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無名の絵画を売るには|作者が分からない作品の調べ方と売却先の選び方

実家の整理で出てきた絵画に、知らない名前のサインが入っていた。あるいは、サインらしきものはあるが読めない。そうした「無名の絵画」を売れるのか迷っている方もいるのではないでしょうか。作家名が分からない絵でも、条件によっては買い手がつきます。この記事では、作者を調べる手順、価値を左右する要素、売却先の選び方、そして売却時に関わる法律や税金までを整理します。

「無名の絵画」には3つのパターンがある

ひとくちに無名の絵画といっても、状況はいくつかに分かれます。まず自分の作品がどれにあたるのかを確認しておくと、その後の進め方が決めやすくなります。

1つめは、サインはあるが作家が特定できていないケースです。読みづらい筆記体や落款のため、名前を読み取れていないだけということがあります。調べれば作家が判明することもあり、その場合は「無名」ではなくなります。

2つめは、作家名は読めるが、市場でほとんど知られていないケースです。地方の画家や、公募展に出していた方の作品などが該当します。作品としての質は問われますが、名前の知名度で価格が決まりにくい分、絵そのものの内容が評価軸になります。

3つめは、サインが一切なく、作者不詳のケースです。海外の土産物として買われた絵や、額装だけが立派な複製画などがここに含まれます。

どのパターンかによって、調べるべきことも、持ち込むべき先も変わってきます。

まずは作者とサインを調べてみる

売却を検討する前に、手元でできる調査があります。ここで作家が判明すれば、査定の見通しが大きく変わることもあります。

画面のサイン・落款を確認する

洋画(油彩・水彩)であれば、多くは画面の右下か左下にサインが入っています。日本画や書であれば、落款(らっかん)と呼ばれる印が押されているのが一般的です。斜めから光を当てると、絵の具に埋もれたサインが浮かび上がることがあります。

読み取れたアルファベットや漢字を検索にかけると、作家が特定できる場合があります。判読が難しいときは、拡大して撮影した画像を残しておき、査定の際に見てもらうとよいでしょう。

額の裏側と付属品を確認する

見落とされやすいのが、額の裏側です。ここには次のような情報が残っていることがあります。

  • 画廊や百貨店美術部のシール・ラベル
  • 展覧会の出品票
  • 作家名や作品名を記した紙片
  • 購入時の値札

日本画や版画の場合、タトウ箱(作品を収める紙箱)や桐箱に、作家名や作品名が書かれていることもあります。共シール(作家や関係者が作品情報を記した紙)が貼られていれば、来歴を示す手がかりになります。

こうした付属品は、それ自体が査定の材料になります。捨てずにまとめておくことをおすすめします。

複製か肉筆かを見分ける

査定額に大きく影響するのが、肉筆(作家が直接描いたもの)か、複製かという点です。

画面を斜めから見て、絵の具の盛り上がりや筆跡が確認できれば肉筆の可能性があります。一方、拡大鏡で見たときに規則的な網点(ドット)が並んでいる場合は、印刷による複製と考えられます。版画の場合は網点ではなくインクの層が見えますが、判断が難しいため専門家に確認してもらうのが確実です。

参考:「無名作家の絵画は売れる?買取相場や業者選びのポイントとは」|バイセル公式

作者が分からなくても評価されるポイント

作家名で値がつかない分、評価は作品そのものに向かいます。査定でよく見られるのは次のような点です。

評価軸 内容
肉筆か複製か 一点物の肉筆画のほうが評価されやすい傾向
技法 油彩、水彩、日本画、版画など。手間のかかる技法は評価につながりやすい
モチーフ 風景画や静物画は買い手が広く、需要が読みやすい
サイズ 一般家庭に飾れる号数は流通しやすい。極端に大きいものは扱いが限られる
保存状態 カビ、シミ、日焼け、破れ、絵の具の剥落は減額要因
額装 質の良い額縁は、それ自体が評価対象になることがある
付属品 箱、シール、鑑定書、購入時の資料

