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ルイ13世はどんなブランデーなのか|コニャックとしての製法・クリュ・種類の違いを整理する

「ルイ13世」は高級ブランデーとして紹介されることが多い一方、コニャックと呼ばれたり、グランド シャンパーニュという言葉が添えられたりして、結局どういう位置づけの酒なのか分かりにくいところがあります。この記事では、ブランデーとコニャックの関係から始めて、コニャックがどうつくられるのか、産地の区分がなぜ価値に関わるのか、そしてルイ13世にどのような種類があるのかを、公的な業界団体とメーカー公式の情報にもとづいて整理します。手元のボトルがどれに当たるのかを見分けたい方にも役立つはずです。

なお、本記事は製品の解説を目的としたもので、飲酒を勧めるものではありません。20歳未満の方の飲酒は法律で禁止されています。

ルイ13世は「ブランデー」なのか、「コニャック」なのか

結論から書くと、どちらの呼び方も間違いではありません。関係は入れ子になっています。

ブランデーは、果実を原料とする蒸留酒の総称です。ぶどうから造ったワインを蒸留したものが一般にブランデーと呼ばれ、そのなかでフランス・コニャック地方で、定められた条件を満たして造られたものだけが「コニャック」を名乗れます。つまり、コニャックはブランデーの一種であり、ルイ13世はそのコニャックにあたります。

日本語の記事で「ブランデーのルイ13世」と書かれるのは総称としての用法、「コニャックのルイ13世」と書かれるのはより厳密な用法、と考えると整理しやすいでしょう。レミーマルタン公式サイトも、ルイ13世をコニャックとして紹介しています。

参考:「Origins of LOUIS XIII: our name, our story」|LOUIS XIII Cognac 公式サイト

名前の由来は17世紀のフランス国王

公式サイトによれば、ルイ13世が誕生したのは1874年で、創業家のポール・エミール・レミーマルタンによって生み出されました。名称は17世紀のフランス国王ルイ13世にちなんでいます。150年近く続いてきた銘柄ということになります。

コニャックの製法とグレード表記

二度の蒸留と樽での熟成

コニャックの製造工程については、業界団体であるBNIC(コニャック地方委員会)が説明を公開しています。それによると、蒸留はバッチ方式による二度の蒸留(ダブル・ディスティレーション)で行われ、この工程は「chauffe(ショーフ)」と呼ばれる連続した2段階から成るとされています。

蒸留したての原酒は、蒸留器から出るとすぐにオークの樽に入れられ、そこで数年にわたって熟成し、色・香り・味わいを得ていくと説明されています。そして、セラーマスターが生産者から原酒を選んで買い付け、年数や産地の異なる原酒を組み合わせて繊細なブレンドをつくる、という流れが示されています。

参考:「Production」|Cognac.fr(BNIC)

つまりコニャックは、単一の原酒をそのまま瓶詰めするものではなく、性格の異なる複数の原酒を組み立てて完成させる酒だということになります。ルイ13世の価値を理解するうえで、この点は押さえておきたいところです。

VS・VSOP・XOといった表記との関係

コニャックのラベルには、VS、VSOP、XOといった記号が付されることがあります。これらは熟成の度合いを示す表記として広く使われていますが、それぞれの最低年数について、BNICの公開ページ上で数値を確認することができませんでした。数値を推測で書くことは避けたいため、本記事では具体的な年数には触れません。

なお、ルイ13世については、公式オンラインストアの製品ページにVSやXOといった年数表記は掲載されていません。年数の記号ではなく、産地・ブレンド・熟成という要素そのものを前面に出した表現がとられているといえます。

