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記念硬貨は使えるのか|法律が定める20倍までの通用力

記念硬貨をしまったまま、支払いに使えるのか分からずにいる方は多いはずです。飾り物のように見えるため、通貨として扱ってよいのか迷います。そこでこの記事では、記念硬貨が使えるかどうかを法令の条文から確認します。額面価格の20倍という通用限度と、紙幣との違いまで整理していきます。

記念硬貨は法律上の「貨幣」です

最初に位置づけを確かめます。記念硬貨は飾りではなく、法律に根拠を持つ通貨です。

財務省は、記念貨幣が「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」において貨幣として定められていると説明しています。そのため、すべて通常の貨幣と同じように使用できるという整理です。

参考:過去に発行された記念貨幣は、現在でもお金として使えますか|財務省

日本銀行も同じ内容を案内しています。記念貨幣は通常の貨幣と同様に使えるという説明です。

参考:記念貨幣は実際に使うことができますか?|日本銀行

根拠となる条文も確認しておきます。通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律(以下は通貨法と呼びます)の第5条第2項は、国家的な記念事業として閣議の決定を経て発行する貨幣の種類を定めた規定です。通常の6種類に加えて、一万円・五千円・千円の3種類を発行できるとしています。

参考:通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律|e-Gov 法令検索

昔の記念硬貨についても手当てがあります。同法の附則第8条は、旧臨時通貨法により発行された臨時補助貨幣などを、この法律により政府が発行した貨幣とみなすと定めています。

対象には、昭和39年の東京オリンピックのために発行された千円の臨時補助貨幣も含まれます。天皇陛下御在位六十年記念の十万円および一万円の臨時補助貨幣も同じ扱いです。

参考:記念貨幣一覧|財務省

つまり、発行された時期の古い記念硬貨も現行法のもとで貨幣として扱われます。ここが出発点になります。

日本で最初の記念貨幣は、昭和39(1964)年の東京オリンピックを記念して発行されました。千円銀貨幣と百円銀貨幣の2種類です。以降、国家的な記念事業のたびに発行が重ねられてきました。

発行枚数の決め方も法律が定めます。通貨法第5条第3項は、記念貨幣の発行枚数を記念貨幣ごとに政令で定めるとしています。個々の枚数は財務省や造幣局の資料で確認できます。

参考:記念貨幣|財務省

通貨法第7条|貨幣は額面価格の20倍までが法貨

使えるという結論だけで終わらせると、肝心のところを見落とします。硬貨には枚数の限度があるためです。

通貨法第7条は「法貨としての通用限度」という見出しの条文です。条文は次のように定めています。

> 貨幣は、額面価格の二十倍までを限り、法貨として通用する。

参考:通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律|e-Gov 法令検索

造幣局はこの条文を、1貨種につき20枚が限度だと説明しています。額面価格の20倍という表現は、同じ額面の硬貨を20枚まで、と読み替えられるわけです。

参考:貨幣Q&A|造幣局

日本銀行も同じ内容を案内しています。一種類の硬貨につき、一度に20枚までが強制通用力を持つという説明です。

参考:個人の買い物や企業間の売買などの支払いにおいて、お札や硬貨は何枚でも使うことができますか?|日本銀行

ここでいう法貨としての通用は、相手が受け取りを拒めないという意味を持ちます。裏を返すと、20枚を超える分については受け取りを断られても法律上は問題がありません。

もっとも、相手が同意すれば20枚を超えて受け取ってもらうこと自体は妨げられません。条文が定めているのは、あくまで拒否できない範囲の線引きです。

銀行券に通用限度がない理由|日本銀行法第46条第2項との対比

紙幣には同じ制限がありません。ここが硬貨との決定的な違いです。

日本銀行法第46条第2項は、日本銀行が発行する銀行券は法貨として無制限に通用すると定めています。枚数の上限は設けられていません。

参考:日本銀行法|e-Gov 法令検索

2つの条文を並べると、性格の違いがはっきりします。

項目 銀行券(お札) 貨幣(硬貨)
根拠条文 日本銀行法第46条第2項 通貨法第7条
通用力 無制限 額面価格の20倍まで
一度に使える枚数 制限なし 1貨種につき20枚
発行主体 日本銀行 政府