モチーフによる差

抽象画よりも、風景画や静物画のほうが買い手がつきやすいとされています。抽象画は好みが分かれるため、作家の知名度がないと購入者を想定しにくいという事情があります。逆に、風景や花などのモチーフは、飾る場所を選ばず一定の需要が見込めます。

額装が評価につながることもある

絵画そのものに値がつきにくい場合でも、額縁が良質なものであれば、そこに価値が認められることがあります。彫刻を施した木製額や、作家が指定した特注額などが該当します。額が傷んでいる場合でも、無理に外さず、そのままの状態で見てもらうのがおすすめです。

参考:「無名作家の絵画は売れる?買取相場や業者選びのポイントとは」|バイセル公式

売却先の選択肢を整理する

無名の絵画を手放す方法は、いくつかあります。それぞれ手間と結果の出方が違うため、目的にあわせて選ぶことになります。

売却先 向いているケース 注意点
絵画・骨董の専門買取業者 作者が分からず、まず価値を知りたい 業者ごとに得意分野が異なる
総合リサイクルショップ 早く手放したい、点数が多い 美術品の目利きがいるとは限らない
ネットオークション・フリマ 自分で値付けしたい、時間をかけられる 梱包・発送・トラブル対応を自分で行う
オークションハウスの委託販売 一定以上の価値が見込める作品 手数料がかかり、売れない場合もある
画廊への相談 作家が判明し、その画廊が扱っている場合 扱いのない作家は断られることがある

作者不明の作品の場合、まずは美術品の取り扱い実績がある買取業者に見てもらい、そこで得られた情報をもとに次を考えるという順序が現実的です。査定は無料で受けられることが多いため、複数社に相談して比較する方法もあります。

なお、絵画などの美術品は、古物営業法上の「美術品類」にあたります。中古品を売買する業者は、都道府県公安委員会の古物商許可を受けている必要があります。古物営業法は、盗品などの流通を防ぎ、犯罪の防止と被害の回復を図ることを目的とした法律です。業者に依頼するときは、古物商許可番号が明示されているかを確認しておくと安心です。

参考:「古物営業法の解説」|愛知県警察

訪問買取を利用するときに知っておきたいルール

大きな絵画は持ち運びが難しいため、自宅まで来てもらう訪問買取を選ぶ方も多いと思います。訪問買取は特定商取引法で「訪問購入」として規制されており、事業者にはいくつかの義務が課されています。

消費者庁の特定商取引法ガイドによると、主なルールは次のとおりです。

  • 氏名等の明示:勧誘に先立ち、事業者名、勧誘目的、購入しようとする物品の種類を告げなければならない
  • 不招請勧誘の禁止:依頼を受けていない相手の自宅などで、勧誘を行ってはならない
  • 書面の交付:契約の申込みを受けたとき、または契約を締結したときは、物品の種類、購入価格、支払時期・方法、引渡時期・方法、クーリング・オフに関する事項などを記載した書面を渡さなければならない
  • クーリング・オフ:書面を受け取った日から8日以内であれば、申込みの撤回または契約の解除ができる
  • 引渡しの拒絶:クーリング・オフ期間内は、物品の引渡しを拒むことができる

とくに押さえておきたいのが、最後の2点です。査定額に納得がいかないまま作品を渡してしまった場合でも、書面受領から8日以内であれば契約を解除できます。また、その場で引き渡す義務はありません。

「絵画の査定に伺う」と言いながら、実際には別の品目の買い取りを持ちかけるといった行為は、法律で禁じられている勧誘にあたります。少しでも不安を感じたら、その場で決めずに一度断ることが大切です。

参考:「訪問購入」|特定商取引法ガイド(消費者庁)

売却額によっては税金が関わることもある

多くの場合、家庭にあった絵画を売っても課税の問題は生じません。ただし、金額によっては例外があります。

国税庁のタックスアンサーによると、家具や衣服など「生活に通常必要な動産」の譲渡による所得は課税されません。しかしこの非課税の扱いからは、「貴金属や宝石、書画、骨とうなどで、1個または1組の価額が30万円を超えるもの」が除かれています。つまり、絵画1点の売却額が30万円を超える場合、譲渡所得として課税対象になり得るということです。

