の電源を切った上で、ほかの機器と接続する。また、電源を入れたり切ったりする前に、機器のボリュームを最小にする」と記載されています。守らないと「感電、聴力障害または機器の損傷の原因になります」とされています。接続時のポップノイズを防ぐという意味でも、この順番は有効です。

落雷のおそれがあるときはプラグを抜く

同じ取扱説明書では、長期間使用しないときや落雷のおそれがあるときは、コンセントから電源プラグを抜くよう案内されています。落雷はアンプの故障原因のひとつとしても挙げられています。

参考:「THR Series Guitar Amplifier 取扱説明書」|ヤマハ

ケーブル・接点・設置でできる対処

ケーブルを見直す

シールドケーブルは消耗品です。外皮が破れている、プラグの根元がぐらつく、曲げると音が途切れる、といった症状があれば交換します。予備のケーブルを1本持っておくと、切り分けにも使えます。

プラグと端子を清掃する

乾いた柔らかい布でプラグを拭き、差し直します。金属部分に無理な力を加えたり、研磨剤を使ったりするのは避けてください。

DIを使う

ギターやベースをミキサーに直接つなぐ構成でノイズが出る場合は、DIの使用を検討します。ヤマハは、DIを使うことでインピーダンスが変換され、適正な出力が得られてノイズの影響も受けにくくなると説明しています。

設置場所と向きを変える

アンプと電源アダプター、パソコン、照明を離します。ギターの場合は、立つ向きを変えるだけでハムノイズの大きさが変わることがあります。

放熱を確保する

ヤマハの取扱説明書では、本体の放熱用スリットを本などでふさがないよう注意が示されています。内部に熱がこもると故障や火災の原因になることがあるとされています。ノイズの直接の対策ではありませんが、機器を長く使ううえでは重要な点です。

古いアンプ・真空管アンプで気をつけたいこと

長く使っているアンプでノイズが増えてきた場合、部品の劣化が関わっている可能性があります。ただし、ここで自己判断で手を出さないことが大切です。

真空管アンプでは、真空管そのものが消耗品であり、劣化するとノイズやガリの原因になることがあります。ただし交換にあたっては、機種ごとに適合する型番や、交換後の調整の要否が異なります。取扱説明書に利用者による交換手順が記載されていない機種で、独自に判断して作業するのは避けてください。真空管は使用直後に高温になっており、内部には高い電圧がかかっています。

電解コンデンサーの劣化は、外からは判断できません。オーディオテクニカの解説では、劣化したコンデンサーが破裂して電解液が漏れると、基板に回復不能なダメージを与えることがあるとされています。「ノイズが増えた」「音が出るまでに時間がかかる」「片方のチャンネルだけ音が小さい」といった変化があるときは、修理窓口に相談するのが結果的に近道です。

参考:「アンプが故障する原因について知ろう」|オーディオテクニカ

なお、メーカーによっては古い機種の修理受付が終了している場合があります。ローランドは、修理受付の可否を機種ごとの一覧で公開しており、受付終了の機種は修理できない旨を案内しています。修理を検討する前に、対象機種が受付中かどうかを確認しておくとよいでしょう。

参考:「修理サービス-ノイズが出る」|ローランド

よくある質問

何もつないでいないのに「サー」という音がします。故障でしょうか

増幅回路を内蔵している機器では、何も接続していない状態でもノイズが聞こえることがあり、それ自体は故障ではないとローランドは案内しています。音量を上げたときにわずかに聞こえる程度なら、正常な範囲であることが多いと考えられます。ただし、以前より明らかに大きくなった、音質が変わったといった変化がある場合は、点検を依頼したほうが安全です。

ノイズゲートを使えば解決しますか

ノイズゲートは、一定レベル以下の信号を遮断することで、演奏していない間のノイズを目立たなくする機器です。ノイズそのものをなくすものではなく、原因が電源や接点にある場合、根本の解決にはなりません。まずは切り分けを行い、それでも残る分に対して使うという順番が現実的です。

アース付き(3ピン)のコンセントに変えればノイズは減りますか

接地の状況はノイズに影響することがありますが、屋内配線やコンセントの工事は電気工事士の資格が必要な作業です。自分でコンセントを交換したり、アース線を勝手に接続したりすることは避けてください。必要な場合は電気工事店に相談してください。

電源タップやノイズフィルターを使えば直りますか

たこ足配線をやめて壁のコンセントに直接つなぐだけで改善する場合があります。市販のノイズフィルター付きタップが有効なケースもありますが、原因が電源側にない場合は効果がありません。まずは切り分けをして、電源が原因だと分かってから検討するほうが確実です。

修理に出すか買い替えるか、どう判断すればよいですか

まず、メーカーがその機種の修理を受け付けているかを確認します。受付が終了している場合、正規の修理はできません。受付中であれば見積もりを取り、修理費と現在の中古相場を比べて判断することになります。買い替えを選ぶ場合、使わなくなったアンプを買取に出すという選択肢もありますが、動作しない機器やノイズが出る機器は評価が下がる傾向があります。金額はあくまで目安であり、状態や時期によって変わります。

まとめ

アンプのノイズは、鳴っている音の性質から原因の見当をつけ、「アンプ単体で出るか」「ケーブルを替えると変わるか」「コンセントを替えると変わるか」と順番に切り分けていくのが基本です。電源環境、ケーブルと接点、設置環境、インピーダンス、内部の経年劣化という5つの層に分けて考えると、どこまで自分で確かめられるかが見えてきます。

ただし、確かめられるのは外側までです。メーカーの取扱説明書は「この製品の内部を開けたり、内部の部品を分解したり改造したりしない」と明記しており、感電や火災の危険があるとしています。異臭や煙、電源コードの傷みといった症状が出た場合は、すぐに電源を切ってプラグを抜き、販売店やメーカーの修理窓口に相談してください。ノイズを消したいという気持ちが、事故につながらないようにすることが何より大切です。