10円玉で価値のある年号|製造枚数から徹底解説
財布の中の10円玉に、年号によっては価値が変わるものがあると聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。10円玉の価値を左右する大きな要素が、その年に何枚つくられたかという製造枚数です。数が少ない年号ほど、現存する枚数も限られ、収集の対象として注目されます。この記事では、造幣局が公表している年別の製造枚数をもとに、価値が注目される10円玉の年号を一覧で整理し、年号ごとの買取価格の目安や見分け方、手放すときの注意までをくわしく解説します。
10円玉の価値を決めるのは製造枚数の少なさ
同じ10円玉でも年号によって扱いが変わるのは、年ごとの製造枚数に大きな差があるからです。造幣局は、貨幣を種類ごと・年ごとに何枚つくったかという「年銘別貨幣製造枚数」を公表しています。
このデータで製造枚数が少ない年号は、市場に出回った数そのものが少なく、年月を経て残っている枚数も限られます。この希少性が、額面を超えた価値につながる背景です。数億枚もつくられた年号は、いま探しても見つかりやすいため、価値の面では注目されにくくなります。
10円玉そのものについても、基本を押さえておきましょう。現在の10円青銅貨は昭和26(1951)年に発行が始まり、素材は発行以来かわることなく青銅で、直径は23.5mmです。
参考:「貨幣Q&A」|造幣局
10円玉の見た目の違いは素材ではなく、縁のギザや年号に表れます。ここが年号を読み解くうえでの手がかりになります。
なお、10円玉は硬貨である以上、支払いに使える枚数に上限があります。財務省の説明によると、貨幣は「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」により、額面価格の20倍までを限り法貨として通用するとされています。10円玉であれば、一度の支払いで受け取りを拒めないのは200円分までという計算です。
参考:「お金には使用できる枚数の制限があるのですか」|財務省
価値が注目される10円玉の年号【一覧】
はじめに、価値が注目されやすい年号を製造枚数とあわせて整理します。数値は造幣局の年銘別貨幣製造枚数(令和7年銘)にもとづくものです。
| 年号 | 製造枚数 | 特徴 |
|---|---|---|
| 昭和31(1956)年 | 0枚 | 製造されておらず、この年号は存在しない |
| 昭和33(1958)年 | 約2500万枚 | ギザ十で最少かつ最終年。もっとも注目される |
| 令和5(2023)年 | 約2793万枚 | 全年で2番目に少ない。流通したばかりの年号 |
| 昭和32(1957)年 | 5000万枚 | ギザ十のなかで少なめ |
| 昭和34(1959)年 | 6240万枚 | ギザがなくなった最初の年 |
| 昭和61(1986)年 | 約6896万枚 | 昭和のギザなしでは少ない部類 |
| 昭和64(1989)年 | 約7469万枚 | 改元があった短い年号 |
| 平成25(2013)年 | 約1億89万枚 | 平成のなかでは少なめ |
| (参考)昭和49(1974)年 | 約17億8000万枚 | ごく一般的な年の例 |
参考として挙げた昭和49年と、最少の昭和33年を比べると、70倍以上の開きがあります。この差が、年号による扱いの違いを生んでいます。以下で、それぞれの年号をくわしく見ていきます。
ギザ十(昭和26〜33年)とは
価値のある10円玉を語るうえで欠かせないのが、通称「ギザ十」です。縁にギザギザの刻みがある10円玉を指します。
このギザは、昭和26(1951)年に10円青銅貨が発行された当時、10円が最も高い額面の貨幣だったことなどから付けられたものです。もともとギザは、貴金属の貨幣で縁を削り取られるのを防ぐためや、当時もっとも額面の高い貨幣であることを示すために付けられてきました。
昭和32(1957)年に100円銀貨が発行されると、10円玉と100円玉の区別がつきにくくなりました。この経緯から昭和34(1959)年以降、10円玉の縁のギザはなくなりました。
