ギターチューニングの基本|各弦の音とチューナーの使い方
ギターを買ったものの、チューニングのやり方がわからず戸惑う方もいるのではないでしょうか。弦の音が合っていないと、コードを正しく押さえてもきれいに響きません。この記事では、ギターチューニングの基本として、各弦の音名や周波数、チューナーの種類と使い方、ペグの回し方、音が安定しないときの対処、レギュラー以外のチューニングまでを順に解説します。
ギターチューニングとは
チューニングは、ギターの各弦を決められた音の高さに合わせる作業です。もっとも一般的な合わせ方をレギュラーチューニング、または標準チューニングと呼びます。6弦から1弦に向かって、E・A・D・G・B・Eの順に合わせ、頭文字を並べて「EADGBE」と表記します。
6弦がもっとも太く、低い音が出ます。1弦に近づくほど弦は細くなり、音は高くなります。6弦のEはギターで出せるもっとも低い開放弦の音で、1弦のEはその2オクターブ上にあたります。まずはこの並びと音名を覚えておくと、チューニングの作業がわかりやすくなります。
各弦の音名と、A=440Hzを基準にしたおおよその周波数は次のとおりです。
| 弦 | 音名 | 読み | 周波数(A=440Hz基準) |
|---|---|---|---|
| 6弦 | E | ミ | 82.41Hz |
| 5弦 | A | ラ | 110.00Hz |
| 4弦 | D | レ | 146.83Hz |
| 3弦 | G | ソ | 196.00Hz |
| 2弦 | B | シ | 246.94Hz |
| 1弦 | E | ミ | 329.63Hz |
音名と音の高低の関係がつかめると、チューナーの表示を見たときにどちらへ動かせばよいかも判断しやすくなります。
参考:「ギターの弦の順番と名前を覚える」|Fender News
チューニングの基準になるピッチ(A=440Hz)
チューニングでは、基準になる音の高さをどこに置くかを最初に決めます。国際的な基準は、A(ラ)の音を440Hzとするもので、国際標準化機構にISO 16として定められています。市販されているチューナーの多くは、初期状態でこの440Hzに設定されています。
一部のチューナーには、基準ピッチを1Hz単位で変えられるキャリブレーション機能があります。日本では442Hzを使う現場もあり、ピアノや管楽器と合わせて演奏する場合は、相手の基準に合わせて調整します。ひとりで練習する場合は、440Hzのままで問題ありません。数値の意味を知っておくと、他の楽器と音がかみ合わないときに原因を切り分けやすくなります。
参考:ISO 16:1975 Acoustics — Standard tuning frequency
チューニングに使うチューナーの種類
音を正確に合わせるには、チューナーを使う方法が手軽です。表示を見ながら合わせられるため、耳だけで判断するより失敗が少なくなります。現在よく使われているのは、クリップ式・ペダル式・スマートフォンアプリの3種類です。あわせて、対応する音の範囲による違いも知っておくとよいでしょう。
クリップ式チューナー
クリップ式は、ギターのヘッドに挟んで使うタイプです。弦やボディの振動を直接拾うため、周囲の音がある場所でも合わせやすい特徴があります。アコースティックギターとエレキギターのどちらでも使え、価格も手ごろなことから、最初の1台として選ばれることの多いタイプです。
ペダルチューナー
ペダルチューナーは、エレキギターやエレキベースをシールドでつないで使う、足元に置くタイプです。ペダルを踏むと音の出力を止めながらチューニングできる製品もあり、ライブの演奏中に音を客席へ出さずに調整できます。表示が大きく、暗いステージでも見やすい点も特徴です。
スマートフォンアプリ
チューナーアプリは、スマートフォンのマイクで音を拾って合わせるタイプです。追加の機材がいらず、手元にスマートフォンがあればすぐに使えます。マイクで拾うしくみのため、静かな場所での使用に向いています。まず試してみたい場合の入り口として使いやすい選択肢です。
