ライターの処分方法|ガス抜きの手順と自治体ごとのごみ区分
引き出しの奥から、火が着くかどうか分からないライターが何本も出てくることがあります。燃えるごみに入れてよいのか、ガスを抜く必要があるのか、判断に迷うところです。そこでこの記事では、ライターの処分について、業界団体と公的機関が公開している手順とルールを整理します。ガス抜き、ごみ区分、送れるかどうかの順に見ていきます。
ライターの処分は、2段構えで考えます
やることは、大きく2つです。中身のガスやオイルを抜くことと、住んでいる自治体のルールに従って出すことです。
この順番は、業界団体の案内でもはっきりしています。一般社団法人日本喫煙具協会は、ガスが残っているうちに不要となった場合について呼びかけを行いました。必ず正しい方法でガスを抜き、各自治体の定める方法にしたがって処分するようにという内容です。
参考:ライター・ボンベの正しい捨て方|一般社団法人日本喫煙具協会
ガス抜きの手順は全国共通と考えて差し支えありませんが、ごみの区分は自治体ごとに違います。不燃ごみのところもあれば、危険ごみや発火性危険物として別区分にしているところ、燃やすごみに入れるところもあります。
最終的な出し方は、必ずお住まいの自治体の案内で確認してください。この記事では、区分がどれだけ違うかを実例で示します。
ガスの抜き方は、種類ごとに手順が決まっています
日本喫煙具協会が公開している手順を、種類別に見ていきましょう。安全に関わる条件が含まれているため、省略せずに書きます。
なお2010年12月には、消費者庁・警察庁・総務省消防庁・経済産業省・環境省と日本喫煙具協会の連名でリーフレットが公開されています。そこにも同じ趣旨の手順が載っており、冒頭に「火の気のないことを確認し、風通しのよい屋外で行いましょう」という注記があります。
参考:ライターは正しく捨てましょう!|消費者庁ほか5省庁・日本喫煙具協会
使い捨てライター(ディスポーザブルライター)
- 周囲に火の気がないことを確認します。
- 操作レバーを押し下げます。着火した場合は、すぐに吹き消してください。
- 輪ゴムや粘着力の強いテープで、操作レバーを押し下げたまま固定します。
- 「シュー」という音が聞こえれば、ガスが抜けています。聞こえない場合は、炎調整レバーをプラス方向にいっぱいに動かしてください。
- この状態のまま、風通しがよく付近に火の気がない屋外に半日から1日放置します。
- 確認のために着火操作をします。火が着かなければ、ガス抜き完了です。
注入式ガスライター
- 周囲に火の気がないことを確認します。
- ライターのガス注入口の先端を、細いドライバーの先などで押します。
- 「シュー」という音がしなくなるまでガスを抜きます。
- 確認のために着火操作をします。火が着かなければ、ガス抜き完了です。
ライター用ガスボンベ
- 風通しのよい屋外で、周囲に火の気がないことを確認します。
- ボンベの先端を下に向け、少し斜めの角度で地面に押し付けてガスを噴出させます。最初はかなり勢いよく噴出し、気化熱によりボンベが冷たくなります。地面に液状のガスが付着することもありますが、すぐに気化するため心配ありません。
- 残量にもよりますが、噴出が止まるまでには1分から3分程度かかります。
- 「シュー」という音がしなくなれば、ガス抜き完了です。
参考:ライター・ボンベの正しい捨て方|一般社団法人日本喫煙具協会
自治体側からも、補足の注意が出ています。大田区は、複数のライターがある場合はガスをまとめて抜くと危ないため1本ずつ抜くよう求めました。
世田谷区は、危険なので穴あけをせずに出すよう明記しています。鹿屋市が挙げる条件は、直射日光が当たらず風通しがよく火の気や可燃物がない場所で行うこと、そして作業中に十分な監視を行うことです。
参考:ガスボンベ・スプレー缶などの危険なごみをごみ集積所に出す場合のお願い|世田谷区
ガスが残ったまま出すと、火災につながります
なぜここまで手順が決められているのか。理由は、収集や処理の過程で火が出るからです。
東京消防庁は、誤ったごみの分別によって発生した火災の件数を公表しています。令和6年中のごみ収集車の火災は33件でした。発火源の内訳はリチウムイオン電池関連が14件・エアゾール缶等が8件・ライターが3件などとなっています。同じ年のごみ処理関連施設の火災は17件です。
大阪市は、より大きな事故を公表しています。搬入先の工場のごみピット内で搬入されたごみが発火し、その後の爆発により広範囲に延焼して施設が大きく損傷したという内容です。この事故で施設の稼働が数日間停止しました。
同市が主な原因として挙げるのは、カセットボンベやスプレー缶・マッチ・花火・ライターなどを使い切らないまま排出したことです。ごみ収集車の中で押しつぶされ、漏れたガスに火花が飛んで起こると考えられるとのことでした。