コニャック地方の6つのクリュとグランド シャンパーニュ

コニャックの産地は、土壌と気候の違いによって6つの地区(クリュ)に区分されています。BNICの説明にもとづいて整理すると、次のようになります。

クリュ BNICが示す特徴
グランド シャンパーニュ 最も名高いコニャックの産地。樽での熟成に特に適する。フローラルな香りをもつ
プティット シャンパーニュ グランド シャンパーニュと同じ土壌をもつが、海洋性気候の影響をより強く受け、軽やかでフローラル・フルーティ
ボルドリ 表土が脱石灰化しており、シャンパーニュ地区より早く熟成する非常に香り高いコニャックを生む。スミレやアイリスの香り
ファン ボワ 北部は粘土石灰質、南部は白亜紀・第三紀の地層。構成が軽めで熟成が早い
ボン ボワ ジュラ紀と白亜紀の地層が混在する不均質な地区。気候条件も多様で、原酒の個性も幅がある
ボワ オルディネール(ボワ ア テロワール) 大西洋の影響を強く受ける沿岸部。テロワールの性格がはっきり出る

参考:「The crus」|Cognac.fr(BNIC)

グランド シャンパーニュが「第一級(プルミエ クリュ)」と呼ばれるのは、単に格が高いという意味ではなく、BNICが示すとおり樽での長期熟成に適した性質を持つためです。何十年という単位で寝かせることを前提とするコニャックにとって、この適性は決定的な条件になります。

ルイ13世を成り立たせている三つの要素

1. グランド シャンパーニュのぶどうのみ

LOUIS XIII公式サイトは、ルイ13世に使われるぶどうがコニャック地方の第一級地区グランド シャンパーニュで育てられたものであることを明記しています。前項で見たとおり、この地区は長期熟成に向く原酒を生むとされる区域です。

2. 最大1,200種のオー・ド・ヴィーのブレンド

公式サイトによれば、セラーマスターは最大1,200種類のオー・ド・ヴィー(原酒)を選び、ブレンドしてルイ13世の香味を組み立てます。現在のセラーマスターはバティスト・ロワゾーです。1,200という数は、コニャックがブレンドの酒であることを端的に示す数字といえます。

3. 世代をまたぐ時間

原酒は、樹齢を重ねたリムーザン産オークの樽(ティエルソン)で長く熟成され、なかには100年に及ぶものも含まれるとされています。公式サイトはルイ13世を「歴代セラーマスターたちの生涯をかけた成果」と表現しており、現在のセラーマスターも、次の世代が使う原酒を選び、仕込んでいると説明されています。つくり手一人の仕事では完結しない構造になっている、ということです。

参考:「Origins of LOUIS XIII: our name, our story」|LOUIS XIII Cognac 公式サイト

デカンタも工程の一部

中身だけでなく、容器も手仕事でつくられます。公式サイトによれば、クラシック デカンタは1本につき11人の熟練職人によって手作りされ、独特の形状を手吹きで成形し、細かな突起を手で仕上げ、8つのフルール・ド・リスを手彫りし、最後に20金で仕上げるとされています。デザインの由来は、1874年にポール・エミール・レミーマルタンが入手した、ジャルナックの古戦場で見つかった1569年のものとされるフラスコにあると説明されています。

参考:「The Decanter」|LOUIS XIII Cognac 公式サイト

ルイ13世のコレクション構成

ルイ13世は単一の製品ではなく、性格の異なる複数のコレクションで構成されています。公式サイトのコレクション一覧をもとに整理すると、次のようになります。

コレクション 位置づけ 該当製品と容量
Iconic Collection 定番。同じブレンドを容量違いで展開 The Miniature(50ml)/The Classic Decanter(700ml)/The Magnum(1.75L)/The Jeroboam(3L)
Rare Cask Collection 何百とある古い樽のなかから、際立った香味をもつ樽を1つだけ選び出したもの Rare Cask 42.1(700ml)/Rare Cask 42.6(750ml)/Rare Cask 43.8(750ml)
THE DROP 少量ずつ試せる小容量パッケージ Collection Box(10ml×5)
Time Collection ほか限定品 特定の年やテーマを冠した限定シリーズ The Origin – 1874(750ml)/City of Lights – 1900(750ml)/The Legacy(1.75L)/L’Odyssée d’un Roi(1.5L)/Le Salmanazar(9L)

