お札の番号と買取|記番号の読み方から評価へ
手元のお札の番号が周りと違って見えて、これは売れるのだろうかと考えた方もいるのではないでしょうか。番号の並びは評価に関わる要素のひとつですが、読み取り方を知らないと判断のしようがありません。そこでこの記事では、お札の番号である記番号の仕組みを一次情報で整理し、そこから買取の評価へどうつながるのかを説明します。
お札の番号は「記番号」といい、手放すときの手がかりになります
お札の表面にあるアルファベットと数字の組み合わせは、正式には「記番号(きばんごう)」といいます。国立印刷局は記番号をお札の背番号のようなものと説明しており、同じ種類のお札にはすべて違う記番号が印刷されています。
本来は製造や流通を管理するための番号です。それでも手放すときに注目されるのは、記番号から3つの情報が読み取れるためです。
1つ目は、その一枚がどの世代の券種にあたるかという情報になります。2つ目は、いつごろ刷られたものかというおおよその時期です。
3つ目が、数字の並びそのものです。並びによっては収集の対象として扱われることがあります。
買取の場では、この3つが券種や状態と組み合わせて見られます。記番号だけを切り離して査定するわけではない、という前提を先に押さえておくとよいでしょう。
なお、昔のお札には通し番号を省略し、数字記号だけを印刷したものがありました。国立印刷局によれば、同じ数字記号のお札が500万枚存在するケースもあったとされています。
古いお札で番号が重複していても、それだけで偽造を疑う根拠にはなりません。この点も、手元の一枚を判断するときに役立ちます。
記番号の構成|アルファベットと数字の並び方
記番号は「アルファベット+6桁の数字+アルファベット」という形をとります。前後に置かれるアルファベットの文字数は、時代とともに増えてきました。
国立印刷局によると、最初は「アルファベット1文字+6桁の数字+アルファベット1文字」でした。発行量が増えて組み合わせを使い切ったため、頭のアルファベットを2文字に増やしています。
参考:お札の豆知識|国立印刷局
2024年7月3日に発行が始まった現在のお札では、頭と末尾にそれぞれアルファベット2文字を置く形になり、記番号は10桁になりました。日本銀行は、それ以外の現行銀行券について、頭に1〜2文字、末尾に1文字のアルファベットが使われていると説明しています。
参考:お札に印刷されているアルファベットと数字は何ですか?|日本銀行
| 記番号の形式 | 例 | 読み取れること |
|---|---|---|
| アルファベット1文字+数字6桁+アルファベット1文字 | A123456B | もっとも古い形式にあたり、券種が古い世代である手がかりになる |
| アルファベット2文字+数字6桁+アルファベット1文字 | AB123456C | 2024年より前の券種で広く使われている形式 |
| アルファベット2文字+数字6桁+アルファベット2文字 | AA123456BB | 2024年7月発行開始の券種で採用された10桁の形式 |
桁数が変わったのは、デザインの都合ではなく番号を使い切ったことへの対応です。つまり桁数は、その一枚がどの段階の券かを示す情報になります。
手元のお札を見るときは、まず前後のアルファベットが何文字あるかを数えてみてください。ここだけで世代がおおまかに絞り込めますし、千円札のレアなアルファベットを見分けるときも桁数と色が出発点になります。
使われない文字と数字の範囲を知ると、珍しさの判定が変わります
記番号には、アルファベット26文字のうち「I(アイ)」と「O(オー)」が使われません。数字の「1」や「0」と紛らわしいためで、使えるのは24文字になります。
数字の部分も、000001から900000までしか使いません。000000から999999までのすべてを使うわけではないため、6桁の数字は90万通りです。
参考:お札の豆知識|国立印刷局
この前提で組み合わせを数えると、2024年発行の券種では「24文字×24文字×90万通り×24文字×24文字」となります。日本銀行は、この組み合わせにより記番号は2,985億9,840万枚で一巡すると説明しています。
参考:お札に印刷されているアルファベットと数字は何ですか?|日本銀行
数字が900000で止まる点は、珍しさを考えるうえで見落とされやすいところです。たとえば999999という記番号は、この仕様のもとでは存在しません。
逆に言えば、900000という番号は数字部分の上限にあたります。000001が下限であることとあわせて、範囲の端は限られた存在だと分かります。
査定の場面でも、この仕様は前提知識として共有されています。存在しない番号を期待して探すより、実際に振られる範囲のなかで端や規則性を見るほうが現実的でしょう。
記番号の色は「いつ刷られた一枚か」を示します
同じ券種のお札でも、記番号の色が違うことがあります。国立印刷局は理由を2つ挙げており、ひとつは組み合わせをすべて使い切ったため、もうひとつは部分改刷による仕様変更のためです。
日本銀行も、2004年発行開始のお札は当初黒色で記番号を印刷していたが、一巡したため色を変えたと説明しています。そのうえで、色が他と異なっていてもただちに偽札であるということではないと明記しています。
色の変遷がもっとも細かく記録されているのが千円券です。日本銀行が公表している資料では、千円札の歴代の券種ごとに記番号の色と発行開始日が示されています。
| 千円券(肖像) | 記番号の色 | 発行開始日 |
|---|---|---|
| 伊藤博文 | 黒色 | 1963(昭和38)年11月1日 |
| 伊藤博文 | 青色 | 1976(昭和51)年7月1日 |
| 夏目漱石 | 黒色 | 1984(昭和59)年11月1日 |
| 夏目漱石 | 青色 | 1990(平成2)年11月1日 |