ライターそのものの事故も報告されています。消費者庁と国民生活センターの資料によると、事故情報データバンクに登録されたライターの事故情報は、平成21年9月から平成28年度末までの累計で722件でした。種類別では残り火が209件で最も多く、自動車内の事故が55件、保管中の破裂が52件と続きます。
同じ資料には、車内の温度を測った実験の結果も載っています。気温約20℃の屋外に駐車した場合でも、直射日光の影響で車内温度は約46℃、ダッシュボード表面の温度は約79℃まで上昇したという内容です。
参考:ライターは安全に正しく使いましょう!|消費者庁・国民生活センター
処分するまでの保管場所にも、この点は関わります。車の中に置いたままにしないでください。
自治体によって、ごみ区分はここまで違います
いちばん間違えやすいのがここです。同じライターでも、自治体によって出す区分がまったく異なります。
| 自治体 | 区分 | 主な指示 |
|---|---|---|
| 大田区 | 不燃ごみ | 使い切り、中身の見える別袋に入れる |
| 杉並区 | 不燃ごみ | 使い切り、ライターだけを別の袋に入れて「ライター」と表示する |
| 世田谷区 | 不燃ごみ | 他の不燃ごみと別の袋、袋に「ライター」、穴あけはしない |
| 中央区 | 燃やさないごみ | 使い切って着火しないことを確認し、別の袋に入れる |
| 中野区 | 陶器・ガラス・金属ごみ | 収集日に別袋で出す |
| 名古屋市 | 発火性危険物 | 資源用の指定袋または45リットル以内の無色透明の袋を使う |
| 京都市 | 燃やすごみ | 使い切り、完全に火が消えたことを確認し、湿らせて出す |
| 神戸市 | 燃えるごみ | プラスチック製の使い捨てライターが対象 |
| 柏市 | 有害ごみ | ガスを使い切り、ライターだけを透明な袋に入れる |
| 岐阜市 | 危険物 | 収集日に作業員へ直接手渡しする |
| 富士宮市 | 拠点回収 | 分解が難しい場合は回収ボックスへ出す |
| 川口市 | 材質で分岐 | 使い捨ては一般ごみ、その他のライターは金属類 |
参考:使い捨てライター|杉並区
参考:使い捨てライターのごみの出し方を教えてください。|中央区
参考:「使い捨てライター(プラ製)」は何ごみで捨てればいいですか?|神戸市
参考:使い捨てライター|柏市
区分の名前が違うだけでなく、袋の指定まで分かれます。名古屋市は令和6年4月から半透明の袋が使えなくなり、無色透明の袋が必要になりました。京都市は湿らせてから出すよう求めています。
共通しているのは、他のごみと同じ袋に入れないという点です。多くの自治体が別袋を指定しています。
数が多くて処理に困る場合は、自治体に相談する道もあります。神戸市は、故障してガスを抜くことができないものや大量にあるときは区の環境局事業所に相談のうえ持ち込むよう案内しています。練馬区も、どうしても使い切れない場合は管轄の清掃事務所に問い合わせるよう求めました。
参考:ガスライター、スプレー缶、カセット式ガスボンベの出し方について|練馬区
オイルライターと電子ライターは、扱いが変わります
使い捨てライター以外にも注意が必要です。
オイルライター。 金属製の本体を持つものが多く、区分が変わることがあります。川口市は、使い捨てライターは一般ごみ、その他のライターは金属類としています。鹿屋市も、プラスチック製は燃やせないごみ、金属製は資源物として扱うと書きました。
オイルの保管についても注意があります。日本喫煙具協会は、子どもの手の届かない所で必ずキャップをして保管すること、直射日光を避け温度が40℃以上になるところでは保管しないことを求めています。消防法や火災予防条例により、所轄の消防署長への届け出が必要となる場合があるとも書き添えられました。
電子ライターと充電式のもの。 リチウムイオン電池を内蔵しているタイプは、電池による発火のリスクが加わります。世田谷区は、充電式電池は強い衝撃や圧力が加わると発火し火災につながる危険があるとし、不燃ごみの日に出す際は他の不燃ごみと袋を分けるよう求めています。
名古屋市は、加熱式たばこや電子たばこを使い捨てライターと同じ発火性危険物の区分で収集しています。区分の考え方は自治体ごとに違いますから、電子式のものは特に確認が必要です。
郵送や宅配、飛行機では制限があります
処分にあたって、送るという選択肢を考える方がいます。ここには法令上の制限があります。
郵便法第12条は、爆発性や発火性その他の危険性のある物で総務大臣が指定するものを郵便物として差し出せないと定めています。日本郵便が公開する危険物の説明では、引火性ガスの例として「喫煙用ガスライター」が挙がりました。
参考:危険物 ガス類|日本郵便
日本喫煙具協会も、ライター用ガスボンベおよびオイルは郵便法第12条で郵便禁制品に指定されているため郵便物として送れないと説明しています。
宅配便でも同様です。ヤマト運輸は宅急便で送れないものとして、発火性・引火性・揮発性のある物品を挙げています。航空搭載できない危険物の引火性液体の欄には、オイルライターとライター用燃料が具体的に並びます。
