三国志記念硬貨とは?発行元の確認方法と手放す前の注意点
譲り受けた品のなかに、劉備や関羽が刻まれたコインが混ざっていることがあります。ところが調べ始めると、情報源によって書いてある内容が食い違い、判断に困りがちです。そこでこの記事では、三国志記念硬貨と呼ばれるものが何を指すのかを整理します。発行元を自分で確かめる手順と、手放す前に押さえておきたい点もまとめます。
三国志記念硬貨とは|言葉が指す範囲を整理します
「三国志記念硬貨」は、どこかの国が定めた正式な貨幣名ではありません。三国志の登場人物や名場面を題材にした金属製の円形の品を、まとめてそう呼んでいるだけの通称です。
この呼び方でくくられているものには、性格の異なる複数の品が混ざっています。ひとつは、中央銀行が通貨として発行した記念幣です。もうひとつは、民間の企業や団体が製造・販売した記念メダルにあたります。
両者は見た目が似ていても、法律上の位置づけがまったく違います。額面が刻まれ、発行国の中央銀行が公告を出しているものは通貨です。一方、民間のメダルは通貨ではなく、金属製品として扱われます。
最初にやるべきことは、手元の品がどちらなのかを切り分ける作業です。この切り分けを飛ばして相場だけを調べても、答えにはたどり着けません。
なお本記事では、特定の記念幣の発行年・発行枚数・品位・重量といった数値は扱いません。理由は後の見出しで説明します。
三国志が題材として選ばれやすいのには、それなりの背景があります。日本でも中国でも物語として広く親しまれており、人物の顔立ちや場面の構図がすでに共有されているためです。図案にしたときに伝わりやすく、記念性を持たせやすい題材といえるでしょう。
その分だけ、同じ題材を扱った品が複数の作り手から出ています。劉備や関羽が刻まれているという理由だけで、同じ種類の品だと考えないほうが安全です。
また、日本国内でも三国志を題材にしたメダルや記念品が数多く作られてきました。国内で製造されたものであれば、外国の記念幣とは調べ先そのものが変わります。刻印に外国の国名が見当たらないなら、国内製の可能性から検討してみてください。
中国の記念幣はどのように位置づけられているか
中国が発行する記念幣の枠組みは、「中華人民共和国人民幣管理条例」という国務院の法規で定められています。中国政府網が公表している条文から、要点を確認しておきましょう。
第十八条は、中国人民銀行が必要に応じて記念幣を発行できると定めています。そのうえで、記念幣とは特定のテーマを持つ限定発行の人民元であり、普通記念幣と貴金属記念幣を含むものだと説明しました。
第十九条では、記念幣のテーマ・額面・図案・材質・様式・規格・発行数量・発行時間などを中国人民銀行が決めると規定されています。さらに、これらを公告しなければならないという義務も課されました。テーマが重大な政治・歴史題材にかかわる場合は、国務院の承認が必要です。
ここから分かることは2つあります。中国の貴金属記念幣は、装飾品ではなく人民元という通貨の一種だという点が1つ目です。2つ目は、発行数量を含む仕様が中国人民銀行の公告によって確定するという点になります。
つまり、正確な仕様を知りたいのであれば、当たるべき情報源は中国人民銀行の公告だけです。販売サイトや個人の記事に書かれた数値は、根拠をたどれない限り確認済みの情報とはいえません。
参考:纪念币发行|中国人民銀行
発行枚数や品位を本記事に書かない理由と、自分で確認する手順
中国人民銀行のウェブサイトには、記念幣の発行に関する公告が掲載されています。ただし、そこで確認できるのは近年の公告が中心です。三国志を題材にした記念幣に関する公告は、執筆時点で見つけられませんでした。
一次情報が取れていない以上、発行年・発行枚数・品位・重量といった数値をこの記事に書くことはできません。数値が一人歩きすると、売買の判断そのものを誤らせてしまうためです。
そこで、読者ご自身で確認していただく手順を示します。次の順番で進めてください。
1つ目は、中国人民銀行の公告欄を確認する作業です。品名や年から該当する公告を探します。