| 夏目漱石 | 褐色 | 1993(平成5)年12月1日 |
| 夏目漱石 | 暗緑色 | 2000(平成12)年4月3日 |
| 野口英世 | 黒色 | 2004(平成16)年11月1日 |
| 野口英世 | 褐色 | 2011(平成23)年7月19日 |
| 野口英世 | 紺色 | 2019(平成31)年3月18日 |
| 北里柴三郎 | 黒色 | 2024(令和6)年7月3日 |
2019年3月18日からの紺色への変更について、日本銀行は褐色の記号・番号の組み合わせがすべて使用されることになったためと発表しました。あわせて、流通している千円券は従来どおり使用できると案内しています。
各券種の初期は黒色で、そのあとに別の色が続くという順序になります。黒色は最初の製造分にあたるため、同じ券種のなかでは相対的に早い時期の一枚だと読み取れます。
読み取った記番号を評価につなげる4つの視点
ここまでの内容を、買取の査定でどう使うかという形に組み替えます。読み取った情報は、次の4つの視点に振り分けられます。
1つ目は世代の特定です。アルファベットの文字数と色から、同じ肖像の券種でも早い時期か遅い時期かが絞り込めます。
2つ目は数字の並びです。000001から900000という範囲のなかで、そろった並びや端にあたる番号は出てくる割合が限られます。
ゾロ目や連番といった呼び方は収集家の間で使われているもので、公的機関が価値づけをしているわけではありません。並びごとの細かい見方は、お札のゾロ目と下3桁の見方とお札の連番に価値がつく条件で扱っています。
3つ目は枚数のまとまりです。記番号が続いている状態でそろっているなら、1枚ずつに分けずそのまま見てもらうほうが情報が残ります。
4つ目は状態との組み合わせです。並びが目を引く一枚でも、折り目やシワが入っていれば見られ方が変わります。
この4つは順番に効いてきます。券種と世代が分かってはじめて並びの珍しさが意味を持ち、そこに状態が掛かるという構造です。
記番号だけでは決まりません|券種と状態との関係
記番号に注目が集まりやすい一方で、評価が記番号だけで決まることはありません。土台になるのは券種そのものです。
日本銀行は、これまでに発行された56種類の銀行券のうち25種類が現在も有効だと説明しています。発行が終わった券種は市中に出回る量が限られるため、収集の対象になりやすい位置にあります。
現行の券種であれば、額面という下限が働きます。並びが珍しくても、状態が伴わなければ額面近辺に落ち着くことが多いと考えられます。
もうひとつ知っておきたいのが、狙って手に入れられないという点です。日本銀行は、記番号順に支払うといった取扱いは行っていないため、特定の記番号の銀行券を入手することはできないとしています。
参考:新券発行開始後の引換えに関する留意事項について|日本銀行
手元にたまたまあるという状況そのものが、記番号の珍しさを支えています。この点は、査定を受けるときの説明としても筋が通ります。
手放す前の確認と保管
最後に、買取の相談へ進むときの準備を整理します。特別な道具は必要ありません。
第一に、記番号を書き写します。アルファベットの文字数、数字6桁、色の4点をメモしておくと、電話やメールでの相談がそのまま進みます。
第二に、券種を確かめます。肖像と額面、寸法を日本銀行の券種別ページと突き合わせれば、世代まで絞り込めます。
第三に、状態を変えないまま保管します。クリアポケットに1枚ずつ入れ、直射日光と湿気を避けた場所へ置くのがおすすめです。
お札に書き込みをしたり、テープで補強したりするのは避けたほうがよいでしょう。折り目を伸ばそうとする手入れも、かえって状態を損なう場合があります。
連続した番号でまとまっているものは、束のまま持参してください。順番を崩すと、そろっていたことを示す材料が失われます。
なお、お札そのものに不審な点がある場合は、最寄りの警察または日本銀行の本店もしくは支店へ届けるよう案内されています。色の違いは偽札の根拠になりませんが、他に気になる点があるときはこちらが先になります。
よくある質問
お札の番号は何と呼びますか
「記番号」といいます。アルファベットと数字を組み合わせたもので、同じ種類のお札にはすべて違う記番号が印刷されています。国立印刷局は、お札の背番号のようなものと説明しています。
記番号にIとOが使われないのはなぜですか
数字の「1」や「0」と紛らわしいためです。アルファベット26文字のうちIとOを除いた24文字が使われます。この仕様を知っておくと、番号の珍しさを判断するときに迷いにくくなります。
記番号の色が周りのお札と違います。買取に影響しますか
色の違いは製造時期の手がかりになるもので、偽札の根拠にはなりません。同じ券種のなかでどの時期の一枚かを示す情報として扱われます。ただし色だけで評価が決まるわけではなく、券種と状態とあわせて見られます。
珍しい番号のお札は必ず額面より高くなりますか
そうとは限りません。並びの珍しさは要素のひとつで、券種や状態、そのときの需要によって見られ方が変わります。額面近辺で落ち着く場合もあるため、現物を見てもらったうえで判断するのがおすすめです。
記番号が連続したお札はまとめて相談したほうがよいですか
まとめたまま持参するほうが情報が残ります。1枚ずつに分けると、番号が続いていたことを示す材料が失われてしまいます。帯封が残っている場合は、それも一緒に見てもらうとよいでしょう。
まとめ
お札の番号は記番号と呼ばれ、アルファベットの文字数・数字6桁・色の3点から世代と時期を読み取れます。数字は000001から900000までと決まっており、範囲を知ることが珍しさの判断につながります。ただし評価は券種と状態との組み合わせで動きます。当社では、記番号の読み取りから収集品としての見方まであわせてご案内しています。