参考:「貨幣Q&A」|造幣局
縁にギザがあれば昭和26〜33年のもの、なければ昭和34年以降のものと、おおまかな年代を見分けられます。ギザ十が昭和26〜33年の8年間だけに限られる点が、注目される理由のひとつです。
ギザ十8年間の製造枚数【全年一覧】
ひとくちにギザ十といっても、年によって製造枚数は大きく異なります。造幣局のデータで、8年間の枚数を並べると次のようになります。
| 年号 | 製造枚数 |
|---|---|
| 昭和26(1951)年 | 約1億107万枚 |
| 昭和27(1952)年 | 約4億8663万枚 |
| 昭和28(1953)年 | 約4億6630万枚 |
| 昭和29(1954)年 | 約5億2090万枚 |
| 昭和30(1955)年 | 約1億2310万枚 |
| 昭和31(1956)年 | 0枚 |
| 昭和32(1957)年 | 5000万枚 |
| 昭和33(1958)年 | 2500万枚 |
同じギザ十でも、昭和27〜29年は4億〜5億枚とたくさんつくられています。ギザ十だからといって、すべてが希少なわけではありません。少ないのは、昭和32年と昭和33年、そして次に述べる昭和31年です。
なお、造幣局の集計では、ギザ十の8年間で製造された10円青銅貨(ギザ付)の合計は約17億7300万枚です。全体の数としては決して少なくないため、ギザ十を見つけたこと自体が希少というわけではない点も押さえておくとよいでしょう。
なぜ昭和33年のギザ十が別格なのか
ギザ十のなかで、とりわけ注目されるのが最終年の昭和33(1958)年です。
製造枚数は2500万枚で、ギザ十のなかで最も少なくなっています。もっとも多い昭和29年の約5億2090万枚と比べると、20倍以上の差があります。ギザ十の最後の年であることと、この製造枚数の少なさが重なり、集めるうえで意識されやすい年号になっています。
昭和31年の10円玉は存在しない
年号にまつわる知識として、昭和31(1956)年が挙げられます。造幣局のデータでは、昭和31年の10円玉の製造枚数は0です。昭和31年という年号の10円玉は、そもそもつくられていません。
手持ちの10円玉を探しても昭和31年が見つからないのは、このためです。存在しない年号を知っておくと、年号を確認するときの参考になります。
ギザなし(昭和34年以降)で少ない年号
ギザがなくなった昭和34年以降にも、製造枚数が比較的少ない年号があります。
造幣局のデータでは、ギザがなくなった最初の年である昭和34(1959)年が6240万枚で、昭和のギザなしのなかでは少ない部類です。昭和61(1986)年は約6896万枚、昭和64(1989)年は約7469万枚でした。昭和64年は、年の初めの短い期間に改元があった年号です。
平成に入ってからでは、平成25(2013)年が約1億89万枚と、周辺の年に比べて少なめになっています。
令和に入ってからも、製造枚数の少ない年があります。令和5(2023)年の10円玉は約2793万枚で、これは昭和33年に次いで2番目に少ない数値です。キャッシュレス決済の広がりを背景に、近年は硬貨の製造枚数そのものが減っている点が表れています。
ただし、令和5年の10円玉は発行から日が浅く、いま流通しているものです。製造枚数が少ないことと、収集の対象として評価が固まっていることは別の話になります。年号の希少さがそのまま買取価格に反映されるとは限らない点は、押さえておいたほうがよいでしょう。
ギザがなくても、年号によっては少ないものがある。この見方を持っておくと、手元の10円玉を確認する範囲が広がります。同じ考え方は他の硬貨にも当てはまるため、100円玉で価値のある年号や5円玉のレアな年号もあわせて確認してみてはいかがでしょうか。
10円玉の年号別買取価格の目安
年号を確認したら、次に気になるのが実際の金額です。10円玉の買取価格には公的に定められた基準がなく、古銭の買取業者が公開している価格が手がかりになります。複数の買取業者の公開情報を2026年9月時点で調査したところ、次のような金額が示されていました。