参考:「Collections」|LOUIS XIII Cognac 公式サイト

Rare Caskについて公式は、何百もある百年物のティエルソンのなかから、独特の香味をもつ極めて稀な1樽を選び出したもの、と説明しています。また「Rare Cask 42.1」は、バカラが特別に手がけた黒いクリスタルのデカンタ775本の限定版として発表されたとされています。

定番のクラシック デカンタについては、容量700ml、アルコール分40%、1本ずつ番号が振られていること、ネック部分に18金以上の金が使われ片側に10本ずつの突起があること、コルク栓にNFCチップが仕込まれていることが公式のオンラインストアに記載されています。

参考:「The Classic Decanter」|LOUIS XIII Cognac 公式サイト

なお、日本語の記事でしばしば見かける「ブラックパール」は、公式サイトの現行コレクション一覧には掲載が見当たりませんでした。仕様を確認できないため、本記事では触れません。

手元のボトルを見分ける方法と、買取で見られる点

まず「どれか」を特定する

売却や整理を考えるなら、最初にすべきは種類の特定です。手がかりは次のあたりにあります。

  • 容量表示:50ml/700ml/750ml/1.5L/1.75L/3L/9Lのどれか。ラベルまたは箱に記載があります
  • デカンタ本体の刻印・番号:クラシック デカンタは個別に番号が振られています
  • クリスタルの色:Rare Cask 42.1は黒いクリスタルです
  • 箱・冊子の表記:限定品はコレクション名が明記されていることが多くあります

容量が違えば別の製品ですので、まとめて「ルイ13世」として扱わず、どの製品なのかを控えておくと査定の際に話が早くなります。

買取で見られる点

見られる点 評価が上がりやすい状態 評価が下がりやすい状態
開栓の有無 未開栓で封が完全 開栓済み、封に触れた形跡がある
液面 購入時の位置を保っている 目減りしている
デカンタ 欠け・傷がなく、金の部分が擦れていない クリスタルに欠け、金の摩耗がある
箱・付属品 外箱・内箱・冊子・栓などが揃っている 箱なし、欠品がある
ラベル 汚れ・破れ・日焼けがない 水濡れ跡、剥がれ、退色
保管環境 冷暗所で立てて保管 直射日光、高温、長期の横倒し

蒸留酒は基本的に立てて保管します。横に寝かせるとコルクが常に液体に触れ、劣化の原因になることがあります。直射日光や高温も、ラベルの退色や中身の状態に影響します。

相場や査定額は市場の需要、業者の在庫状況、時期によって変わります。ここに挙げたのは見られやすい観点であり、特定の金額を保証するものではありません。

酒類の売買に関わる免許と、20歳未満の飲酒防止

古物商許可と酒類販売業免許は別のもの

中古の品物を買い取って売ることを業として行うには、古物営業法にもとづく古物商許可が必要です。加えて酒類の場合は、酒税法上の免許が関わってきます。

国税庁の手引によれば、酒類の販売業をしようとする場合には、酒税法の規定にもとづき、販売場ごとに、その販売場の所在地の所轄税務署長から酒類販売業免許を受ける必要があります。本店で免許を受けていても、支店で酒類の販売業を行うには支店の所轄税務署長から新たに免許を受けなければなりません。

免許は販売先や販売方法によって区分されており、販売場において原則としてすべての品目の酒類を小売できるものが「一般酒類小売業免許」、2都道府県以上の広範な地域の消費者等を対象に、条件をカタログやインターネット等で提示し通信手段で申込みを受けて販売するものが「通信販売酒類小売業免許」とされています。ほかに、酒類販売業者や酒類製造者に対して卸売を行う酒類卸売業免許の区分もあります。

販売業免許を受けずに酒類の販売業を行った場合には、酒税法上、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金に処されるとされています。