飛行機で運ぶ場合の扱いは、国土交通省が一覧で公開しています。
| 品目 | 機内持込み | 預け入れ |
|---|---|---|
| 喫煙用ガスライター(使い捨て・ガス充填式) | 可(1人1個) | 不可 |
| 喫煙用電子ライター(電熱式・プラズマ式) | 可(1人1個) | 不可 |
| オイルライター(吸収剤入り) | 可(1人1個) | 不可 |
| オイルライター(吸収剤なし・オイルタンク式) | 不可 | 不可 |
| ライター用燃料(ガス・オイル) | 不可 | 不可 |
| 喫煙用以外の着火具 | 不可 | 不可 |
参考:機内への持込み・お預け手荷物に制限がある品目の代表例|国土交通省
同資料には、持ち込む場合は身につけて機内へ持ち込むことという条件も付いています。まとめて運ぶ用途には使えません。
処分する前に、確認しておきたいこと
最後に、捨てる前に見ておくとよい点を挙げます。
PSCマークの有無を見る。 消費者庁は、使い捨てライター等について平成23年9月27日以降、技術基準を満たしPSCマークが表示されたもののみが販売されていると説明しています。同じ日以降、子どもが簡単に点火できないCR機能を備えた使い捨てライターの販売が義務付けられました。CR機能は、51か月未満の幼児による点火操作を困難とする機能と定義されています。
参考:ライターは安全に正しく使いましょう!|消費者庁・国民生活センター
参考:特定製品(PSC)・特定保守製品|東京くらしWEB(東京都)
表示や刻印を確認する。 日本喫煙具協会は、日本産業規格のJIS S 4801およびJIS S 4803にもとづく型式確認検査を実施しており、適合したモデルには型式確認適合品の表示が付くと説明しています。表示の有無は、製造された年代を推し量る手がかりになります。型番や刻印の控え方は、マルマンのライター買取における型番と状態の確認手順が参考になります。
捨てる前に、価値があるかどうかを考える。 ブランド品や年代物のライターは、処分せずに買取の相談ができる場合があります。ただし燃料が入ったままでは配送できないため、3つの買取方法の違いと業者の選び方を踏まえ、店頭への持ち込みか出張査定を選ぶことになるでしょう。出張査定を頼むときは出張買取のトラブルを避ける当日までの準備も確認しておくと安心です。喫煙具の買取で種類別に見られる点は別記事で整理しています。
数が多いときは、まとめて作業しない。 前述のとおり、大田区はガスをまとめて抜かず1本ずつ抜くよう案内しています。時間はかかりますが、安全のための手順です。
よくある質問
ガスが残っているか分からないライターはどうすればよいですか
まずガス抜きの手順を試してください。日本喫煙具協会の手順では、操作レバーを固定して屋外に半日から1日置いたあと、確認のために着火操作をします。火が着かなければガス抜き完了です。それでも判断がつかない場合は、自治体の清掃事務所などに相談してください。神戸市のように、故障してガスを抜けないものは持ち込み相談を受け付けている自治体もあります。
ライターは燃えるごみに出してよいのですか
自治体によります。京都市はマッチやライターを燃やすごみとし、使い切って完全に火が消えたことを確認し湿らせて出すよう案内しています。一方で大田区や杉並区は不燃ごみ、名古屋市は発火性危険物、柏市は有害ごみに区分しました。必ずお住まいの自治体の案内を確認してください。
ライターに穴をあけてガスを抜いてもよいですか
世田谷区は、危険なので穴あけをせずに出すよう明記しています。日本喫煙具協会が公開している手順にも、穴をあける工程はありません。操作レバーを固定して自然に抜く方法か、注入式なら注入口を押す方法が案内されています。
ライターを郵便や宅配便で送れますか
送れません。郵便法第12条は爆発性や発火性その他の危険性のある物を郵便物として差し出せないと定めており、日本郵便の危険物の説明には引火性ガスの例として喫煙用ガスライターが挙げられています。ヤマト運輸も、宅急便で送れないものとして発火性・引火性のある物品を挙げました。
未使用のライターが大量に出てきました
自治体への相談が現実的です。神戸市は大量にある場合の持ち込み相談を案内しており、練馬区は使い切れない場合に管轄の清掃事務所へ問い合わせるよう書いています。富士宮市のように、公共施設などに使い捨てライターの回収ボックスを設置している自治体もあります。一度に大量のガス抜きを行うのは避けてください。
まとめ
ライターの処分は、ガスを抜くことと自治体のルールに従うことの2段構えです。ガス抜きは火の気のない風通しのよい屋外で行い、着火操作で火が着かないことまで確認してください。ごみの区分は不燃ごみから発火性危険物まで自治体ごとに大きく異なります。まだ使えるものや年代物は、処分の前に買取の相談も検討してみてはいかがでしょうか。