珍しい五円玉の見分け方|フデ5・穴なし・エラー
財布のなかに珍しい五円玉が混じっていないか、気になっている方もいるのではないでしょうか。五円玉には、穴のない最初のデザインや「フデ5」と呼ばれる楷書体、製造枚数の少ない年号、穴のずれたエラーなど、通常とは違うものが存在します。この記事では、造幣局が公表している資料をもとに、珍しい五円玉の種類を整理し、手元の1枚をその場で見分ける手順を、順に解説します。
珍しい五円玉の種類一覧
はじめに、珍しいとされる五円玉にどのような種類があるかを整理します。大きく分けると、素材や書体が今と違う古いもの、製造枚数の少ない年号、そして製造時のずれが残ったエラーの3つに分かれます。
| 種類 | 見分けの手がかり | 位置づけ |
|---|---|---|
| 穴なし5円(昭和23〜24年) | 穴がなく、表に国会議事堂 | 最初の五円玉。2年間だけの発行 |
| フデ5(楷書体・穴あき) | 「五」などの文字が筆書き風 | 昭和24〜33年の穴あき楷書体 |
| 少ない年号(ゴシック体) | 製造年が平成22〜25年など | 現行のなかで枚数が少ない年 |
| エラーコイン | 穴のずれ・刻印のずれなど | 製造時のずれが残ったもの |
| 古い五銭(参考) | 「五銭」と刻まれた別の貨幣 | 五円玉とは別の、戦前の貨幣 |
五円玉は、素材こそ黄銅(銅と亜鉛の合金)のまま変わっていませんが、穴の有無と文字の書体が時代によって変わってきました。この違いを押さえておくと、手元の1枚がどの種類にあたるかを絞り込みやすくなります。
参考:「貨幣Q&A」|造幣局
手元の五円玉を見分ける手順
珍しい五円玉かどうかは、順を追って確認すると判断しやすくなります。特別な道具は要らず、明るい場所で表裏を見るだけで、多くは種類を絞り込めます。ここでは3つの手順に分けて見ていきます。
手順1:穴の有無を見る
最初に見るのは、中央に穴があるかどうかです。穴がなく、表に国会議事堂が描かれていれば、昭和23(1948)年に発行された最初のデザインにあたります。五円玉に穴があいたのは昭和24(1949)年からで、それ以降のものには中央に穴があります。
参考:「貨幣Q&A」|造幣局
穴があるものは、次の書体の確認に進みます。穴のない五円玉は昭和23〜24年の2年間だけのもので、見てすぐにわかる手がかりになります。
手順2:書体を見る
穴があるものは、「五」や「円」の文字の形を見ます。筆で書いたような楷書体であれば、通称「フデ5」と呼ばれる古いタイプです。線が均一で角ばったゴシック体であれば、昭和34(1959)年以降の現行の五円玉です。
参考:「貨幣Q&A」|造幣局
書体の違いは、慣れないと見分けにくい場合があります。楷書体は文字の太さに強弱があり、はねやはらいが筆書きのように見えます。ゴシック体は太さが一定で、機械的な印象になります。見比べる相手として、手元にある新しい五円玉を並べると、違いがわかりやすくなります。
手順3:製造年を見る
書体を確かめたら、裏面(数字の面)の下部に刻まれた製造年を見ます。フデ5であれば昭和24〜33年、ゴシック体であれば昭和34年以降の年号が入っています。製造枚数の少ない年号にあたるかどうかも、ここで確認できます。あわせて傷や汚れの少なさも見ておくと、種類と状態の両面から整理しやすくなります。
フデ5(楷書体)の見分け方と年号
珍しい五円玉のなかでも、探しやすいのがフデ5です。フデ5は、昭和24〜33年に発行された、穴あきで文字が楷書体の五円玉を指します。「五」の字が筆で書いたような形になっていることから、この通称で呼ばれています。
参考:「貨幣Q&A」|造幣局
現行の五円玉と同じく穴があいているため、穴の有無では区別できません。見分ける手がかりは、あくまで文字の書体と製造年です。裏面の製造年が昭和33(1958)年までで、文字が楷書体であれば、フデ5にあたります。
造幣局のデータで、フデ5の年ごとの製造枚数を並べると次のようになります。数値は年銘別貨幣製造枚数(令和2年版)にもとづくものです。