| 年号 | 使用済み(状態が比較的よいもの) | 未使用品 |
|---|---|---|
| 昭和26(1951)年 | 15〜20円程度 | 6万円前後 |
| 昭和27(1952)年 | 11〜15円程度 | 1万8000円前後 |
| 昭和28(1953)年 | 12〜20円程度 | 1万8000円前後 |
| 昭和29(1954)年 | 11〜20円程度 | 1万8000円前後 |
| 昭和30(1955)年 | 15〜20円程度 | 2万5000円前後 |
| 昭和32(1957)年 | 25〜30円程度 | 4万円前後 |
| 昭和33(1958)年 | 70円前後 | 5万円前後 |
参考:「ギザ10の価値は 使用品やレアな年号の買取価格も解説」|うるココ(株式会社ULTRA WIDE)
参考:「ギザ十の価値やレア度、値段は 売るならどこがいい」|高く売れるドットコムマガジン(株式会社マーケットエンタープライズ)
(※上記は古銭の買取業者が公開している買取価格を2026年9月時点で調査した目安です。公的に定められた価格ではなく、状態・需要・査定を受ける時期によって変わります)
この表からわかるのは、価格差を生んでいるのが年号だけではないという点です。使用済みの10円玉は、どの年号でも数十円の範囲におさまっています。一方で未使用品になると、1万円台から6万円前後まで開きが出ます。
年号ごとに見ると、製造枚数が最も少ない昭和33年の未使用品が5万円前後、昭和32年が4万円前後と高めです。ここまでは製造枚数の順と一致します。ところが未使用品でもっとも高い金額が示されているのは、製造枚数が約1億107万枚の昭和26年でした。発行初年で、当時は未使用のまま保管する習慣が広まっていなかったため、状態のよいものが残りにくいという事情が影響していると考えられます。
ギザなしの年号についても、買取業者の公開情報では未使用品に金額がつく例が示されています。
| 年号 | 買取価格の目安 |
|---|---|
| ギザ十(昭和26〜33年)の未使用品 | 1万円以上 |
| ギザ十の準未使用以下 | 買取対象外とする業者もある |
| 昭和61(1986)年の後期デザイン | 買取実績として1万円の例あり |
| 昭和34(1959)年の未使用品 | 数千円程度 |
参考:「10円玉(ギザ10)の買取価格」|古銭買取専門店アンティーリンク
参考:「10円玉で価値のある年号一覧」|骨董・古美術 日晃堂
金額の幅が大きいのは、状態の評価が業者ごとに分かれるためです。実際にいくらになるかは、査定を受けて確認するのがおすすめです。
状態が価値を左右する理由
年号よりも大きく金額を動かすのが、硬貨の状態です。買取業者の公開情報でも、使用済みと未使用品では数千倍の差が示されていました。
ここでいう未使用品とは、製造されてから一度も流通せず、当時のまま保管されてきたものを指します。財布や貯金箱に入っていたものは、たとえ傷が目立たなくても未使用品としては扱われません。アンティーリンクの案内でも、発行当時から丁寧に保管されていたものが未使用品の対象とされています。
未使用品には、製造時の光沢が残っています。流通した硬貨は、他の硬貨とぶつかることで細かい傷がつき、この光沢が失われます。この違いが、査定での区分につながります。
気になるのは、汚れやくすみをどう扱うかという点です。磨いたり洗ったりして見た目をきれいにする対処は、避けたほうがよいでしょう。表面に細かい傷が残り、かえって状態の評価を下げてしまうことがあります。くわしくは古銭は洗浄していいのかで整理しています。
手元の10円玉を見分ける3ステップ
価値が注目される年号かどうかは、手元でも確認できます。次の3つの順で見ていきましょう。
まず、製造年を確認します。10円玉の裏面(漢数字の「十」がある面)に刻まれた年号を読みます。ここで昭和26〜33年であれば、ギザ十の可能性があります。