参考:「一般酒類小売業免許申請の手引」|国税庁

20歳未満の者への販売は禁止されている

国税庁の同じ手引では、二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止ニ関スル法律が、酒類販売業者や料理飲食業者に対して、20歳未満の者が飲用に供することを知って酒類を販売または供与することを禁じ(第1条第3項)、年齢の確認その他の必要な措置を講じる義務を課している(第1条第4項)と説明されています。禁止規定に違反した場合は50万円以下の罰金に処されます。

また、酒類小売業者は「二十歳未満の者の飲酒防止に関する表示基準」(平成元年11月国税庁告示第9号)を遵守する必要があり、売場には「20歳以上の年齢であることを確認できない場合には酒類を販売しない」旨の表示が求められます。通信販売の場合も、広告やカタログ、申込画面、納品書等に同趣旨の表示が必要とされています。

令和4年4月から民法の成年年齢は18歳に引き下げられましたが、お酒に関する年齢制限は20歳のまま維持されている点も同手引に明記されています。

よくある質問

Q. ルイ13世はブランデーですか、コニャックですか

どちらの呼び方も成り立ちます。ブランデーは果実を原料とする蒸留酒の総称で、そのうちフランス・コニャック地方で定められた条件のもとに造られたものがコニャックです。ルイ13世はコニャックであり、同時に広い意味でのブランデーでもあります。

Q. グランド シャンパーニュとは何ですか

コニャック地方に6つあるクリュ(産地区分)のうちの一つです。BNICは、最も名高いコニャックの産地であり、樽での熟成に特に適していると説明しています。ルイ13世はこの区域のぶどうを原料としていることが公式に示されています。

参考:「The crus」|Cognac.fr(BNIC)

Q. ルイ13世にVSOPやXOのような表記はありますか

公式オンラインストアの製品ページに、VSやXOといった年数表記は掲載されていません。ルイ13世は年数の記号ではなく、グランド シャンパーニュの原酒、最大1,200種のブレンド、長期の熟成という要素で説明されています。

Q. ミニチュアとクラシック デカンタは中身が違いますか

公式サイトはIconic Collectionとして、ミニチュア(50ml)、クラシック デカンタ(700ml)、マグナム(1.75L)、ジェロボアム(3L)を同じ区分に置いています。容量による展開という位置づけです。

Q. 何十年も前にもらったボトルですが、まだ価値はありますか

未開栓で液面の目減りが少なく、ラベルやデカンタの状態が保たれていれば、取り扱われることが多いです。ただし高温や直射日光の下で長く置かれていた場合は状態が下がっている可能性があります。実物を見てもらうのが確実です。

Q. 空のデカンタだけでも売れますか

業者によります。クリスタルの工芸品としての価値を見る業者もありますが、未開栓のボトルと同じ扱いにはなりません。事前に取り扱いの可否を確認しておくとよいでしょう。

まとめ

ルイ13世は、フランス・コニャック地方で造られるコニャックであり、広い意味ではブランデーの一種です。1874年に生まれ、17世紀のフランス国王の名を冠しています。

コニャックは、BNICが示すとおり二度の蒸留を経てオーク樽で数年以上熟成され、セラーマスターが年数や産地の異なる原酒を組み合わせて完成させる酒です。産地は6つのクリュに分かれ、そのうちグランド シャンパーニュは樽での熟成に特に適した区域とされています。ルイ13世は、このグランド シャンパーニュのぶどうを原料とし、最大1,200種の原酒をブレンドし、100年に及ぶものを含む長期熟成の原酒を用いる、という三つの条件で組み立てられています。

種類としては、容量違いで展開するIconic Collection、1つの樽から生まれるRare Cask Collection、小容量のTHE DROP、そして各種の限定品という構成です。手元にボトルがある場合は、まず容量と刻印、箱の表記からどの製品かを特定してください。未開栓であること、液面が下がっていないこと、箱と付属品が揃っていること、冷暗所で立てて保管されていることが、状態を保つうえでの基本になります。