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日本酒ハイボールとは|清酒の定義と炭酸割りの基本、適量の考え方

そのまま飲むものという前提で、棚に置かれたままの日本酒はないでしょうか。近年は炭酸水で割る飲み方が広まり、業界団体の公式サイトにも作り方が載っています。ただし度数の考え方を知らないまま飲むと、思ったより量が進んでしまいます。そこでこの記事では、日本酒ハイボールの作り方と清酒の定義、そして飲むときに押さえておきたい決まりごとを公的資料から整理します。

日本酒ハイボールとは|日本酒を炭酸水で割った飲み方

日本酒ハイボールとは、日本酒を炭酸水(ソーダ)で割った飲み方を指します。呼び名としては新しく感じられますが、業界団体である日本酒造組合中央会が、公式サイトの「日本酒のおいしい飲み方」の中で紹介している飲み方のひとつです。

同会は、日本酒を炭酸水で割ることでスカッと爽やかな味わいが楽しめると説明しています。あわせて、アルコール入りの炭酸水を指す「セルツァードリンク」という言葉にも触れています。

参考:日本酒のおいしい飲み方|日本酒造組合中央会

なお「ハイボール」という言葉そのものについては、法令や公的機関による定義を確認できませんでした。一般には蒸留酒を炭酸水で割ったものを指す呼び方として使われていますが、その範囲を定めた公式の基準は見当たりません。ここでは、業界団体が「日本酒ハイボール」として紹介している内容に沿って説明します。

日本酒は温度によって表情が変わるお酒です。日本酒造組合中央会は、温度による呼び方として雪冷え・花冷え・涼冷え・室温・日向燗・人肌燗・ぬる燗・上燗・あつ燗・飛びきり燗を挙げています。お燗については、一般的に人肌燗の35〜40℃から上燗の45〜50℃あたりがおいしいと言われる、とも説明されています。炭酸で割る飲み方は、この温度の幅にもうひとつ選択肢を足すものだと考えると分かりやすいでしょう。

そもそも日本酒(清酒)とは|酒税法上の定義

割り方の前に、元になるお酒の位置づけを確認しておきます。ここを押さえておくと、ラベルの読み方も変わります。

酒税法では、酒類をアルコール分1度以上の飲料と定義しています。そのうえで清酒は、米・米こうじ・水を原料として発酵させてこしたもので、アルコール分が22度未満のものと定められています。酒類は発泡性酒類・醸造酒類・蒸留酒類・混成酒類に分類され、清酒は醸造酒類に位置づけられます。

参考:Q1 酒類の定義を教えてください。|国税庁

法令上の上限は22度未満ですが、実際に流通している製品の度数はもっと低いところに集まっています。日本酒造組合中央会によれば、日本酒の平均のアルコール度数は13〜16%です。比較としてビールが約4〜6%、ワインが約12〜15%だと示されています。近年は5%台の低アルコール日本酒も増えてきました。

参考:初心者におすすめの日本酒って?|日本酒造組合中央会

「日本酒」という表示にも決まりがあります。国税庁は、地理的表示「日本酒」が平成27年12月25日に国レベルの地理的表示として指定を受けたと説明しています。原料の米と米こうじに日本国内産米のみを使用し、日本国内で製造された清酒に「日本酒」と表示できます。海外産の米を使った清酒や、日本以外で製造された清酒は、国内に輸入されても「日本酒」とは表示できません。

参考:日本酒(清酒)に関するもの|東京国税局

ラベルに書かれた吟醸酒や純米酒といった呼び名は、「清酒の製法品質表示基準」に基づく特定名称です。国税庁が示す要件は次のとおりです。

特定名称 精米歩合 こうじ米の使用割合
大吟醸酒・純米大吟醸酒 50%以下 15%以上
吟醸酒・純米吟醸酒 60%以下 15%以上
特別純米酒・特別本醸造酒 60%以下、または特別な製造方法 15%以上
本醸造酒 70%以下 15%以上
純米酒 規定なし 15%以上

参考:「清酒の製法品質表示基準」の概要|国税庁

割って飲む場合も、元の一本がどういうお酒なのかは味に出ます。香りの華やかな吟醸系と、米の味が前に出る純米系では、炭酸を加えたときの印象は変わります。

業界団体が紹介している作り方

日本酒造組合中央会は、日本酒ハイボールの作り方を具体的に示しています。グラスにたっぷりの氷を入れてから日本酒をグラスに半分注ぎ、ソーダを同量注ぐという手順です。乾杯や食事の最初に向く、夏向きの飲み方として紹介されています。

つまり比率としては日本酒とソーダが1対1です。まずこの比率で作ってみて、そこから好みに応じて調整するのが分かりやすいでしょう。

同会は、炭酸を使う飲み方を他にも挙げています。クレーム・ド・カシスを加える日本酒カクテルにレモンや炭酸を足す方法や、にごり酒とミルクを合わせたものにソーダを加える方法などです。氷を満たしたグラスにやや熱めの燗酒を注ぐ「燗ロック」も紹介されています。