2つ目は、付属している証明書の確認になります。発行機関の名称・額面・材質・規格が記載されているかを見てください。
3つ目は、実測です。デジタルスケールとノギスがあれば、重量と直径は自分でも測れます。証明書の記載と実測値が食い違う場合は、扱いを慎重にしたほうがよいでしょう。
4つ目として、複数の買取事業者に実物を見てもらう方法があります。書類だけでは判断できない部分を、経験のある鑑定者に確認してもらう形です。
この手順を踏むと、確認できた事実と推測とを分けて考えられるようになります。売却の判断は、確認できた事実の上に置いてください。
また、インターネット上には同じ数値が複数のページに転載されていることがあります。数が多いからといって、裏が取れたことにはなりません。どこの公告に基づく数値なのかをたどれるかどうかが、判断の分かれ目です。
法定通貨のコインか記念メダルかを見分ける
切り分けの目安を表にまとめます。すべてが当てはまるとは限りませんが、判断の入り口として使えます。
| 確認する項目 | 通貨として発行されたコイン | 民間発行の記念メダル |
|---|---|---|
| 額面の表示 | 通貨単位と数字が刻まれている | 額面がない、または純度表記のみ |
| 発行主体 | 発行国の中央銀行など公的機関 | 企業・団体・販売会社 |
| 発行の公告 | 中央銀行などが公告を出している | 公告は存在しない |
| 国名の表記 | 発行国の国名が刻まれている | 国名がない場合が多い |
| 付属する書類 | 発行機関の名で仕様が示される | 販売元が発行した証明書 |
額面の有無は、もっとも分かりやすい手がかりです。表面か裏面に通貨単位と数字が並んでいれば、通貨として発行された可能性が高いと考えられます。
反対に、額面がなく「純金」「999」といった表記だけであれば、メダルや地金製品の可能性を検討してください。どちらであっても価値がないという意味ではありません。評価の物差しが変わるだけです。
日本国内での扱い|外国の記念貨幣は日本の法貨ではありません
日本の記念貨幣については、財務省が明快に説明しています。記念貨幣は「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」において貨幣と定められているため、すべて通常の貨幣と同じように使えます。
ただし素材や大きさが通常の貨幣と異なるため、自動販売機では使えないことがあります。使用したい場合は、金融機関の窓口で通常の貨幣と引き換える流れになります。
参考:過去に発行された記念貨幣は、現在でもお金として使えますか|財務省
一方、外国の中央銀行が発行した記念幣は、その国の通貨制度のもとで通用するものです。日本国内の店舗で額面のまま支払いに使えるわけではありません。
日本の記念貨幣かどうかを確かめたいときは、財務省と造幣局が公開している記念貨幣一覧が役に立ちます。ここに載っていなければ、日本が発行したものではないと判断できます。
参考:記念貨幣一覧|財務省
参考:記念貨幣一覧|造幣局
純度をどう確かめるか|刻印と造幣局のホールマーク
金や銀を含む品では、純度の確認が欠かせません。ここで頼りになるのが、造幣局が行っている品位証明の制度です。
造幣局は、公的な第三者として、貴金属製品の製造や販売をしている事業者の依頼に応じて品位試験を行っています。試験に合格したものには証明記号が打刻され、これが通称「ホールマーク」と呼ばれます。
ホールマークのデザインは、日本の国旗と、ひし形の中に千分率で純度を示す数字を組み合わせたものです。任意の制度であるため、市販の貴金属製品にマークがないことも珍しくありません。
注意したいのは、K18やPt900といった刻印が造幣局の証明記号ではないという点です。造幣局はカラット表示の刻印を行っていません。
造幣局が公表している金製品の品位証明区分と、カラット表示の対応は次のとおりです。
| 造幣局の品位証明区分(千分率) | カラット表示 |