| 年号 | 製造枚数 |
|---|---|
| 昭和24(1949)年 | 約1億1,000万枚 |
| 昭和25(1950)年 | 約1億8,000万枚 |
| 昭和26(1951)年 | 約1億9,800万枚 |
| 昭和27(1952)年 | 約5,500万枚 |
| 昭和28(1953)年 | 約4,500万枚 |
| 昭和29〜31(1954〜1956)年 | 0枚 |
| 昭和32(1957)年 | 約1,000万枚 |
| 昭和33(1958)年 | 約5,000万枚 |
フデ5のなかでとりわけ少ないのが、昭和32年で約1,000万枚です。他の年が数千万〜1億枚台であるのに対し、昭和32年は1桁少なくなっています。また、昭和29〜31年は製造枚数が0で、この3年の年号を持つフデ5は存在しません。手元のフデ5を見るときは、製造年が昭和32年かどうかを最初に確認すると、絞り込みが早くなります。
穴なし5円(国会議事堂)の見分け方
穴なし5円は、五円玉のいちばん最初のデザインです。中央に穴がなく、表に国会議事堂が描かれています。今の五円玉には穴があるため、穴の有無を見るだけで区別できます。
参考:「貨幣Q&A」|造幣局
穴なし5円が発行されたのは、昭和23〜24年の2年間です。造幣局のデータでは、昭和23年が約7,500万枚、昭和24年が約1億8,000万枚となっています。昭和24年の途中で穴あきのデザインに切り替わったため、種類としては限られます。
表の国会議事堂は、今の稲・歯車・水のデザインとは大きく異なります。表面のデザインと穴の有無をあわせて見れば、迷わず見分けられます。
製造枚数の少ない年号(ゴシック体)
現行のゴシック体(昭和34年〜)にも、製造枚数の少ない年号があります。とくに少ないのが平成22〜25年です。造幣局のデータをもとに、少ない年と一般的な年を並べると次のようになります。
| 年号 | 製造枚数 |
|---|---|
| 平成12(2000)年 | 約903万枚 |
| 平成22(2010)年 | 約51万枚 |
| 平成23(2011)年 | 約46万枚 |
| 平成24(2012)年 | 約66万枚 |
| 平成25(2013)年 | 約55万枚 |
| (参考)昭和49(1974)年 | 約9億5,000万枚 |
平成23年の約46万枚は、ゴシック体のなかで際立って少なくなっています。参考に挙げた昭和49年の約9億5,000万枚と比べると、桁がいくつも違います。この時期の五円玉は、おもに貨幣セット向けにつくられ、通常の流通用としてはあまり出回らなかったためと考えられます。
流通量が少ない分、財布のなかで平成22〜25年の五円玉に出会う機会は限られます。製造年を見て、この4年にあたるかどうかを確認しておくとよいでしょう。
エラーコインの見分け方
製造時のずれが残った、いわゆるエラーコインもあります。通常の五円玉とは違う特徴があるため、手元の1枚を見るときの参考になります。おもに次のような種類が知られています。
- 穴ずれ:中央の穴が、本来の位置からずれているもの
- 角度ずれ:表と裏の模様の向きが、通常とずれているもの
- 陰打ち(かげうち):片面に、反対側の模様がうっすら写ったように出ているもの
穴ずれは、穴の位置が中心から片寄っているため、見た目で気づきやすい特徴です。角度ずれは、表を上にしたときの裏の向きを、通常の五円玉と見比べると確認できます。
エラーコインは、程度によって収集の対象として扱われることがあります。ただし、通常の使用でついた傷や、穴の縁のわずかなばらつきと見分けにくい場合もあります。判断に迷うときは、古銭を専門に扱う買取店で見てもらうのがひとつの方法です。
古い五銭と五円玉の見分け方
古い硬貨を整理していると、「五銭」と刻まれた貨幣が出てくることがあります。五銭は五円玉とは別の、戦前に使われていた貨幣です。混同しやすいため、区別しておきましょう。
