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着物 寄付の始め方|寄付先と費用・条件を整理

畳んで重ねられた着物と帯・帯締め

タンスにしまったまま着なくなった着物を、捨てるのはためらわれるという方もいるのではないでしょうか。着物の寄付という手段を選べば、思い入れのある一枚を次の誰かに使ってもらう形で手放せます。この記事では、着物 寄付の具体的な寄付先と、かかる費用、受け入れの条件を整理します。寄付以外の選択肢もあわせてご紹介します。

着物の寄付を考える前に知っておきたいこと

着物を手放す前に、衣類が今どのように扱われているかを知っておくと、判断の軸が定まります。

環境省のサステナブルファッションの資料によると、日本の家庭から可燃ごみ・不燃ごみとして出される服は、年間約44万トンにのぼります。手放された服のうち、古着としてリユースされているのは約35%にとどまります。

つまり、手放された服の多くは、使われないまま処分されています。仕立てや素材に価値のある着物を、同じ流れに乗せてしまうのは惜しいといえます。

一方で、寄付だけが最善とは限りません。着物の状態や、何を大切にしたいかによって、向いている手段は変わります。買取や譲渡、リメイクのほうが合う場合もあります。この記事では寄付を中心に扱い、最後に他の選択肢とも比べて整理します。

参考:「サステナブルファッション」|環境省

着物の寄付先は大きく3種類

着物の寄付先は、大きく次の3つに分けられます。

  • NPO・NGO団体
  • 大学・博物館
  • 地域の市民団体・福祉施設

集めた着物の使い道も、受け入れの条件も、寄付先ごとに異なります。順に見ていきます。

NPO・NGO団体|海外支援やリユースにつなぐ

選択肢がもっとも多いのは、リユースや海外支援を手がける団体への寄付です。

たとえばセカンドライフでは、送られた着物をスタッフが仕分けし、国内外の必要とする方へ届けています。国内向けの着物は、送料を含めて無料で譲る形をとっています。里親に活用してもらう「にこっと」という仕組みも設けられています。同団体では、届いた品物1箱につき、2件のポリオワクチンを発展途上国の子どもたちへ寄付する取り組みも行っています。

着物を生地として活かす団体もあります。着物 de お針子は、集まった着物をアップサイクル生地に生まれ変わらせています。選別とオゾン加工を経た着物が、モンゴルで反物に仕立てられ、北欧やヨーロッパへ輸出されています。現地では、シングルマザーや障がいのある方の自立支援につながる形で制作が行われています。

国内で仕立て直す例もあります。富山市八尾町を拠点とするtadasは、2018年創業のアップサイクルブランドです。全国から年間約800着の着物が届き、これまでに約500キログラムを超える着物がアップサイクルされてきました。寄付は専用の問い合わせフォームから申し込み、送付方法は返信で案内される流れです。郵送した方には吾妻袋が、店舗へ持ち込んだ方には隣接するカフェのコーヒーチケットが用意されています。

同じ寄付でも、着物として次の方が袖を通すのか、生地として別のものに生まれ変わるのかは、団体によって違います。思い入れのある一枚をどう活かしてほしいかで、選ぶ先が変わります。主な寄付先を整理しました。

寄付先 着物のゆくえ 特徴
セカンドライフ 仕分けして国内外の必要な方へ 着物として次の方が使う。1箱でポリオワクチン2件
着物 de お針子 モンゴルでアップサイクル生地に 海外の作り手の自立支援につながる
tadas 富山の拠点でアップサイクル 国内で活かす。年間約800着が集まる
ワールドギフト 海外へ物品支援 集荷つき。着物の可否は要問い合わせ

参考:セカンドライフ

参考:着物 de お針子

参考:tadas

参考:NPO法人ワールドギフト

大学・博物館|学びや収蔵の資料として

大学や博物館への寄付は、学びの教材や収蔵資料として着物を活かす道です。

ただし、注意したい点があります。大学への寄付は、常時受け付けているとは限りません。

たとえば京都大学の環境科学センターと京都着物企画は、学生が着物や浴衣を着る企画のために寄付を募っていました。男女やサイズを問わず、帯や小物、履物も受け付ける内容でした。ただし、この企画の受付は2018年11月1日までとされています。持ち込みと郵送の両方に対応し、郵送の場合の送料は自己負担でした。

このように、大学の受け入れは、特定の企画に紐づく期間限定の募集であることがあります。「大学に寄付できる」と紹介された情報を見つけても、そのまま送らず、現在も募集しているかを大学の公式サイトや窓口で確認しておくと安心です。

博物館の場合は、収蔵方針にもとづく選定があります。文化学園服飾博物館では、寄贈を希望する場合はまず電話で相談する流れとされています。詳細を伝えたうえで、資料の写真送付を求められることもあります。所蔵方針と異なるものや、すでに同種のものを所蔵している場合は、断られることもあると案内されています。