|---|---|
| 999 | K24 |
| 916 | K22 |
| 750 | K18 |
| 585 | K14 |
| 416 | K10 |
| 375 | K9 |
海外で製造された品に、日本の造幣局のホールマークが入っていることは基本的にありません。したがって刻印だけで純度を確定させることは難しく、実測や専門的な検査と組み合わせて判断する必要があります。
売却を検討するときの準備と税金
手放すと決めたら、準備しておくと話が早く進むものがあります。
まず本人確認書類です。犯罪による収益の移転防止に関する法律により、古物である貴金属等の売買を行う古物商は特定事業者として、本人特定事項の確認義務や疑わしい取引の届出義務を負っています。
次に、付属品をそろえてください。ケース・証明書・外箱・購入時の書類は、いずれも判断材料になります。
そのうえで、表面を磨いたり洗ったりしないでください。金属の表面に傷が付くと、元に戻せません。汚れているように見えても、そのまま持ち込むほうが無難です。
税金についても押さえておきましょう。貴金属や宝石、書画骨とうなどのうち1個または1組の価額が30万円を超えるものは、生活用動産の非課税から除かれます。これらを譲渡した所得は譲渡所得の課税対象です。
参考:No.3105 譲渡所得の対象となる資産と課税方法|国税庁
金地金を売ったときの所得は、原則として譲渡所得となり、他の所得と合わせて総合課税の対象になります。所有期間が5年を超える場合は長期譲渡所得として扱われ、譲渡益から特別控除50万円を差し引いた金額の2分の1が課税対象です。
具体的な取り扱いは、その品が貨幣なのか金地金なのか、あるいは骨とう品なのかによって変わります。金額が大きくなりそうな場合は、事前に税務署や税理士へ相談しておくと安心です。
セットで所有している場合の扱いにも触れておきます。国税庁の説明では、非課税の判定が「1個または1組」の価額でなされます。ばらばらに売るか、まとめて売るかで判断が変わる余地があるため、売り方を決める前に確認しておくとよいでしょう。
売却の記録を残しておくことも大切です。取得したときの価格が分かる書類が残っていれば、譲渡所得の計算で取得費として使えます。相続で受け継いだ品は、被相続人が取得したときの資料をたどれるかどうかが鍵になります。
よくある質問
三国志記念硬貨は日本の店で使えますか
外国の中央銀行が発行した記念幣であれば、日本国内で額面のまま支払いに使えるものではありません。日本で貨幣として通用するのは、日本の法律に基づいて発行された貨幣と日本銀行券です。
発行枚数や純度はどこで調べればよいですか
中国人民銀行が発行した記念幣であれば、同行が出した公告が根拠になります。同行のウェブサイトにある記念幣発行の欄を確認してください。公告が見つからない場合、数値は確定していないものとして扱うのが安全です。
付属の証明書があれば本物といえますか
証明書は判断材料のひとつにすぎません。発行機関の名称と記載内容が、公告や実測値と一致しているかを確かめてください。書類と現物の情報が食い違う場合は、取引を急がないほうがよいでしょう。
汚れているので磨いてから売りたいのですが
磨かないでください。金属の表面には製造時の仕上げが残っており、研磨するとその状態が失われます。評価を下げる原因になり得ます。
買取を依頼する事業者はどう選べばよいですか
古物商許可を持っているかを最初に確認してください。そのうえで、査定額の根拠を説明してもらえるかどうかを見るとよいでしょう。複数の事業者に相談し、内容を比べる方法が現実的です。
まとめ
三国志記念硬貨と呼ばれるものには、中央銀行が発行した記念幣と、民間が製造した記念メダルが混在しています。まずは額面の有無と発行主体を確かめ、どちらにあたるのかを切り分けてください。中国の記念幣であれば、仕様は中国人民銀行の公告が根拠になります。当社では現物と付属書類の両方を拝見したうえで判断していますので、磨かず、付属品をそろえた状態でご相談ください。