炭酸で割ると、口当たりは軽くなります。ただし軽く感じることと、体に入るアルコールの量が減ることは別の話です。次の項でその点を整理します。

炭酸で割ると度数はどうなるのか|純アルコール量で考える

厚生労働省は、令和6年2月19日に「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」を公表しました。このガイドラインは、単にお酒の量(ml)だけでなく、お酒に含まれる純アルコール量(g)に着目することが重要だと述べています。

参考:「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」を公表します|厚生労働省

純アルコール量は、次の式で計算できます。

純アルコール量(g)=摂取量(ml)×アルコール濃度(度数÷100)×0.8(アルコールの比重)

ガイドラインは例として、ビール500ml(5%)の場合に500×0.05×0.8=20gになると示しています。

参考:健康に配慮した飲酒に関するガイドライン|厚生労働省

この式を日本酒に当てはめると、次のようになります。度数15%の日本酒を使った場合の計算例です。

グラスに注いだ日本酒の量 計算 純アルコール量
60ml(おちょこ数杯分の目安) 60×0.15×0.8 7.2g
100ml 100×0.15×0.8 12g
180ml(一合) 180×0.15×0.8 21.6g

ここで押さえておきたいのは、炭酸水を足しても分子にあたる純アルコール量は変わらないという点です。炭酸で割ると全体の量が増えるため、飲み口の度数は下がります。しかし注いだ日本酒の量が同じであれば、体に入るアルコールの総量は同じです。

ガイドラインは、健康に配慮した飲酒の仕方のひとつとして、飲酒の合間に水や炭酸水を飲むことを挙げています。アルコールをゆっくり分解・吸収できるようにするためです。水などを混ぜてアルコール度数を低くして飲酒をする、少しずつ飲酒する、といった方法が示されています。炭酸で割ること自体は、飲むペースを落とす方向に働きます。飲む本数が増えれば意味がなくなる点には注意してください。

国内では、生活習慣病のリスクを高める量として1日当たりの純アルコール摂取量が男性40g以上・女性20g以上という数値も示されています。ただしガイドラインは、これらの量が個々人の許容量を示したものではないと明記しています。

家庭で割るときの、酒税法上の扱い

お酒に何かを混ぜる行為は、酒税法では「混和」として扱われます。原則として、酒類と他の物品を混ぜて混和後のものが酒類であるときは、新たに酒類を製造したものとみなされます。

ただし、消費の直前に混和する場合は別です。国税庁の法令解釈通達には、次の二つの場合が無免許製造にあたると記載されています。酒場や料理店などが自分の営業場以外の場所で消費されることを見込んで混和した場合と、消費者が他に販売する目的で混和した場合です。どちらも消費の直前において混和したことにはならない、という理由によります。裏を返せば、飲む直前にその場で割って飲みきる行為は、これに当たりません。

参考:第43条 みなし製造|国税庁

一方、漬け込むタイプの自家製酒には別の枠組みがあります。国税庁は、焼酎などに梅を漬けて梅酒を作る行為も本来はみなし製造にあたるという整理です。そのうえで、消費者が自分で飲むためにアルコール分20度以上かつ酒税が課税済みの酒類へ一定の物品以外を混和する場合は、例外的に製造行為としないと説明しています。この規定は自ら飲むための酒類についてのものであるため、作ったものを販売してはならないとされています。

参考:【自家醸造】|国税庁

日本酒の一般的な度数は13〜16%で、20度以上という条件には当てはまりません。日本酒に果実などを漬け込んで保存する形の自家製は、この例外の対象外です。飲む直前にグラスの中で炭酸水と合わせて飲みきる、という形にとどめてください。

飲む前に押さえておきたい決まりごと

飲み方の話の前に、法令で定められた事項があります。ここは好みや体質にかかわらず、全員に当てはまります。

20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。

厚生労働省のガイドラインは、20歳未満の飲酒(20歳未満に飲酒させることを含む)を法律違反に当たる場合として明記しています。理由として、脳の発育に悪影響を及ぼすこと、若い頃からの飲酒によって依存症になる危険性が上がることを挙げています。

飲酒運転は法律で禁止されています。

同じく法律違反に当たる場合として、酒気帯び運転等(酒気帯び運転をさせることを含む)が挙げられています。飲酒時には、安全運転に必要な情報処理能力・注意力・判断力などが低下します。

警察庁は、酒気帯び運転を呼気中アルコール濃度0.15mg/l以上、酒酔い運転を呼気中アルコール濃度0.5mg/l以上またはアルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態としています。罰則は運転者本人だけにとどまりません。車両を提供した人、酒類を提供した人、同乗した人にもそれぞれ罰則が定められています。