貴重な着物であっても受け入れられるとは限らず、館の収集方針と合うかどうかが判断の基準になります。

参考:「ご家庭に眠っている着物や浴衣をご寄付ください」|エコ~るど京大

参考:文化学園服飾博物館 FAQ

地域の市民団体・福祉施設|地元で手渡す

着物を直接持ち込める場所を選ぶ方法もあります。

送料がかからず、使われる相手が見えやすい点が特徴です。前述のtadasも、店舗への持ち込みを受け付けています。京都大学の企画も、持ち込みと郵送の両方を受け付ける形でした。拠点が近くにあれば、送料をかけずに手放せます。

ただし、地域の市民団体や福祉施設は、受け入れの可否も条件も、団体ごとに大きく異なります。着付け教室や地域のイベントで活用される例もありますが、常時受け付けているとは限りません。「着物 寄付」にお住まいの地域名を足して調べ、見つかった団体の公式の連絡先へ直接問い合わせるとよいでしょう。

参考:tadas

参考:「ご家庭に眠っている着物や浴衣をご寄付ください」|エコ~るど京大

着物の寄付にかかる費用と送料

寄付を考えるうえで、もっとも誤解されやすいのが費用です。

着物の寄付は、無料とは限りません。多くの場合、寄付する側が費用を負担します。負担の形は、大きく3つに分かれます。

1つ目は、送料を自分で払う形です。セカンドライフでは、自分で手配して送料元払で送る場合、着物などを無料で送れるとされています。品物の代金はかかりませんが、宅配便の送料は自己負担です。

2つ目は、専用の回収キットを購入する形です。着物 de お針子では、専用回収キットを購入すると2~3営業日で自宅に届き、着物を詰めて集荷を依頼する流れです。集荷時に佐川急便のドライバーが着払い伝票を持参するため、伝票の手配や記入は不要とされています。同じ運営元の古着deワクチンでは、回収キットの税込価格が公表されています。MAXが5,500円、Standardが3,300円、miniminiが2,750円、ギフト版が3,500円です。1口につき、最大20人分のポリオワクチンが贈られるとされています。

3つ目は、箱のサイズに応じた寄付金を払う形です。NPO法人ワールドギフトでは、集荷を使えば送料が0円です。郵便局の集荷なら3辺の合計140センチメートル以内・30キログラム以内で、寄付金は2,900円です。佐川急便の集荷なら160センチメートル以内・30キログラム以内で、寄付金は3,700円とされています。自分で発送する場合は、寄付金2,900円に加えて送料が自己負担です。この寄付金は、国内輸送費や仕分け管理、海外輸送、再利用のための費用に使われるとされています。

費用の考え方を整理すると、次の3つに分かれます。

費用の形 負担するもの
送料のみ自己負担 セカンドライフ 宅配便の送料。品物の代金は不要
回収キットを購入 古着deワクチン キット代 2,750円~5,500円(税込)
箱ごとに寄付金 ワールドギフト 寄付金 2,900円または3,700円。集荷なら送料0円

費用をかけずに手放したいなら、送料元払で受け付ける団体が向いています。玄関先で完結させたい、整理と社会貢献を一度に済ませたいなら、キット方式や集荷つきの寄付金方式が合っています。

なお、ワールドギフトでは、着物を寄付できるかどうかについて、確認したページに記載がありませんでした。着物を送る前に、団体へ直接問い合わせておくと安心です。

参考:セカンドライフ

参考:着物 de お針子

参考:「申し込み方法を教えてください」|古着deワクチン

参考:NPO法人ワールドギフト

受け入れてもらえる着物・断られる着物

箱に詰める前に確かめたいのが、受け入れの条件です。せっかく送っても、条件に合わなければ二度手間になります。

各団体は、受け入れられない状態を公表しています。

セカンドライフでは、受け入れの基準を「次の方に気持ちよく使ってもらえる」着物としています。破れている着物や、かなり汚れている着物は、受け入れの対象外とされています。

着物 de お針子では、着物類全般と和装小物を送れるとしています。着物・浴衣・帯・足袋・肌襦袢・長襦袢・帯揚げ・帯締め・草履・髪飾り・羽織などが対象です。一方で、大きな破損や汚れがあるもの、着物以外の衣類や雑貨は送れないとされています。

団体によって表現は違いますが、共通する考え方があります。

  • 次の人が気持ちよく使える状態かどうかが基準になる
  • 破れ、大きな汚れ、強いカビ臭は受け入れの対象外になりやすい
  • 帯や小物をまとめて受け付ける団体もあれば、着物類に限る団体もある

自分では判断がつかない場合は、送る前に写真を添えて問い合わせるとよいでしょう。文化学園服飾博物館のように、写真の送付を求める受け入れ先もあります。

なお、シミや虫食いのある着物でも、生地として活かす団体であれば受け入れられる場合があります。着物として着せる前提の団体か、生地として使う団体かで、許容される状態が変わります。