発行主体が違う点にも注目してください。通貨法第4条は、貨幣の製造および発行の権能が政府に属すると定めています。財務大臣が造幣局に製造を行わせ、日本銀行へ交付することで発行される仕組みです。

造幣局も、製造は造幣局が行い発行は政府が行うと説明しています。製造された貨幣は日本銀行に納められた時点で初めて通貨になるという整理です。

参考:貨幣Q&A|造幣局

紙幣と硬貨で通用力の扱いが違うのは、この発行の仕組みの違いに由来します。硬貨は少額の支払いを担う補助的な通貨として位置づけられてきました。

額面ごとの上限を数字で確認します

20倍という言い方は分かりにくいので、金額に直しておきます。同じ額面につき20枚が上限になります。

記念貨幣の額面 20倍にあたる金額 一度に使える枚数
100円 2,000円 20枚
500円 1万円 20枚
1,000円 2万円 20枚
5,000円 10万円 20枚
1万円 20万円 20枚
10万円 200万円 20枚

10万円という額面は現在の記念貨幣の種類にはありません。それでも表に入れているのは、天皇陛下御在位六十年記念の十万円貨が附則第8条によって貨幣とみなされているためです。

注意したいのは、額面が違えばそれぞれ20枚まで使えるという点です。500円の記念貨幣20枚と1,000円の記念貨幣20枚を同時に出す場面では、別々に数えます。

日常の買い物で20枚を超える場面はまれです。制限の存在を知っておけば、レジで枚数を断られたときにも理由が分かります。

同じ制限は通常の硬貨にも当てはまります。1円玉を100枚まとめて出しても、相手は20枚を超える分の受け取りを断ることができます。記念硬貨だけが不利に扱われているわけではありません。

なお、現在発行されている貨幣の種類は通貨法第5条第1項で6種類と定められています。五百円・百円・五十円・十円・五円・一円です。記念貨幣の一万円・五千円・千円は、これに加わる形で規定されています。

参考:わが国の貨幣|財務省

使えるのは額面であって購入価格ではありません

ここは誤解が生まれやすいところです。造幣局が販売した貨幣セットやプレミアム貨幣を持っている場合、支払いに使えるのは額面の金額になります。

造幣局は、貨幣セットに収納されている貨幣は記念貨幣を含めてすべて貨幣として使用可能だと説明しています。ただしプルーフ貨幣セットのようなプレミアム貨幣については、購入価格ではなく額面価格での使用になるという注記があります。

参考:貨幣Q&A|造幣局

たとえば1万円の額面の金貨は、支払いの場面では1万円として通用します。購入時にいくら払ったかは関係ありません。

通貨法第10条は、素材に貴金属を含む記念貨幣のうち製造費用が額面価格を超えるものについて、造幣局が販売するという規定を置いています。販売価格は製造費用と額面価格を下回らない範囲で政令に定められる仕組みです。

法律の建て付けとしても、販売価格と通用する金額は別に扱われています。この違いを押さえておくと、使い道の判断を誤りません。窓口で額面のまま受け取るか手放すかで迷う場合は、記念硬貨の換金方法と銀行・買取の違いが判断材料になります。