参考:みんなで守る「飲酒運転を絶対にしない、させない」|警察庁

避けるべき飲酒についても示されています。

厚生労働省のガイドラインは、避けるべき飲酒として一時多量飲酒を挙げています。1回の飲酒機会で純アルコール摂取量が60g以上になる飲み方は、外傷の危険性も高めるため避けるべきだとされています。特に短時間の多量飲酒は、急性アルコール中毒を引き起こす可能性があります。いわゆる一気飲みは、この一時多量飲酒に直結する飲み方です。

他人への飲酒の強要等も、避けるべき行動のひとつです。飲酒は様々なリスクを伴う可能性があるものであり、他人に無理な飲酒を勧めることは避けるべきだとされています。

このほか、避けるべき場合として次のようなものが示されています。

  • 妊娠中・授乳期中の飲酒
  • 体質的にお酒を受け付けられない人の飲酒
  • 病気等の療養中の飲酒や、服薬後の飲酒
  • 飲酒中または飲酒後の運動・入浴

飲酒の可否については、かかりつけ医に相談することが有用だとも記載されています。

日本酒造組合中央会も、20歳になってから飲むこと・おいしく適量を楽しむこと・飲酒運転をしないことを呼びかけています。

使い切れないボトルをどうするか|保管と手放す判断

日本酒ハイボールは、飲みきれずに残っていた一本を消費する方法としても紹介されがちです。ただし、開封したお酒には時間の制約があります。

未開封の日本酒は、直射日光を避け、温度変化の少ない場所で保管するのが基本です。紫外線や高温は香味に影響します。生酒や生貯蔵酒など加熱処理を経ていないタイプは、冷蔵での保管が前提になります。ラベルや裏面に保存方法の記載があれば、そちらに従ってください。

問題になりやすいのが、贈答や引出物で受け取ったまま置いてある未開封のボトルです。数年単位で常温の棚に置かれた日本酒は、色が濃くなり香りも変わっていきます。飲む予定がないのであれば、状態が変わりきる前に判断したほうが選択肢は残ります。

未開封で状態のよい日本酒や、限定流通の銘柄は、買取の相談先があります。査定で見られるのは、未開封であることや瓶とラベルの状態・化粧箱の有無・保管環境などです。製造年月はラベルに記載されているため、写真を撮る際は表と裏の両方を撮っておくと話が早く進みます。年による評価の考え方は、ワインの当たり年とヴィンテージ評価が参考になります。

なお、酒類の売買には決まりがあります。個人が不要になったお酒を古物商許可の確認を含めた買取業者の選び方を踏まえて引き取ってもらうことは可能ですが、自家製の混和酒を販売することはできません。この点は先に触れたとおりです。

ウイスキーやブランデーなど他の酒類とあわせて整理する場合は、ウイスキーのシングルモルトとは何かブランデーのランクと等級の意味のように、種類ごとの見方を知っておくと選別しやすくなります。

よくある質問

日本酒ハイボールの比率はどれくらいがよいですか

日本酒造組合中央会は、氷をたっぷり入れたグラスに日本酒を半分注ぎ、ソーダを同量加える作り方を紹介しています。まず1対1で試してから、好みに合わせて調整するとよいでしょう。

炭酸で割るとアルコールは薄まりますか

飲み口の度数は下がりますが、注いだ日本酒の量が同じであれば体に入る純アルコール量は変わりません。純アルコール量は「摂取量(ml)×アルコール濃度(度数÷100)×0.8」で計算します。量の管理は、割る前の日本酒を何ml注いだかで考えてください。

どんな日本酒でも炭酸で割れますか

法令上の制限はありません。ただし味の印象は銘柄によって変わります。香りの華やかなタイプと、米の味が前に出るタイプでは、炭酸を足したときの感じ方が異なります。まずは手元の一本を少量で試してみるのがよいでしょう。

家で日本酒に炭酸水を混ぜても法律上問題はありませんか

飲む直前にその場で割って飲みきる形であれば、酒税法上の「消費の直前において混和」した場合にあたります。一方で、混ぜたものを販売することはできません。漬け込みタイプの自家製については、アルコール分20度以上の課税済み酒類という条件があり、日本酒は対象外です。

開封した日本酒はどれくらいで飲みきるべきですか

明確な期限を定めた公的な基準は確認できませんでした。日本酒には賞味期限の表示義務がなく、代わりに製造年月が記載されています。開封後は空気に触れて香味が変化していくため、早めに飲みきるか、冷蔵で保管したうえで様子を見ながら判断してください。

まとめ

日本酒ハイボールは、日本酒を炭酸水で割った飲み方です。日本酒造組合中央会は、氷を入れたグラスに日本酒を半分注ぎ、同量のソーダを加える作り方を紹介しています。炭酸で割っても純アルコール量そのものは減りません。20歳未満の飲酒と飲酒運転は法律で禁じられており、一気飲みのような一時多量飲酒も避けるべきだとされています。飲む予定のない一本が残っているなら、状態が変わる前にご相談ください。

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