次に、縁のギザを確認します。縁を指でなぞって、ギザギザがあるかを確かめます。ギザがあれば昭和33年以前、なければ昭和34年以降です。年号とギザの有無が合っているかを見比べると、より確実です。
最後に、状態を確認します。傷や汚れが少なく、未使用に近いものほど、収集の対象としては評価されやすくなります。同じ年号でも、状態によって見方が変わります。汚れが気になっても、こすって落とそうとせず、そのままの状態で確認するのがおすすめです。
手放すときにどう評価されるか
年号と状態を確認したうえで、手放すことを考える段階に進みます。査定でどのように見られるかを知っておくと、結果を受け止めやすくなります。
査定では、年号・状態・付属品の3点が主に見られます。年号は製造枚数の少なさを示す情報として、状態は未使用かどうかの判断材料として扱われます。貨幣セットやミントセットに入ったままの10円玉は、未使用の状態が保たれている裏づけになるため、ケースや外箱ごと持ち込むと評価が伝わりやすくなります。
売り先としては、古銭を専門に扱う買取店のほか、コレクター向けのフリマアプリなどもあります。専門店は年号や状態を踏まえて見てもらいやすく、フリマは欲しい人に直接届けられる利点があります。手元の枚数や手間のかけ方に合わせて選ぶとよいでしょう。売却先ごとの違いはプレミア硬貨はどこで売るかで整理しています。
注意しておきたいのは、製造枚数が少ないことが、そのまま高い金額を約束するわけではないという点です。実際の評価は状態や需要によって変わります。年号だけで判断せず、状態とあわせて見ることが大切です。いずれの場合も、複数の見積もりを比べると、納得して手放しやすくなります。
10円玉は額面どおり10円としていつでも使えます。そのうえで、コレクションとしての価値を知りたい場合は、古銭やコインの買取に対応した専門店で査定を受けるのがひとつの方法です。
よくある質問
いちばん価値が注目される10円玉の年号はどれですか
製造枚数の面では、ギザ十の最終年である昭和33年(2500万枚)が最も少なく、注目されやすい年号です。買取業者の公開情報では、未使用品で5万円前後という金額が示されていました。使用済みの場合は70円前後にとどまるため、実際の評価は状態にも大きく左右されます。
ギザ十はいくらで売れますか
2026年9月時点で調査した買取業者の公開情報では、未使用品で1万8000円から6万円前後、使用済みで11円から70円程度という金額が示されていました。年号(製造枚数)と状態の両方で変わるため、具体的な金額は古銭・コインの買取に対応した専門店で査定を受けて確認するのがおすすめです。
なぜ昭和31年の10円玉はないのですか
造幣局のデータでは、昭和31年の10円玉は製造枚数が0です。その年に10円玉がつくられなかったため、昭和31年という年号の10円玉は存在しません。
ギザ十なら、どの年でも価値がありますか
ギザ十でも年によって製造枚数は大きく異なります。昭和27〜29年は4億〜5億枚とたくさんつくられており、少ないのは昭和32年・昭和33年などです。8年間の合計は約17億7300万枚にのぼるため、ギザの有無だけでなく、年号と状態もあわせて確認するとよいでしょう。
平成や令和の10円玉に価値はありますか
平成25年が約1億89万枚、令和5年が約2793万枚と、周辺の年より少ない年号があります。令和5年は昭和33年に次いで少ない数値です。ただし発行から日が浅く流通しているものであるため、現時点で買取価格が示されている例は見当たりません。年号と状態を確認したうえで判断することが大切です。
まとめ
10円玉で価値が注目される年号は、製造枚数の少なさで見分けられます。ギザ十(昭和26〜33年)のなかで最少の昭和33年、製造のなかった昭和31年、そして令和5年は覚えておきたい年号です。買取業者の公開情報では、ギザ十の未使用品に1万8000円から6万円前後という金額が示される一方、使用済みは数十円にとどまります。年号と同じくらい状態が評価を分けるということです。手元の10円玉の年号とギザ、状態を確認し、価値が気になる場合は専門店の査定を検討してみてはいかがでしょうか。