参考:セカンドライフ

参考:着物 de お針子

参考:文化学園服飾博物館 FAQ

着物を寄付する手順

寄付の流れは、団体が違ってもおおむね共通しています。

  1. 寄付先を決めます。着物として使ってほしいのか、生地として活かしてほしいのかで選びます
  2. 受け入れ条件を公式サイトで確認します。受け付ける品目と、断られる状態を読みます
  3. 申し込みます。フォームや電話で連絡し、回収キット方式ならキットを購入します
  4. 梱包します。汚れを払い、たたんで箱に詰めます
  5. 発送します。自分で発送するか、集荷を依頼します

着物 de お針子を例にとると、まず専用回収キットを購入します。2~3営業日で届いたキットに着物を詰め、集荷日時の依頼フォームをメールで返送します。あとは選んだ日時に、佐川急便のドライバーへ渡すという流れです。

梱包の際は、着物をたたんで湿気を避けることを意識するとよいでしょう。長く保管していた着物は、送る前に陰干しをして湿気を抜いておくと、輸送中のカビの発生を抑えられます。

参考:着物 de お針子

寄付以外の選択肢|買取・譲渡・リメイク

寄付は、着物を手放す手段のひとつです。着物の状態や目的によっては、他の方法が合うこともあります。主な手放し方を並べて整理しました。

手放し方 向いている場合 押さえておく点
寄付 誰かに使ってほしい。現金化にこだわらない 送料やキット代の自己負担が生じることが多い
買取 価値がありそう。証紙や落款が残っている 状態やサイズによっては値がつかないこともある
譲渡 着てくれる相手の心当たりがある 相手のサイズや好みに合うかを確認する
リメイク 生地や柄に愛着がある。手元に残したい 加工の費用と時間がかかる
着物供養 気持ちの区切りをつけたい 費用がかかる場合がある

寄付が向いているのは、着られる状態が保たれていて、現金化よりも活かされることを優先したい場合です。送料やキット代の負担を許容できるなら、選びやすい手段といえます。

一方、証紙や落款が残っていて価値が見込まれる着物は、寄付の前に買取を検討する余地があります。作家物や産地の織物、保存状態のよい正絹の着物などは、査定で値がつくことがあります。手放すことでいくらかの金額に変わるため、現金化を優先したい場合には買取が向いています。着物の買取に対応した業者であれば、証紙の有無や状態を踏まえて見てもらいやすくなります。

判断に迷ったら、まず着物の状態を確かめます。そのうえで、現金化したいのか、活かしてほしいのかを考えると、選ぶ道が絞りやすくなります。

よくある質問

着物の寄付は無料ですか。

団体によります。セカンドライフのように、自分で手配して送料元払で送れば、品物の代金がかからない団体があります。回収キットを購入する方式や、箱ごとに寄付金を払う方式の団体もあります。申し込む前に、各団体の公式サイトで負担の内容を確認しておくと安心です。

参考:セカンドライフ

シミがある着物でも寄付できますか。

程度と、団体の方針によります。セカンドライフでは、かなり汚れている着物は受け入れの対象外とされています。一方、生地として活かす団体であれば、多少のシミは許容される場合があります。判断がつかないときは、写真を添えて問い合わせるとよいでしょう。

参考:セカンドライフ

大学に寄付できますか。

期間限定の企画として募集している場合があります。京都大学の企画は、受付が2018年11月1日までとされていました。現在も募集しているかどうかは、大学の公式サイトや窓口で確認しておくと安心です。

参考:「ご家庭に眠っている着物や浴衣をご寄付ください」|エコ~るど京大

帯や小物も一緒に送れますか。

団体によります。着物 de お針子では、和装小物を含めて送れるとされています。帯・足袋・長襦袢・帯揚げ・帯締め・草履・髪飾り・羽織などが対象です。着物のみを受け付ける団体もあるため、事前の確認が欠かせません。

参考:着物 de お針子

まとめ

着物 寄付について、寄付先と費用、受け入れの条件を整理しました。要点は次の3つです。

  • 寄付先は、NPO・NGO団体、大学・博物館、地域の市民団体の3種類。着物として使うのか、生地として活かすのかで選ぶ先が変わる
  • 寄付は無料とは限らない。送料のみ自己負担、回収キットの購入(2,750円~5,500円)、箱ごとの寄付金(2,900円または3,700円)の3つの形がある
  • 破れや大きな汚れは受け入れの対象外になりやすい。箱に詰める前に、公式サイトで条件を読む

タンスに眠る着物は、条件が合えば、次の誰かの手に渡ります。一方で、証紙や落款が残る価値のある着物なら、寄付の前に買取という選択肢も検討できます。現金化したいのか、活かしてほしいのかを整理したうえで、まずは手元の一枚の状態を確かめ、寄付先や買取業者の情報を調べるところから始めてみてはいかがでしょうか。