無名の絵画が30万円を超えるケースは多くはありませんが、まとめて売却した場合や、調べた結果として著名作家の作品と判明した場合には該当することがあります。金額が大きくなりそうなときは、買取証明書や明細を保管しておき、確定申告の要否を税務署や税理士に確認しておくと安心です。

参考:「No.3105 譲渡所得の対象となる資産と課税方法」|国税庁

査定に出す前にしておきたいこと

準備の段階でできることを整理しておきます。

自分で修復しない

シミや破れがあっても、自分で貼り直したり洗ったりしないほうが無難です。素人の補修は、かえって評価を下げることがあります。額のガラスが割れている場合のみ、安全のため取り除いておくとよいでしょう。

ほこりを軽く払う程度にとどめる

乾いた柔らかい布で、額のほこりを落とす程度で十分です。画面には触らないようにします。

付属品をまとめる

箱、シール、購入時のレシートや保証書、展覧会の資料などがあれば、一緒に出せるようにしておきます。作者不明の作品では、こうした資料が来歴の手がかりになります。

写真を撮っておく

全体、サイン部分、額の裏、傷んでいる箇所を撮影しておくと、複数の業者に問い合わせるときに使えます。訪問買取の記録としても残ります。

複数社に相談する

1社の査定額だけでは、それが妥当かどうか判断できません。美術品に強い業者を含めて、2〜3社に見てもらう方法があります。

よくある質問

作者不明の絵画でも買い取ってもらえますか

作品の状態や内容によります。肉筆で、モチーフや技法に一定の質があれば、査定の対象になります。一方、印刷による複製画で額も傷んでいる場合は、値がつかないこともあります。まずは無料査定で見てもらい、結果を確認するところから始めるとよいでしょう。

無名の絵画の買取相場はいくらくらいですか

決まった相場はありません。作者名で価格が決まる著名作家の作品と違い、無名の絵画は1点ごとに条件が異なるためです。数百円程度の評価にとどまることもあれば、思いのほか高い評価がつくこともあります。相場を探すよりも、実物を見てもらうほうが確実です。

サインが読めない場合はどうすればよいですか

サイン部分を拡大して撮影し、その画像を業者に見てもらう方法があります。美術品を扱ってきた業者であれば、書体や落款の形から見当をつけられることがあります。判明しなかった場合でも、作品自体の評価は別に行われます。

額縁だけでも売れますか

質の良い額縁であれば、査定の対象になることがあります。ただし、絵と額はセットで見られることが多いため、まずはそのままの状態で相談するのがおすすめです。

訪問買取で査定額に納得できなかったら断れますか

断れます。契約を結ばないまま帰ってもらうこともできますし、いったん契約した場合でも、書面を受け取った日から8日以内であればクーリング・オフが可能です。また、クーリング・オフ期間中は物品の引渡しを拒むことができると定められています。

参考:「訪問購入」|特定商取引法ガイド(消費者庁)

まとめ

無名の絵画を売るときのポイントを整理します。

  • まずサイン・落款、額の裏のラベル、付属品を確認し、作者が特定できないかを調べる
  • 肉筆か複製かは査定額に大きく影響するため、絵の具の盛り上がりや網点の有無を確認しておく
  • 作者が分からなくても、技法・モチーフ・サイズ・状態・額装が評価軸になる
  • 売却先は専門買取業者、リサイクルショップ、ネットオークション、委託販売などがあり、目的にあわせて選ぶ
  • 業者に依頼する際は、古物商許可の有無を確認しておく
  • 訪問買取には特定商取引法のルールがあり、書面受領から8日以内のクーリング・オフと、引渡しの拒絶が認められている
  • 1点の売却額が30万円を超える場合、譲渡所得として課税対象になることがある

作者が分からない絵画でも、手順を踏めば価値の有無は判断できます。自己判断で処分してしまう前に、一度専門の業者に見てもらうことを検討してみてはいかがでしょうか。