クロマチックチューナーとの違い
チューナーには、ギターの6本の開放弦の音だけを判別するタイプと、12の半音すべてに対応するクロマチックチューナーがあります。半音下げやドロップDのようなレギュラー以外のチューニングでは、♭や#の音を表示できるクロマチックチューナーが向いています。今から選ぶなら、クロマチック対応のモデルにしておくと幅広く使えます。
チューニングの手順とペグの回し方
チューナーを用意したら、6弦から順に合わせていきます。基本の流れは次のとおりです。
1つ目に、チューナーの電源を入れ、基準ピッチが440Hzになっているか確認します。2つ目に、合わせたい弦の開放弦をはっきりと鳴らします。3つ目に、チューナーの表示を見ながらペグを回し、目標の音に近づけます。4つ目に、針が中央、または表示が緑になった位置で止めます。この流れを6弦から1弦まで繰り返します。
ペグは、回す向きで弦の張りが変わります。強く張ると音は高くなり、緩めると低くなります。合わせるときは、目標より少し低いところから弦を締めながら合わせると、音が安定しやすくなります。目標より高くなった場合は、いったん下げてから締め直すとよいでしょう。ペグを回す向きは、ヘッドの形やペグの位置によって変わるため、表示の動きを見ながら確認します。
1本を合わせると、隣の弦の張力が変わって別の弦がわずかにずれます。全体を2周ほど確認すると、6本の音がそろいます。慣れないうちは時間がかかりますが、順番を守って繰り返すうちに手早くできるようになります。
参考:「サウンドを左右する「チューニングペグ」とは?」|Fender
参考:「ギターのチューニングについて」|Fender News
レギュラー以外のチューニングの種類
レギュラーチューニング以外にも、曲や演奏スタイルに合わせた合わせ方があります。これらはオルタナティブチューニング、または変則チューニングと呼ばれます。代表的なものは次のとおりです。
| 名称 | 各弦(6弦→1弦) | 特徴 |
|---|---|---|
| 半音下げ | E♭ A♭ D♭ G♭ B♭ E♭ | 全弦を半音下げる。太めの音になり、ボーカルの音域に合わせやすい |
| ドロップD | D A D G B E | 6弦だけ1音下げる。パワーコードを押さえやすく、ロックやメタルで使われる |
| オープンD | D A D F# A D | 開放弦を鳴らすとDコードになる。スライド奏法やブルースで使われる |
半音下げは、すべての弦を半音ずつ下げる合わせ方です。レギュラーより少しゆるい響きになり、歌に合わせてキーを下げたい場合にも使われます。ドロップDは、6弦のEだけをDまで下げる合わせ方です。6弦から3本を1本の指で押さえてパワーコードが鳴らせるため、ロック系の曲でよく登場します。オープンDは、開放弦をそのまま鳴らすとDメジャーコードになる合わせ方で、指を弦の上に置くスライド奏法と相性のよいチューニングです。
これらのチューニングでは、♭や#の音を表示できるクロマチックチューナーを使うと合わせやすくなります。まずはレギュラーで音合わせに慣れてから、少しずつ試してみるとよいでしょう。
参考:「ドロップDチューニングについて」|Fender News
参考:「オープンDチューニングについて」|Fender News
参考:「ロックスターが愛用するオルタナティブチューニング」|Fender News
チューニングが安定しないときに確認したいこと
チューニングを合わせても、弾いているうちに音がずれてしまう場合があります。原因は弦だけでなく、ギターの各部にあることも少なくありません。よくある原因と対処を整理します。
はじめに多いのが、弦の劣化です。長く張ったままの弦は、伸びや傷み、サビによって音程が安定しにくくなります。使用頻度にもよりますが、1~2か月を目安に張り替えると、音の狂いが起きにくくなります。