自動販売機やセルフレジで扱われないことがあります

法律上使えることと、機械が受け付けることは別の話です。ここでつまずく方が多くいます。

日本銀行は、記念貨幣がいろいろな素材で作られていたり大きさが異なったりするため、自動販売機などでは使えないことがあると案内しています。

参考:記念貨幣は実際に使うことができますか?|日本銀行

財務省も同じ趣旨の注意を書いています。素材や大きさが違うために自動販売機で使えないことがある、という説明です。

自動販売機は硬貨の直径・厚さ・重さ・材質などを読み取って判別します。記念貨幣は通常の貨幣と仕様が異なるため、判別の対象に入っていないことがあるわけです。

セルフレジや券売機でも同じことが起こります。有人のレジであれば人が確認できますが、店舗の運用によっては受け取りを控える場合もあります。

支払いに使う予定があるなら、先に通常の貨幣へ引き換えておくと安心です。次の章でその窓口を確認します。

通常の貨幣に引き換えたいときの窓口

引き換えの案内も、公的機関が明示しています。難しい手続きは必要ありません。

財務省は、記念貨幣を使用する場合には銀行などの金融機関の窓口で通常の貨幣と引き換えることをすすめています。

参考:過去に発行された記念貨幣は、現在でもお金として使えますか|財務省

日本銀行は、日本銀行や金融機関の窓口で通常の貨幣と引き換えられると説明しています。窓口の選択肢が2つあるということです。

引き換えで受け取れるのは額面と同じ金額です。ここでも、購入価格や希少性は考慮されません。

窓口へ行く前に、額面と枚数を数えて控えておくと手続きが早く進みます。金融機関によっては枚数に応じた手数料を設定している場合もあるため、事前に確認してください。

なお、傷んだ貨幣の引換えには別の基準があります。通貨法第9条は、模様の認識が困難なものや著しく量目が減少したものを無効と定めています。

参考:通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律|e-Gov 法令検索

保管中に汚れが気になっても、磨いたり薬品で洗ったりしないでください。模様が読み取れなくなると、通貨としての扱いから外れてしまいます。

日本銀行は、現在発行されていないものの有効な貨幣も一覧で公開しています。掲載されているのは500円貨(ニッケル黄銅)・500円貨(白銅)・100円貨・50円貨・10円貨・5円貨です。

参考:その他有効な銀行券・貨幣|日本銀行

手元の硬貨が通常の貨幣なのか記念貨幣なのか分からないときは、この一覧と造幣局の記念貨幣一覧を突き合わせると判別できます。額面のまま使うか収集品として見るかは、額面どおりのものと額面を超えるものの違いが目安になります。

参考:記念貨幣一覧|造幣局

よくある質問

記念硬貨をコンビニで使えますか

法律上は通常の貨幣と同じように使えます。ただし同じ額面につき一度に20枚までが法貨としての限度です。店舗の運用や機械の仕様によって受け取りを断られる場合もあるため、支払いで使う予定があるときは、金融機関の窓口で通常の貨幣に引き換えてください。

20枚を超えて使うとどうなりますか

20枚を超える分については、相手が受け取りを拒んでも法律上は問題がありません。通貨法第7条が額面価格の20倍までを法貨と定めているためです。相手が同意すれば、それを超えて受け取ってもらうこと自体は妨げられません。

古い記念硬貨も今の法律で使えますか

使えます。通貨法の附則第8条が、旧臨時通貨法により発行された臨時補助貨幣などを現行法の貨幣とみなしているためです。昭和39年の東京オリンピックの千円貨や、御在位六十年記念の十万円貨も対象に含まれます。

貨幣セットに入っている硬貨は使えますか

造幣局は、貨幣セットに収納されている貨幣は記念貨幣を含めてすべて貨幣として使用可能だと説明しています。ただしプレミアム貨幣などは購入価格ではなく額面価格での使用になります。セットを開封すると元の状態には戻せない点にはご注意ください。

記念硬貨を紙幣に替えることはできますか

金融機関の窓口で通常の貨幣に引き換えられます。日本銀行の窓口でも案内があります。紙幣への交換を希望する場合は、まず通常の貨幣に引き換えてから金種を相談するのが分かりやすい流れです。

まとめ

記念硬貨は通貨法上の貨幣であり、額面のまま支払いに使えます。ただし同法第7条により、法貨として通用するのは額面価格の20倍まで、つまり1貨種につき20枚までです。無制限に通用する銀行券とはここが違います。素材や大きさの都合で自動販売機が受け付けないこともあるため、使う予定があるなら窓口で通常の貨幣に引き換えてください。当社では、通貨としての扱いと収集品としての扱いの違いもご説明しています。

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