五銭は、明治4(1871)年に銀貨として誕生し、のちに白銅へと素材が変わりました。大正5(1916)年には、材料の節約と偽造防止のために中央に穴をあけた5銭白銅貨幣がつくられています。その後もデザインや素材を変えながら製造され、昭和19(1944)年に材料の調達が難しくなって製造が止まりました。
見分ける手がかりは、額面の表示です。五円玉には「五円」または「5」と記されているのに対し、五銭には「五銭」と刻まれています。今も使える五円玉とは違い、五銭はすでに流通していない貨幣です。同じ穴あきでも別の貨幣にあたるため、まずは額面の文字を確かめると区別できます。
買取相場の目安(2026年7月時点)
珍しい年号や種類であっても、価値の付き方は状態によって変わります。五円玉の買取には公的に定められた価格はなく、実際の金額は業者・状態・時期によって上下します。ここでは、複数の買取業者が公開している情報を集計した目安として、おおよその幅を示します。いずれも定価ではなく、2026年7月時点の参考値です。
- 穴なし5円(昭和23〜24年):数百円〜数千円程度
- フデ5 昭和32年:通常の保存状態で数百円〜1,000円程度、未使用に近いもので数千円〜1万円程度
- ゴシック体 平成22〜25年:美品で数百円程度、未使用に近いもので1,000円前後
- エラーコイン:程度によって数万円以上になる場合もある
これらは、額面の5円を上回る価値がつく場合がある、という目安です。同じ年号でも、傷や汚れの少なさによって金額は変わります。とくにエラーコインは状態による幅が大きく、一律の相場は示しにくいのが実情です。
なお、五円玉は額面どおり5円としていつでも使えます。そのうえで、コレクションとしての価値を知りたい場合は、古銭やコインの買取に対応した専門店で査定を受けるのがひとつの方法です。年号や種類、状態を踏まえて見てもらえるため、納得のいく判断につなげやすくなります。複数の見積もりを比べると、手放すときに比較しやすくなります。査定に出す前に汚れを無理に落とそうとせず、そのままの状態で見てもらうのがおすすめです。
よくある質問
珍しい五円玉かどうかは、どこを見れば分かりますか。
まず中央の穴の有無を見て、次に「五」などの文字が楷書体かゴシック体かを確認し、最後に裏面の製造年を見ます。この順で見ると、穴なし5円・フデ5・現行のどれにあたるかを絞り込めます。
参考:「貨幣Q&A」|造幣局
フデ5と現行の五円玉は、どう違いますか。
どちらも穴あきで、素材も黄銅で同じです。違いは文字の書体で、フデ5は筆書き風の楷書体、現行はゴシック体です。製造年が昭和33年までで楷書体であれば、フデ5にあたります。
参考:「貨幣Q&A」|造幣局
平成の五円玉に珍しいものはありますか。
平成22年(約51万枚)から平成25年(約55万枚)は、周辺の年より製造枚数が少なくなっています。この時期はおもに貨幣セット向けにつくられ、流通用としてはあまり出回りませんでした。製造年がこの4年にあたるかを確認してみてはいかがでしょうか。
「五銭」と書かれた硬貨は五円玉ですか。
五銭は五円玉とは別の、戦前に使われていた貨幣です。額面に「五銭」と刻まれており、すでに流通していません。同じ穴あきでも別の貨幣にあたるため、額面の文字で見分けられます。
穴がずれた五円玉には価値がありますか。
穴のずれや刻印のずれといったエラーコインは、収集の対象として扱われることがあります。程度によって金額の幅が大きいため、価値が気になる場合は、古銭を専門に扱う買取店で見てもらうとよいでしょう。
まとめ
珍しい五円玉には、穴のない最初のデザイン(昭和23〜24年)、楷書体のフデ5(昭和24〜33年)、製造枚数の少ない年号(平成22〜25年など)、そして穴や刻印のずれたエラーコインがあります。手元の1枚は、穴の有無、文字の書体、製造年の順に見ると種類を絞り込めます。フデ5では昭和32年(約1,000万枚)が少なく、昭和29〜31年は製造がなく存在しません。「五銭」と刻まれた貨幣は五円玉とは別のものです。手元の五円玉が気になった方は、まず種類と年号を確認し、価値を知りたい場合は専門店の査定を検討してみてはいかがでしょうか。