次に、弦の巻き方です。ペグに弦を巻きつける回数が少なかったり、巻きが不均一だったりすると、弾いているうちに緩んで音が下がります。ペグの穴から出た弦を、上から下へ2~3回ほど均等に巻きつけると、緩みにくくなります。
ナットの引っかかりも、狂いの原因になります。弦がナットの溝でスムーズに動かないと、チョーキングやアーム操作のあとに音が戻りきりません。溝に専用の潤滑剤を少量差すことで改善する場合があります。
ペグにガタつきがある場合は、固定ネジの緩みが考えられます。ネジが緩んでいると弦を張る力が逃げてしまうため、ドライバーで軽く締め直すと安定します。締めすぎると部品を傷めるため、手で軽く止まる程度にとどめます。
温度や湿度の変化も、木でできたギターには影響します。急に暖かい場所や寒い場所へ移したあとは、ギターが環境になじむまで少し時間を置いてから合わせ直すと、音が落ち着きやすくなります。
チューナーが手元にないときの合わせ方
チューナーがない場面でも、基準になる音がひとつあれば、そこから各弦を合わせられます。代表的な方法を紹介します。
ひとつは、隣の弦を基準にする方法です。5弦の5フレットを押さえた音は、4弦の開放弦と同じ高さになります。同じように、各弦の5フレット(3弦だけは4フレット)を押さえた音が、隣の細い弦の開放弦と同じ高さになります。この関係を使うと、基準にした1本から順に合わせられます。
もうひとつは、ハーモニクスを使う方法です。ある弦の5フレットと、隣の弦の7フレットのハーモニクスを鳴らし、音のうねりが消えるように合わせます。微妙なずれを聞き取りやすい一方、耳で判断するため慣れが必要です。
最初の基準となる1本は、音叉やピアノ、チューナーアプリなど、正確な音に合わせます。これらの方法は、チューナーの電池が切れたときや、機材を持たずに練習する場面で役立ちます。
よくある質問
チューニングはどのくらいの頻度で行いますか
演奏を始める前に毎回合わせるのがおすすめです。ギターは時間の経過や温度・湿度の変化で少しずつ音がずれます。特に弦を張り替えた直後は、弦が伸びて音が下がりやすいため、こまめに合わせ直すと安定します。
チューナーがないと合わせられませんか
音叉やピアノ、チューナーアプリなど、基準になる音があれば合わせられます。ただし、弦ごとに表示で確認できるチューナーのほうが、初心者にとってはわかりやすい方法です。1台持っておくと練習がスムーズになります。
新しい弦がすぐに狂うのはなぜですか
張り替えたばかりの弦は、まだ伸びきっていないため音が下がりやすい状態です。何度か合わせ直し、弦を軽く引っ張ってなじませると、次第に落ち着いてきます。数日弾くうちに安定してくる場合がほとんどです。
半音下げにするとチューナーの表示はどうなりますか
クロマチックチューナーを使うと、E♭やA♭のように♭付きの音名で表示されます。カポを付ける方法とは違い、弦そのものの音を下げるため、開放弦の響きも変わります。
チューニングは何弦から合わせるとよいですか
6弦から1弦へ、太い弦から順に合わせるのが一般的です。1本合わせると隣の弦の張力がわずかに変わるため、6弦から1弦まで一通り合わせたあと、もう一度全体を確認すると音がそろいます。順番そのものに厳密な決まりはありませんが、毎回同じ順で合わせると作業に慣れやすくなります。
まとめ
ギターチューニングは、各弦をEADGBEの音に合わせるところから始まります。基準ピッチのA=440Hzを確認し、クリップ式やアプリなどのチューナーで6弦から順に合わせれば、初心者でも正しい音に整えられます。慣れてきたら、半音下げやドロップDといったレギュラー以外のチューニングにも挑戦してみてはいかがでしょうか。
弾く機会が減り、ケースにしまったままのギターがある場合は、状態が良いうちに買取に出すのもひとつの方法です。使わない楽器を手放すことで、次に使う方のもとで再び活躍する機会にもつながります。ギターの買取を検討する際は、まずは査定に出して現在の価値を確認してみてはいかがでしょうか。